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イギリスで子宮頸がんの手術をする話

1.はじめに

イギリスで子宮頸がんの手術をすることになったのですが、あまり詳細な情報がネット上になかったので、どこかで同じような悩みを持って渡英してきて困っている方もいるかもしれないと思い、このノートを書きました。

イギリスで病気するってどんなかんじ?ということの参考になれば幸いです。この病気で使われる英語での専門用語なども、後半部分にまとめて書いてあるのでよかったら参考にしてください。

子宮頸がんは20代から40代で患者数の多い病気の一種なので、手術までには至らなかったものの精密検査が必要ですと言われた方も多いはずです。

そして、子宮頸がん検診では異常がなかったのに(あるいは異常がなくなったといわれたのに)、癌になっていたというような話をよく聞くぐらい、この病気は検査をしていても発見が遅れてしまうことがよくある病気です。20代から30代の女性は日本以外の国で暮らしていても子宮頸がん検診だけには行ってほしいと心から思います。

私が子宮頸がん検診で引っかかった経緯をはじめに書きます。

私はピルを飲んでいたので産婦人科に通っていたのと、会社の健康診断の両方で半年に1度、子宮頸がん検診を受けていました。

なのに、、

YMS当選1ヶ月前に、会社の健康診断で、子宮頸部に異常がある細胞がある(ASC_UC)との結果が出て、大きな病院へ行きコルポスコピー(colpsocory)という爪切りのようなもので細胞を取る精密検査をしました。人によりますが、痛いというよりかは精神的に来るいやーな検査です。その検査結果で中等度異形成(CIN2)と診断され3ヶ月に一度、精密検査に来るように言われました。

渡英前最後の検査で(見つかってから8ヶ月後)、悪い細胞が消える傾向には今のところないこと、イギリスにいったらすぐにGPに登録して検診をするようにと言われました。(日本での診断書などはもらい忘れていましたが、イギリスに来て必要にならなかったので問題なかったです。)

日本だと、子宮頸がんの検診では細胞診といわれる、おかしな細胞がないか確認される検査ですが、イギリスではSmear test といわれるHPVに感染しているかしていないかを確認する検査です。検査を受ける側はまったく同じようなことをされますが、検査方法は少し違います。

日本でコルポスコピーの検査をした際に、HPVの検査もするのですが、その時はHPVは発見されなかったと言われました。このようにSmear testだけの検査では、100%発見は期待できないので検診の紙が届いたら絶対に行くことが大切です。

日本と海外の手術の違いなど(古いけど)→http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=64/9/06409N0305.pdf

2.イギリスのワクチン情報

子宮頸がんの予防方法はワクチンしかなく、ちょうど9価のワクチンが日本でも接種が可能になった時期だったので、3回で99,000円しましたが打ちました。私のもう悪くなってしまっている細胞には効果はないですが、これからかかるかもしれないHPVには効果があります。イギリスでは9価ワクチンを25歳までは無料で接種できます。

25歳以下でYMSや留学で来ているひとも対象かと思います。


25歳以上だと、3回接種で£475。今のレート(156円だと、74,100円なので日本より安いです)


3.イギリス移住後→精密検査の予約

GPにオンラインで登録→電話でGPに連絡。

「子宮頸がん検診でCIN2と日本で診断された。日本では3ヶ月に1度検査にくるように言われているんだけど、どうしたらいいか」と尋ねると、

「出血はあるか、痛みはあるか」など簡単に健康状態を聞かれ、特にないです、と答えると「じゃ、コルポスコピーの検査の手配するよ、2日間以内に専門の病院から連絡が来ると思うんだけど、もし連絡なかったらまた連絡してー」といわれました。

翌日、UNIVERSITY COLLEGE LONDON HOSPITALSから電話が来ました。健康状態を聞かれ1週間後にコルポスコピーの予約するから来てね、とすんなり予約できました。その時、英語での電話対応が不安だったのですが、SMSでも予約したよとテキストベースで毎回連絡が来るので、聞き漏れがないか再度確認できて助かります。Smear testはスキップして最初からコルポスコピーという精密検査の予約をされたのは対応が早く感心しました。Smear testは100%ではないので、日本で子宮頸がん検診で引っかかった過去があるひとはちゃんとその事を伝えるのがいいと思います。

4.精密検査の内容

精密検査当日、指定されたUNIVERSITY COLLEGE LONDON HOSPITALSというロンドンにある比較的新しい病院へ行きました。受付で「予約してるものです」と伝えると、住所、電話番号などを聞かれました。そして、Who is your next of kinと聞かれたのですが意味がわからずに困りました。It is my partner ○○~、His phone number is ○○~、のように緊急連絡先を伝えればよいそうです。

