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恋に普通なんて、ある?

 恋に普通なんて、ある?

 自分の恋愛事情とか自分の周りの恋愛事情を見て思ったこと。恋に「普通」なんてもの、本当にあるの?

 かく言う私も昔は普通の恋愛を求めていた。普通じゃない恋愛というと浮気、二股、不倫、昼ドラチックな物とか相手に強く依存しすぎるもしくはその逆、とてつもない不満を抱えながらイヤイヤ続ける恋愛。色々あると思う。でもこうやって書き出してみると「人によってはこれは普通の部類に入りそう」なんてものもある。

 そもそも普通の恋ってどういうのを指すのか。少なくとも自分が過去に思い描いていたものは「相手とお互い不満なく幸せに暮らしていけるような恋愛」、そんな感じだったと思う。でも一度は恋愛を経験したことある人なら分かると思う、不満が無い恋愛なんて存在するのか?

 他者の恋愛事情を見ると「この人、我が強いな」とか「彼氏/彼女の前ではキャラ変わるタイプなんだろうけど見ててイタイ…」とか「よくそれで続いているよなー、自分には絶対無理」とか、そういう感想を持つことがある。そしてその気持ちが芽生えた上で「自分はそういうことがない、『普通の恋愛』をしたい」という考えに行きつく。

 さて。恋愛というものに興味を持ち始めてから十数年。小学生ながらにぼんやり思っていた恋愛という概念から中学、高校、大学と時が流れるにつれ様々なものを経験し、様々な恋模様を見聞した。そして気付いた。普通の恋愛なんて存在しないじゃないかって。

 人間の三大欲求といえば「睡眠欲・食欲・性欲」が挙げられるけど恋愛活動はきっと性欲の一部だと思う。もちろん一言に性欲と言っても形態は様々だけど、少なくとも異性(もちろん同性のこともある)に他の人とは別のベクトルで興味を持っているんだからどれだけ生殖行動とかそういう類のものとかけ離れた恋愛をしていたとしてもきっと性欲が絡んでいるんだろう。そしてその三大欲求に準しているんだから、多少は理性で落ち着けないところはあるはずだ。
 真っ当で純粋な恋愛をしたいと思っても我が儘になったり不満を覚えたりして、それを感じてしまう自分の小ささを自覚することもある。友人の恋愛事情を聞いて時にすごく感情的だなと感じることもある。「こんな恋愛観なんてほんとうはだめなんだろうけどね」なんて自分で苦笑しながら他人に相談することもある。でもこれがある意味「恋」というものの本当の姿なんだと思う。

 始まりがあれば必ず終わりが来る、なんて言葉はよく耳にするけど恋愛において終わりというものはしばしば自身の欠点の表れとか黒歴史の一つとして扱われる。そして自分は"普通の"恋ができなかったとか自分自身が"普通"じゃなかったんだなと実感する人は多いと思う。自分は恋愛経験が豊富ってわけではないけど、周りの友人の話を聞く限りそういった共通点を感じる。

 一般的に恋がうまく続いて実ると婚姻関係を結ぶようになって、人生における半永久的にパートナーと向き合うことになる。それだけの間、同じ人物と長い時を過ごすことになる。その中で自分のすべてを理性で抑えつけて綺麗な一面だけを見せられる人間なんているのか。
 少なくともその間に自分の汚い一面とか醜い側面を見せることになる。でもそれを露にした途端それが「普通ではない恋心」に分類されてしまったら一体どこに普通なんてものが存在するの?何の不満の無く、常に平和で居続けることはむしろ普通じゃないんじゃないかと思う。

 恋に普通なんてある?
 きっと、恋に普通なんて存在しない。
 綺麗な恋なんて、とても限定的でそれは本当の恋なんてものじゃないのかもしれない。
 

恋はみんな異常なもので、その異常さが普通なんだ。