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マイ・インターネットガール

“You are my internet girl.”


彼女はわたしにそう言った。沖縄に住んでいた彼女は、英語が堪能だった。ある日、Instagramで、わたしと彼女は自然と繋がった。


数年後、沖縄を訪れた時、彼女の姿を探した。名前は覚えていたけれど住所は忘れてしまっていた。今思えば、彼女は美大出だったから、名前を検索エンジンにかけたら、名前が出てきたかもしれないけど、暑さで朦朧としている頭は、そこまで考えが至らなかった。


彼女も間違いなく、わたしの中で特別なインターネット・ガールだった。一度、お手紙を交換した。彼女の文字は整っていて可愛らしくて、当時わたしの目からは、繊細すぎる彼女が字の綺麗さによって彼女自身を支えているようにも感じられた。


現実は驚く程混沌としていた。でも、彼女とInstagramで繋がっている事実と感覚だけが、わたしを安心させていた。


彼女は時折とても悲しそうだった。悲しそうで、とことん闇の中を歩き続け、そして、どこか悟っているようだった。


わたしは彼女の強さが、時折羨ましく感じられた。わたしと彼女の違いは、彼女が誰かと親密さを持っていることで、わたしは親密だと感じられる人が当時はいなかったように思う。だから、彼女にすがって、甘えていたのだと思う。


そんなわたしのことを、彼女は嫌がるだろうと思っていたのだが、彼女はわたしの投稿にとても素敵なコメントをくれたり、わたしがコメントやメッセージをしても、同じくらいの熱意で返してくれた。


わたしが氣づかないところで、彼女も、わたしと同じようなことを思ってくれていたら嬉しいな、と思った。


わたしは、Instagramのアカウントを何回新しく作り直したか分からないくらい作り直している。その衝動が終わった後に、いつも一人か二人、アカウント名が思い出せない、会いたい人がいたりすると、とても悲しくなる。あの人は、傷ついていないだろうか。本当はとても、また会いたかったのだ。

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