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#007 公務員から転職するもリストラに...再び転職活動した話

今回は公務員を辞めて民間企業へ転職するも、わずか9ヶ月でリストラに遭い、再び転職活動をしたときのことを書いてみようと思います。

この経験を振り返ることで自分自身を見つめ直し、それを糧に次のステップに進みたいという思いから書くことにしました。


公務員を辞めた理由

自分には合わなかったということに尽きます。
具体的には広く浅くよりも深く狭い仕事がしたかったこと、スケールの大きい仕事よりも小さくても一人ひとり・一つひとつと向き合える仕事がしたかったこと、ケースバイケースで柔軟に対応方法を考える余地がある仕事をしたかったこと、協力体制の整った職場で働いてみたいと思ったことから、辞めることを決意しました。

公務員からの転職活動

  1. 就職活動の進め方
    職場では気づかれないように進めていました。幸い当時の配属先は繁忙期以外であれば有給休暇を取りやすい雰囲気があり、転職活動の時間を取ることができました。
    とはいえ初めての転職活動だったので進め方が分からず、とりあえず知名度のある転職サイト一つ(民間企業が運営)とハローワーク(国が運営)に登録して探すという選択をしました。

    この時、人生で初めてハローワークに行ったのですが、建物全体に陰気な空気が漂っていたことを覚えています。正直なところ、ここに通って「よし、働くところを見つけるぞ!」という前向きな、明るい気持ちにはなれませんでした。まるでエネルギーをを吸い取られるかのような印象を持ちました。
    そう思いながらも担当の方に求人紹介をしてもらっていたところ、公務員からの転職は勿体ないと言われてしまいました。
    転職先の一つとして公立大学の職員も考えていたのでそれを伝えると、その筆記試験を受けてみて結果がダメだったら転職は諦めましょうという流れになりました。同じ公務員という立場だからこそ、辞めるなんて勿体ないという善意の気持ちでアドバイスしてくださったことは重々承知しています。ただ、その時の自分はいろいろ考えた結果、やっぱり公務員を辞めて転職したいという思いで向かったのでその選択は無謀だと言われているような気がして出鼻をくじかれた思いでした。そして次第に足が向かなくなってしまいました。

    初めての転職でうまくいく保証などはなく転職先が想定とは異なるリスクがあると考えていました。その場合には再び転職活動をする可能性があることを考慮し、ある程度求人数が多い地域、中枢都市に転職したいと考えていました。当時、妹がそこに住んでいたことも、そこで仕事を見つけたい気持ちに大きな影響を与えていました。
    ちなみに私が住んでいた地元は求人数がかなり少なく選ぶ余地がほとんどありませんでした。

    当時は公務員からの転職はメジャーな選択ではありませんでした。周りで転職する人もほとんどおらず定年まで勤めることが当たり前という雰囲気でした。
    そんな環境下で過ごしていたことや、世間からは公務員は楽で安泰と思われているイメージが強かったことなどから「公務員の仕事ですら大変」と思った自分が民間企業で通用するのだろうか、自分を雇ってくれるところなどあるだろうか、という未知の不安を抱えていました。
    そのため自分のアピールできるところを考えて経験を少しでも活かせるとしたら事務職しかないだろうと思い事務職に絞って探しました。

  2. 求人情報
    当時の私は「フォローしながら〜、アットフォームな〜」という求人内容の記載や中小規模の会社に魅力を感じていました。

    それとかなり振り切ったのですが…せっかく転職できるのだからという理由で学歴不問のところも見ていました。なぜかというと私は貧困家庭育ちでありながら幸運にもいろいろなご縁のおかげで最終学歴:大卒となりました。しかし、ここまでたどり着く過程の中でどれか一つでも欠けていたら違う未来になっていたかもしれないという思いがあります。割と最終学歴大卒以外で転職活動することも現実的だったことから、そういった求人内容にも興味を持ちました。学歴社会と言われているけれど…学歴に関係なく良い会社があることを信じたい、見つけたいという気持ちがあったことは否めません。

