システム思考備忘録(2/6)
思いの外反響があったシステム思考備忘録、第2回は「構造の発見と仮説の出し方」というテーマで書いていこうと思います。
今回、次回までが概論になるのかな。6回でうまく着地ができれば。
前回の振り返り
前回の記事では主に氷山モデルについて書きました。
言われてみればそれはそうだと。目に見えるものは結果であって、原因は目に見えない。根深い問題は精神論orマンパワーで片付けるのではなく、引き起こしている構造自体に目を向けましょう、と。
パターンの発見
目に見えないものが大切だとすると、いかにパターンや構造(規則、慣習、感情、思考習慣etc...)を見つけるかが論点になってきます。
忙しくなった時、新規事業の立ち上げの時、といったようにどんな「時」に起きやすいのかを捉えることは比較的容易な気がします。
上の図では簡略化するために「時」にのみ言及していますが、どんな「形」や「場所」で起こるのかも大切です。
コロナウィルスの流行を氷山の上部とするなら、都市部(密集地)で起きやすい(場所)、感染拡大期は指数関数的に感染が広がっていく(形)などといったことでしょうか。また、基礎疾患を持つ人が重症化しやすいといったこともパターンに当てはまるでしょう。
つまり、このパターンが見えるから未来が予想・対策ができる、といったものです。
氷山モデルとシステム思考、複雑系
次はそのパターンを生み出す構造(規則、慣習、感情、思考習慣など)に着目していきます。
ここで大切なことは構造は構成している要素同士が影響し合っているということです。
例として学校内の要素の一部の関係を図にしました。
考えれば考えるほどこの図は広がりそうです。
めぐりめぐってくることから「風が吹けば桶屋が儲かる」「バタフライエフェクト」の様なイメージにも近いかもしれません。
(もちろんここには発生確率という考え方が関わってくるため、一つをよくすればすべてがめぐりめぐって必ずうまくいく、ということではありません。さすがに風が吹いても桶屋は儲かる確率は奇跡的。「因果」というより「こじつけ」ということもあるでしょう。)
ただ、システム思考の立場に立脚すると「現象に対して一つの原因がある」という考え方でなく、様々なものがつながっている、そしてその根本的な解決や解明にはその構造(慣習や規則、感情、思考習慣など)とそれぞれの関係性が大きく関わっていると考えることです。
視点、視野、視座
構造を認識するには視座を上げる必要があります。
つまり、氷山モデルと相関性、両方の視点を加味して考えると以下の図の様な形になります。
赤枠で囲った構造(規則、慣習、感情、思考習慣)の中を相関的に捉えた図が先に挙げた相関図という認識です。
より良い仮説を出すには
氷山モデルの水面下はあくまでも仮説(目に見えない部分だからこそ推測しなくてはならない)です。それを一人でやろうとすると、構成要素のうち、自分に近い立場のものしか見えません。
なので、水面下のもの(仮説)をよりよく可視化するためにはいろいろな立場の人と仮説を出し合うことが求められます。
視座を上げる必要もありますが、立場上、視座が高い人や様々な役割を担っている人とチームを組むことが求められます。
立場が違っても
ただ、視座や役割の違いは時に相互理解を阻む要因にもなります。
「上司はわかってくれない」「俺の若い時は組織の意向がすべてだった」「夫が家事をしてくれない」「仕事で疲れているのに家事まで手が回らない」「先生がもっと子供を指導して欲しい」「しつけは保護者の仕事でしょ」
などなど。
これを解消するのは簡単ではありません。
日本社会は今、得意を生かした分業を進めようとする側面があります。確かに得意を生かすといえば聞こえはいいですし、効率的でもあるでしょう。
しかし、ワンオペ育児をはじめ、完全な分業制はお互いの作業や考えへの理解を遠ざけます。(分業が悪いわけでなく、相互理解への意識が下がることが問題だと考えています。)
つまり、相互理解を促す様な仕組みと並行しないと専門性は脆いということも言えると思います。
この相互理解を促す仕組みづくりが難易度の高い課題です。
また、様々な立場の人が意見を出しても死角になる部分も出てくるでしょう。
次回以降は以上の2点について深掘りしていけたらと思います。今回はここまで、お読みいただきありがとうございました。
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