見出し画像

父の怒声

■2022年(両親80歳)

11/4 経過続き(1)
担当医と看護師が駆け付けてくる。

血圧 上110位 脈あり。

担当医が父の腕を上げたり大きく体をゆすって動かすと、「痛い!」と声が上がる。

ここで初めてやっと父の声が聞ける。

あぁ! 意識はあるのかと安堵する。

8月の母の救急車沙汰のときと症状が似ている。

呼びかけには反応なく、一見意識ないように見えるが、痛みなどの刺激を受けると「痛い!」とはっきりと反応を示す感じ。

ストレッチャーで緊急処置室へ運ばれ、点滴の応急措置がなされる。

私と三女は廊下で待たされる。

三女が何かごにょごにょ言いながらケラケラと笑っている。

よく聞くと、「おとーーさん、おとーーさん」と。

どうやら、先ほど私が驚いて父に何度も「お父さん、お父さん!」と呼びかけていたのを真似しているらしい。

しばらく廊下で待っていると、「何するんだ!」みたいな父の怒声が聞こえてきて、あぁ、だいぶ意識戻ってきているなと安堵する。

恐らく、採血だか点滴だかの注射に抵抗したと思われる。

いつかも採血の時に看護師さんに一生懸命抵抗していたのを思い出す。

いくつになっても注射は痛くて嫌がるところがちょっと微笑ましい。

とにかく意識が戻って一安心。

一気に緊張の糸がほぐれ、脱力する。

三女の「おとーーさん」のBGMが心地良い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?