  3. 内定
    転職活動を始めて早い段階で、とあるベンチャー企業から内定を頂くことができました。採用に対する感謝と安堵の気持ちからそこに転職することを決めました。
    内定を頂いたのは夏頃でしたが業務の都合で年度末の退職になると伝えていたので入社までは半年以上期間がありました。その間もこまめに連絡してくださったり入社前までに不安を払拭できるよう継続的なフォローがあり、悪い会社ではないだろうと思っていました。

    しかし、この選択が間違っていました。面接官だけの印象で職場の雰囲気をよく確かめず求人に記載している良さげな内容を鵜吞みにし、安易に決めてしまったことが間違いでした。ここで満足せずもっと色々な企業を見てみたら良かったと後々後悔することになります。

  4. 退職
    ついに5年間務めた公務員を辞めることができました。当時の配属先で転職すると伝えたところ、否定的なことを言われることはありませんでした。良く決断したね、頑張って、と応援してもらえました。
    その時、次年度に続くような業務も抱えていたのですが、そのことは心配しなくて良いと言ってもらえたこと、全体に辞めることを伝える前に個別に伝えていた同期などがいたのですが当日まで内密にしてもらえていたことが有難かったです。全体に辞めることを伝えてからも当時配属されていた課のメンバーがそれまでと変わりなく接してくださったことも有難かったです。
    地方公務員を5年間勤めましたが、(紆余曲折あり)5年目は人事の面でいろいろと配慮して頂きました。
    また社会人4年目には本庁勤務から解放され、その時と比べると業務量も格段に減っていました。業務内容も割と助け合えるような、協力できるような環境下でもありました。
    おかげさまで地方公務員5年目が環境的にも業務量・業務内容的にも一番良かったです。でも、もしこの環境が社会人1年目からあったとしたら、辞めるという選択をしなかったかもしれないので、この恵まれた環境がこのタイミングで良かった、これが当たり前ではないことに感謝して過ごせたことは良かったです。

一民間企業へ転職もリストラに遭う

  1. 社風
    ついにベンチャー企業での仕事が始まりました。ほとんどが若い社員、それもイケイケで派手な社員が多い印象でした。面接官が真面目そうな落ち着いた印象だったのでイメージとの違いに驚きました。
    私は事務職採用だったのでノルマなどはなかったのですが…営業さんは日々のノルマ達成、もはやそれ自体が目標になっていて営業成績が何よりも重視されるような会社でした。…はやくも転職失敗のフラグが立ちました。
    本社では2か月の研修がありました。おかげさまで、なんとか2か月の研修を終え、無事に希望地の支店へ配属されました。

  2. 直属の上司
    支店での事務職は私含め3人でした。営業さんは出入りが激しく、常時だいたい6~8人ほど在籍していたと思います。
    支店での業務量はそれほど多くなく定時で帰る日々でしたが、人間関係がつらかったです。
    隣席の上司は業務用パソコンで趣味の動画鑑賞をしていたり、居眠りをしていたり、業務時間中に私用で外出したりということが多々あり士気が下がりました。また先輩社員も気分にムラがあり仕事を教えてくれる時とそうでない時があり、相手の機嫌に振り回されていました。
    定時で帰られるようにはなったけど…このままで良いのかな、人間関係が芳しくないから辞めたい、でもまだ勤めて数ヶ月だから辞められないなという葛藤がありました。

    それと上司は盗み癖のある人で、私が少し席を外した隙にお金を盗まれることがありました。営業さんたちは出払って日中オフィスにいないので、内勤だけで過ごしていました。隣席で人目もほぼなかったので、証拠もなく途方に暮れました。それを知ってからは不安だったので金銭的なものはプリペイド式電子マネーカードと定期券だけを持って行っていました。そのカードには毎日1,000円ほど入っている状態で持参していました。ある時、そのカードすら盗まれ、カード残額と貯めていたポイント全てが使われました。カード会社に確認したところ職場から近いコンビニで使用履歴があるとのこと、使った金額や購入品が明らかにその上司のようでした。そのため翌日その上司に問い詰めたところ、しらを切られ…逆ギレされてしまいました。苦笑。
    そういったことが重なり支店長に相談したところオフィスに隠しカメラをつけてくれることになりました。ある営業さんのデスクの引き出しに数万円を忍ばせました。…数日後そのお金がなくなりました。監視カメラを確認したところ、その上司が盗んでいるところが写っていたようでした。それが証拠となりこれまので自分の非も認めてくれました。
    定時上がりにはなったものの人間関係がとてもつらい日々でした。