受付後、待つこと15分程で診察室へ案内され診察を受けました。

イギリスと日本のコルポスコピーの検査の違いはいくつかありました。

・日本の産婦人科にあるようなカーテンなどの仕切りはないです。

・組織細胞を取った後、日本だとタンポンやガーゼを入れられたり、化膿しないようにムース状の薬を塗られるのですが、そういったものはなかったです。「取って終わり。」でした。

痛みに関しては、日本と同じような鈍痛程度の痛みでした。

ナプキンなども用意されていました。

医師には、「CIN2には見えないよー、まぁ全然大丈夫そうだけど検査しておこうねー」と言われました。検査中は、何の仕事をしているの?なぜイギリスにいてどれくらい滞在するのか?などなど聞かれました。

5.検査後

その後、コルポ検診から4日間程度、少量の出血が続きました。これは日本で検診した時だとなかったことなので驚きました。多分、薬などを塗らないから?止血をしないから?だと思います。

それから10日後にいきなり手術の予約したよ!と、日程と手術内容だけがメールで届きました。「私に何が起きてるの!?」「手術!!?」と驚きました。日本だとそんなことは絶対おきないですよ・・それからしばらくして、主治医から2カ所ハイリスクのHPVに感染して細胞の異変があるのを見つけたから、手術したほうがいい、というような診断のメールを受け取りました。

Your smear from today was positive for high risk HPV and the cells were severely abnormal.
At colposcopy you had two small areas of possible viral change and these have been reported as mildy and occasionally moderately abnormal cells (CIN1-2).

日本だとまだ手術の段階ではなかったかもしれないですが、イギリスではHPVの型を重視し、より早い段階で手術をする傾向にありように思います。

6.手術方法

病院からのレターにはLLETZ(LLETZ/ Loop Excision / Diathermy Loop Cone)というループ状の電気ワイヤーを用いた手術方法で手術をやるよ!と書かれていました。日本の子宮頸がんのブログなどを読んでいたのですが、この手術方法を聞いたことがなかったのでいろいろと調べました。

日本語で手術方法を調べると、出てくるのが円錐切除術やレーザー蒸散術というものでした。

レーザー蒸散術→軽度しか適用されない。将来の早産のリスクが少ない。病変を焼いてしまうので、それが癌だったのかどうなのかの検査ができない。確実に全部がなくなるとは言い切れないので再度手術することが多い。日帰りでも大丈夫

円錐切除術→日本のメジャーな方法。将来早産のリスクがある。多くの場合入院する

早産のリスクがほぼないレーザー蒸散術がいいのでは、と思い病院に問い合わせると、レーザー蒸散術は今はもう行っていないと言われました。何件かボランティアでアドバイザーをやっている団体へレーザー蒸散術がしたいんだけどどうしたらいいかと聞いてみました。

日本だと、違う病院でセカンドオピニオンを簡単に予約できますが、イギリスでは容易にできないので、ボランティア団体へ相談するのが一般的だそうです。それか、自分のGPへ相談する。

すべて返答は、レーザーは昔はやっていたけどaccurateじゃないからNHSではもうやっていなく、LLETZしかない。プライベートではやっているところもあるかもしれないけれど探すのは難しいと思うよ、というものでした。「異国で手術をするのは不安だという気持ちはすごくわかる、でもNHSの医師たちは一定以上のスキルがあるから大丈夫だよ。LLETZは先進国で今一番使われている方法だから安心して」という言葉に背中を押され、イギリスで手術をすることに決めました。

丁寧に教えてくれたボランティア団体


7.日本の手術との違い

とはいっても、3ヶ月前に3ヶ月後の手術の予約を勝手に入れられており、私の仕事の納期と被っていたこともあり、私としては一先ず自分のスケジュールと兼ね合わせて手術の日程を決めたいところです。なので手術の日程を変更できないか?と病院に連絡をすると、「できるけど次の予約はすごい先になるよ?あなたはもう既に3ヶ月も待っているから予約のキャンセルはおすすめしない。」とハッキリと言われました。流石NHS、融通が利かない。生理不順の人だとピル飲んだりしてずらさないといけないのかな。

