【コロナ禍のフィリピンを知ろう】アイキャン×事務局×YNSインタビュー①
※※過去記事を再投稿しております※※
「皆が大変な状況にあるコロナ禍で、世界のどこにいても、フィリピンの為に一緒に考え行動できる機会をつくりたい」という趣旨のもと、2020年11月29日にフィリピンオンラインチャリティイベントが開催されました。
今回、イベント発起人である事務局の阿部さん、寄付先であるアイキャンのスタッフ池上さん、寄付を行った会社、YNS梅本の3人でイベント振り返りを行いました。フィリピン・寄付に興味がある方、ぜひご覧いただきたいと思います。
イベント詳細
登場人物
・特定非営利活動法人アイキャン(ICAN)のスタッフ池上さん
・事務局の阿部さん(元アイキャンスタッフであり、現YNSの社員)
・インタビュワー YNSの梅本
イベントの振り返り
梅本:オンラインチャリティイベントを行った感想をお聞かせください。
阿部:イベントには多くの方が集まってくださり、無事成功することができました。当日は前半、生中継でフィリピンと繋ぎ、ゴミ山やフェアトレードの現状を直接聞けたのがよかったです。後半は参加者の交流として、小さな一歩チャレンジの話し合いをしてもらいました。皆さんフィリピンに所縁がある方が多く、思い出話が盛り上がり楽しんでもらえたようです。
フィリピン・国際協力に興味関心を持っている人たちが集まる機会がなかなかないので、このコロナ禍で、オンラインでもチャリティイベントを開催できたことが意味があったのではないかと思いました。
梅本:オンラインだからこそ、場所を選ばず様々なところから参加できたのがよかったですね!
阿部:そうですね。さらに、ただ楽しいだけはなくて、参加費が寄付のお金になる活動ができたのがよかったです。
梅本:参加したのはどのような方が多かったですか?
阿部:社会人の方が多く、もともとフィリピンに繋がりがある方がほとんどでした。知り合いに誘われて参加してくださった方もいたようで、何も知らなかったフィリピンのゴミ山で頑張っている人たちがいることを知り、衝撃的だったという話を聞きました。
梅本:オンラインイベントの後の「小さな一歩チャレンジ」に参加してくれた方は、イベント当日に参加した方のみでしたか?(※小さな一歩チャレンジに参加すると協賛企業から寄付がされる仕組み)
阿部:イベントに参加してくれた方はもちろん、参加していなかった方も全体の半分くらいチャレンジに挑戦してくれたのが嬉しかったです。参加するだけで寄付のお金が集まるチャレンジあるよと、Facebookに投稿してくれたり、友達や家族に呼び掛けてくれたり、本当に多くの方が参加してくれました。
最初はやり方がわかりづらくて、少し盛り上がりにかけたのですが、期間終盤に近付いてくると、もっと頑張ろうと投稿してくれる人が増えてきました。応援したい気持ちと同時に、今日はどんな投稿があるのかなと、ページを開くことを楽しみにしてくださる方が増え、チャレンジが終わった後も、名残惜しく寂しいという声も聞きました。
梅本:皆さん一体になってイベントを盛り上げてくれたんですね!池上さんもイベントに参加された感想を教えてください。
池上:今回はオンラインだったので、Facebook上の自分のタイムラインにフィリピンのいいところを載せたり、フィリピンについて紹介をしました。それを見てイベントに参加してくれる人が増え、投稿にいいねをつけたり、同じチャレンジをしてくれて嬉しかったです。毎日、チャレンジを楽しみにしていたので、私も同じく終わったあと少し寂しい気持ちになりました。
在宅で人に会う機会がない中でオンラインで人と知り合えて、同じチャレンジができたことが、個人的にもすごく楽しくて、いい取り組みだと感じました。
梅本:全部でいくつチャレンジが投稿されたのでしょうか?
阿部:延べ292チャレンジ投稿があり、目標(250チャレンジ)を上回ることができました。最後の盛り上がりがあり、無事達成することができました。
・株式会社YNS 5万円
・株式会社アップワード様 5万円
・フィリピンオンラインチャリティーイベント参加費+寄付= 91,338円
合計191,338円を認定NPO法人アイキャンに寄付を行いました。
コロナ禍のフィリピン
梅本:続けてコロナ禍のフィリピンの現状について教えていただけますか?