  3. 私がリストラ対象者になる
    人間関係も去ることながら業績悪化もしていました。それに伴い...少しずつ営業さんのリストラがありました。営業さんは出入りが激しかったのですが、そんな環境でも比較的長く続けていた営業さんが一人また一人と去っていくことがありました。
    リストラが進んでいることは目に見えて分かる状況でした。営業さんが減っていくにつれ、いつ事務職の自分に声がかかってもおかしくないことにも気付いていました。

    そして数ヶ月後ついに私にもリストラのお話がありました。心づもりはしていたものの、いざ告げられると動揺しました。
    しかし、当時は自分が一番年次が浅く知識も乏しかったので自分が辞めるのが妥当だと納得のうえ承知しました。

  4. 妹と母の支え
    リストラを受け入れたものの気持ちの整理がついていませんでした。今後のことも不安でたまりませんでした。

    公務員から転職しわずか9ヶ月で辞める自分、こんな自分を雇ってくれるところはもうどこにもないのではないかと途方に暮れていました。世間的には楽なイメージのある公務員からの転職で、転職先の民間企業では一年も続かなかった人、「民間企業では使えない人」「仕事ができない人」という烙印を押されたような、社会からそう評価された気持ちでした。
    周りにそんな自分を知られたくないという気持ちもありました。
    でも、勇気を出して同居していた妹に伝えました。そうしたところ妹が、「良かったね、おめでとう、お祝いしなくちゃ」と言って私の好きなドーナツ屋さんでドーナツをごちそうしてくれました。以前から今までの経緯を話していたので、妹からはそういう職場なら辞めても良いんじゃないか、とアドバイスしてもらっていたこともありましたが、伝えて良かった、隠し通そうとしなくて良かったと心が軽くなりました。

    今回までの経緯を正直に伝えよう、今回と同じ失敗をしないように転職活動をしようと、いう決意を新たに再び転職活動を開始しました。

  5. 再び転職活動開始
    一度目の転職活動の時に活用していた登録先のほかに、新たに転職エージェントにも登録しました。エージェント経由でしか出会えない求人を紹介してもらえました。
    自分の経歴では、あまり求人紹介してもらえないだろう・紹介してもらえたとしても良い条件ではないかもしれないと覚悟していたのですが、そんなことはなく良質な求人をたくさん紹介して頂けました。
    書類落ちや一次面接落ちもありましたが、幸い最終的には3社から内定を頂くことができました。

    厳しいおことばがあるだろうと覚悟して臨んだ今回の転職活動ですが、その3社とも面接官の方がねぎらってくださったことが忘れられません。社会から見放されたように感じていた、弱っていた自分の心にその温かさが沁みました。頑張って面接会場に来て良かったとさえ思いました。

この経験を通して気付いたこと

  1. 自己分析にかける時間を惜しまないこと
    一番、自己分析に時間をかけるであろう大学生の頃ですら公務員試験対策ばかりしていたので、圧倒的に自己分析の時間が足りていませんでした。そのため民間企業を受けていた就活生より圧倒的に自己分析の時間が足りていなかったです。
    今でも大学生の時、自分のことを知らずに周りからの評判の良さや安定、なんとなく楽そう、はたまた自分の希望より周囲の期待に応えるためというような理由で公務員一本に絞って就職活動をしたことを後悔しています。
    でも、公務員として働けたことで自分には向いていないと分かり、自分の適性に見合った仕事をしたい、自分のことを知りたいという気持ちが強くなりました。自己分析をすることなく人生で大事な職業選択をしてしまったことを後悔しています。もっと早い段階で、自分自身と向き合い、自分が本当にやりたいことを探す努力をするべきでした。