また、日本で手術をされた方のブログやYouTubeをみると、みなさん全身麻酔はもちろんされて入院も3-5日間程度していました。

なのに、、

イギリスでは、部分麻酔だけで入院も子宮摘出のレベルにいかない限りないようでした。

では実際に、手術中にどういったことが私の身に起こるのかを事前に知っておきたかったのですが、情報などはあまりみつかりませんでした。そもそも部分麻酔で手術ってどういうこと?と(笑)この2人のユーチューバーさんたちが具体的にどういった手術が行われるのかを語ってくれていたのでとても参考になりました。

全身麻酔ではないので足が震える、起きているので焼かれている匂いがする、機械の音が怖い、もしかしたら切り取られたものを見るかもしれないとか、マジかイギリス。。。という感じです。



ニュージーランドやオーストラリアで私と同じ手術をした人も全身麻酔で眠っている間に手術が行われるようなので、なぜイギリスでは部分麻酔なのか本当に「そこなんとかならないかな」という気持ちでいっぱいです。

ニュージーランドで手術された方のブログ

オーストラリアで手術された方のブログ


8.イギリスの無料医療制度(NHS)

イギリスの医療制度はたくさん問題を抱えており、入院患者を極力出さないようにしているそうです。診察までに1年も待たされることもよくあるので、とても問題になっています。他国で行われているような全身麻酔ではなく部分麻酔なのも、術後の回復が早く1日に多くの人を手術できるからというのが理由なのかもしれません。特に今のロンドンでは待っている患者がたくさんいるようです。


でもやっぱり無料というのはとってもありがたいことですよね。(正直、お金を払ってでも身体のことは安心して治療したいですが)

日本にいたころ、都内の大学病院で診察や検査で1回行くごとに1万5千円程度支払っていたので、お金の心配がなく病院へ行けて、手術をしてくれることは本当にありがたいことだと思います。また、日本で手術となった場合だと、(医療費控除が適応されますが)入院費、診察代すべて込めると10万円は軽くかかることが予想できます。

ちなみに私が支払った、IHSという移民の人がビザを取得するときにかかる健康保険の代金は144,634円です。

また、手術方法に関してですが、LLETZ という世界的にメジャーな手術方法であること、具体的にどんな器具をつかってどんなふうに手術がされるのかを前もってメールをくれるのはよかったのかなと思います。将来、イギリスで癌になったとしても、日本のように検査後、家族が呼び出されて余命宣告とかはされずに、サクッとメールなどで知らされるんだろうと勝手に予想してしまいました(笑)

9.最後に

日本とイギリスの手術方法や検査方法を比べて、どちらがいいなどとは言い難いです。どちらも違ってどちらにもメリットがあるし、国民の性格や国の状況なども全く違うのでどちらが優位ということはないのかな、とリサーチをして思いました。

長くなりましたが、ここまでが私が今までイギリスで経験した手術をする前までの過程になります。あくまでも私個人が経験したことと、私がGoogleさんでたくさん検索をし拾ってきたものです。

来週手術をするので、また実際の手術の状況のことなどを書けたらと思います!

10.子宮頸がん検診で使う専門用語

Smear test 子宮頸がん検診。HPV感染を綿棒みたいなもので確認。痛みゼロ

Biopsy 生体検査。細胞取ってみるので痛い。

Colposcopy 精密な子宮頸がん検診。Colposcopy科というような感じで病院の診察室やいたるところに書かれていた。日本だと子宮頸がんの精密検診に来たなどというと思うのですが、イギリスではColposcopyに来たって言えばOK

abnormal cells 異常が認められる細胞

CIN1→CIN2→CIN3 軽度異形成→中等度異形成→高度異形成

LLETZ カタカナだとレッツみたいな発音。ループ状の電気ワイヤーを用いた手術方法

procedure 手続きとか、工程とか。この場合手術の過程

anaesthetic 麻酔(anaesthesia 麻酔されてて動かない状態)

genel anaesthetic 全身麻酔

local anaesthetic 部分麻酔

Outpatient 外来

excision 切除

cervix 頸部

Cervical cancer 子宮頸がん

speculum 検鏡

cauterised 傷口を焼く


イギリス式アルコール量の計算式

あと、アルコールをどれくらい飲む?という質問は歯医者でもどこでも聞かれる質問なのですが、単位もunitsとかで聞かれるので難しい。

基準は1ユニット(日本語では1単位)=8gのアルコールとして

飲んだ量ml×お酒のアルコール度数/1000=アルコール摂取量(units)

となるそうですが面倒なので、下記の写真を参考に計算しておくと楽かとおもいます。

Normally, I drink around 15 units a week, (such as a bottle of wine and two cans of beer)など。NHSでは14unit以上は健康にリスクがあると言われているので、14unit以上で言うと医師からいろいろ言われて面倒なのでお気を付けください。

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