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親指の爪

■2024年(両親81歳)

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父 入院10日目

15:00 A病院へ父の面会に行く。

この日は父の甥・かずちゃん夫妻が面会に来てくれることになっていた。

先に姉と二人で父の様子を見に行く。

父は酸素マスクをつけ、鼻には昨日と同じ薬の脱脂綿が詰められている。

鼻からの出血が続いている様子。

酸素マスクの中にも血が飛び散っている。

語りかけてもあまりはっきり伝わっている感じはしないが、目を開けて何かしゃべる。

やや苦しそう? いや、昨日よりはいくらか苦しくない表情?

頬が少しこけて細くなったような気がする。

左手親指の爪がまるごと剥がれてしまっていた。

爪が丸ごとなくなった指なんて、初めて目にする。

もはや痛みは感じないのだろう。

心臓から最も遠い部分、末端の手足の指には栄養が行き渡りずらくなることをまざまざと実感する。


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