池上:2020年3月半ばから2カ月以上にわたり、かなり厳しいロックダウン(都市封鎖)が続きました。移動制限のための検問が実施されたり、公共交通機関である乗り合いバスが止まったり、高齢者・こどもの外出が認めらないなど、世界的に見てもかなり厳しい制限がありました。その後は、段階的に厳しいロックダウンを解除しているものの、ロックダウンによって、仕事がなくなってしまった方がかなり多いという現状があります。
アイキャンの活動は、元々社会的に脆弱な立場にあった、低所得層の人びとや、路上のこどもたち(ストリートチルドレン)を対象に支援していて、ロックダウンにより現金収入が失われている人びとが数多くいます。乗り合いバスの呼び込みで小銭を稼いでいた子どもたちは仕事を失い、食べること自体が困難になりました。
梅本:フィリピン政府から支援はないのでしょうか?
一部の地域では何度か現金給付と食料の給付があったのですが、政府の持っている居住者のリストが完全でものではありません。住民登録がされていると基本的にはもらえるにはずなのですが、リストから抜けている人がいたり、路上のこどもたちは家がないので住所登録がされていなかったり、出生登録がなかったりするので、そういった世帯は政府からの支援が受けられていないという声を聞いています。
梅本:そういった子どもたちに、アイキャンが支援を行っているのですか?
池上:そうです。まず、命をつなぐために、4月の頭に食料配布(お米・たまご・鶏肉・缶詰など)を行いました。ただ、家を持たない路上の子どもたちは、調理器具へのアクセスがなく食材を調理するためにも誰かの力を借りる必要がありました。
そこで途中から方針を切り替え、路上の子どもたちが多く住む地域の食堂と提携して、その食堂に材料費を支払うことで、食堂から子どもたちに食券を配布してもらうようにしました。その食券を店主に見せるとごはんがもらえるようにして、地域と連携しながらどうやってこの新型コロナウイルスを乗り越えていくかという活動をしていました。
阿部・梅本:その仕組みすごくいいですね!!
池上:子どもたちへ配布した食材が換金される可能性もあり、そのお金で食料を購入するのであればまだいいのですが、遊びのためのインターネットにお金を使ったり、シンナーなどの薬物を購入してしまったりする可能性も考えられるので、食堂から食事を出してもらう方針に変更しました。
梅本:フィリピンにアイキャンのスタッフの方はどのくらいいますか?
池上:日本人が1名、路上に関しては現地スタッフ5名くらいいます。そのほか、マニラから少し離れた児童養護施設(こどもの家)では、寮母さん・ソーシャルワーカーなど5名くらいのスタッフで回しています。児童養護施設は24時間安全に子どもたちを保護する目的で作られ、現在こどもは6、7人くらい住んでいます。
阿部:児童養護施設は、子どもたちが安全な場所で暮らして、自分たちの力で学び、もう一度、路上生活に戻らないように学んで行くところです。児童養護施設がないと通所型のケアがほとんどになってしまい、それだけだと子どもたちを完全にケアすることは難しいです。
梅本:路上にたくさんの子どもたちがいる中で、現在暮らしている子はどういう経緯で入所されたのでしょうか?
池上:まず大前提として、アイキャンが声をかけて強制的に子どもを連れて行ってしまうと誘拐になってしまいます。親がいる場合は、親の同意書が必要になりますし、親がいない場合は政府に届け出を行います。そして、子ども自身が学校に通って安全な生活を送りたいかどうか、本人の意思を確認するようにしています。
生まれたときから路上生活をしている子供たちからすると、学校に通ったことがないため、何で学校に通わなければならないか、何のためにあるのかという、理解がない場合が多いです。ありません。そのため、児童養護施設に連れてきても、逃げ出してしまったり、学校に通わなくなってしまうことがあるため、本人の意思を1番尊重するようにしています。入所させるかどうかは、その子に身寄りがあるかどうかが判断の1つになっています。基本的に、親族と過ごすのが一番愛情を注いでもらえるはずなので、ソーシャルワーカーやこども本人と相談しながら進めています。
アイキャンはフィリピン政府や自治体にも働きかけをしているので、いまいる子どもたちは、政府や自治体から連絡をもらって保護した子も多いです。2019年に増築し、最大30人住めるので、フィリピン政府と協力して保護を進めています。
梅本:路上の子どもたちは出生届も出ていないケースが多そうですが、フィリピン政府では正確な数字を把握しているのでしょうか?
池上:約25万人と言われていますが、出生登録されていない子はおそらく統計を取られていないかだろうから、実際のところはわからないと思います。
梅本:把握しているだけでも、大変な数字ですね・・・。
2021年2月時点のフィリピンは、コロナ禍初期と比べ、状況はよくなってきたのでしょうか?
池上:公共交通機関は乗車制限があるものの、経済活動は行われています。過去最悪の失業率(17.6%、フィリピン統計局)を記録した2020年4月からは徐々に回復しているものの、社会的に脆弱であった低所得地域の人びとや路上の子どもたちは、コロナによって更に困窮した生活が続いていますので、アイキャンとしては、これからも支援を続けていきます。
インタビュー②へ続きます。
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