  2. 学歴不問は辞めた方が良かった
    思い切って振り切った選択をしたのですが…もっと吟味すべきだったと思っています。二度目の転職活動の時、大卒が条件の求人がそれなりにあり率直なところ、その求人の方が良質だったことは否めませんでした。一概には言えないのですが…転職活動をしているとき初めて大卒で良かったと思ったことは事実です。

  3. 複数の転職サイト・エージェントも活用すること
    当初の転職活動の時は2つしか登録しなかったのですが、せめて3つ以上は登録して比較検討しながら進めればよかったと思いました。エージェントさんでしか紹介してもらえない良質な求人もあると思うので積極的に活用した方が良かったです。エージェントさんとの相性やスケジュール感の違いなどはあるので一概には言えないのですが、私の場合は次の転職先を急いで探していたため登録後の慌しいスケジュールでもそれなりに対応できました。

  4. 求人情報を見極めること
    「フォローしながら〜、アットフォームな〜」という良さそうな言葉に惹かれてしまったことが間違いでした。また、給与、年収、勤務時間、休日・休暇、待遇・福利厚生はしっかり確認しておくことが大切だと学びました。当時の自分は公務員からの転職で、本当にこんな自分を雇ってくれるところがあるだろうかという半信半疑な気持ちからのスタートで正直なところ雇ってくれるだけありがたいという気持ちもありました。
    しかし、2回目の転職活動を通して自分にも市場価値があり、いくつかの候補の中から転職先を選ぶという経験ができました。今では、残業時間の少なさ(月20時間目安)と年間休日124日は妥協できない条件になっています。

  5. 公務員からの転職も可能であること
    公務員の時どんな業務をして、そこでどんなことを頑張ったか、そこからどんなことを学んだかを分かりやすく伝えられれば転職できることを学びました。当初は公務員からの転職なんて無謀かもしれない、転職活動を早く終わらせたいという不安と焦りの気持ちから、早めに内定を出してくれたところに決めてしまいましたが、もっと吟味すれば良かったと反省しています。

  6. 転職することのハードルが下がったこと
    公務員から転職すると決断した時が、一番転職に対するハードルが高かったです。公務員を辞めることに対しての恐怖心もあり、かなり葛藤がありました。
    今思い返してみると、この時転職すると決意できて本当に良かったと思っています。転職先のベンチャー企業ではリストラに遭いましたが、その時ですら公務員を辞めなければ良かったとは思わなかったので、やっぱり辞めて良かったのだと思っています。

    もし、私が「公務員を辞めてリストラに遭う」という経験をしていなかったら、心のどこかでリストラされた人やブラック企業で働いている人に対して自分で選んだ結果なのだから仕方ないのでは…とそういった人たちの気持ちに寄り添うことができなかったのではないかとも思っています。自分が経験できたことで、相手の立場になって考えられる幅が広がったことは良かったです。
    まだ具体的には考えられていないのですが、転職活動をする人たちに対して、一人ひとりのニーズにしっかり向き合った形で支援をする仕事をしてみたいです。

  7. 適正な業務量と人間関係が大事
    この2つは妥協できない職場環境の条件だと確信しました。こういった職場に巡り合えるよう自分を高めていきたいと思います。

最後に

公務員から転職しリストラに遭うという経験はなかなかできないことなのかなと思っています…。今では自分の貴重な経験になっていて20代の内にこの経験ができたことはむしろ幸運なことでした。

転職を2回した結果、転職に対するハードルが良い意味で下がり、生涯を通して、自分に合った働き方を見つけたいという方向性で柔軟に考えられるようになりました。その際、自分にとって譲れない条件も分かってきたことも良かったです。

辛いときに支えてくれる家族はじめ、関わってくださった皆様に感謝しています。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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