【対談】KARADA内科クリニック 渋谷 田中雅之院長 × 森田ゆき 性感染症とは?
性感染症というと感染しているかもと不安に感じても、何科を受診したらいいのか分からなかったり、人に相談しにくかったりするのが現状ではないでしょうか。
開業から約1年。内科と感染症科を専門とするKARADA内科クリニック 渋谷 田中雅之院長に、感染を疑ったらまずどうしたらいいのか、性感染症にまつわるお話を伺いました。
疑ったらまずどうしたらいいのか、性感染症にまつわるお話を伺いました。
性病かも?不安を感じたら、自己判断をせずにまずは病院へ
森田:渋谷の駅前で開院されてから1年ほど経たれたかと思うのですが、性感染症で来院される方って多いのでしょうか?
田中院長:とても多いですね。性行為を行えば性感染症のリスクはあるので幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。もちろん10代、20代の方もいらっしゃいます。特に若い方には複雑な感情や事情をお持ちの方もいらっしゃいます……
森田:若いと自分の症状に対して、どの病院へ行ったらいいのかという知識がなかったり、恥ずかしくて親や周りに相談できなかったり、色々と悩みがありそうですよね。
田中院長:そうなんです。
治らないかもしれないという不安。今後、他の人と付き合えるのか、子どもは産めるのかといった未来への不安もあるんですよね。
あとは、感染した経緯が例えばパートナーが自分以外の相手と性行為をしたためであったり、逆に自分がパートナー以外と性行為をしたためであったり。治療だけではない、一人一人に寄り添って症状の治療と同時に必要な情報提供や心のケアも可能な範囲で実施しております。
診療科と治療方法
森田:性感染症というと一般的には男性なら泌尿器科、女性なら婦人科へ行くパターンが多いのでしょうか?KARADAクリニックではどのような検査をいって、治療につなげていくのでしょう?
田中院長:陰部に違和感がある場合、泌尿器科・婦人科性へいく方が多いとは思います。検査は男性なら尿検査、女性なら膣の検査を行います。通常婦人科では内診をすることが多いと思いますが、当院では綿棒を用いてご自身で検体を採取してもらえるキットを用意しています。治療方法としては内服薬、点滴、塗り薬を処方するので、基本的には婦人科や泌尿器科と同じ治療が実現できることが多いと思います。
森田:最近若い人のクラミジアが増えているといった話を聞きますが実際はどうなんでしょう。
田中院長:クラミジアはとても代表的な性感染症の一つです。
検査をすればすぐに見つけることができ、抗生剤の飲み薬で治すことができます。ただし、感染初期は特に自覚症状がなく気付かないケースもある、あるいは、無症状の場合もあるというのが特徴です。他には、ここ数年で梅毒という性感染症が増えてきています。
森田:梅毒と聞くと昔の病気でとても怖いというイメージがあります。
梅毒患者報告数の推移(2006年〜2021年)
田中院長:梅毒は経過とともに症状が変化するため受診のタイミングを逃し、発見が遅れるケースにしばしば遭遇します。はじめ、喉の痛みやリンパ節が腫れることが多く、風邪と勘違いすることもあります。陰部のただれ(陰部潰瘍)や全身性湿疹(バラ疹)という症状が出て初めて来院する方もいらっしゃいます。無治療でほったらかしにすると、神経梅毒と呼ばれる状態への移行が懸念されますが、手遅れになる前に発見して適切な治療を行えば治癒しうる病気です。そういう意味では、診断がとても重要ですので、少しでも不安を感じたらまずは病院へ来てほしいです。
まずは相談することで次の治療につなげていく
森田:違和感を感じたらすぐに通院した方が自分のためでありパートナーのためでもあるんですね。
田中院長:そうですね。ただし、中々性感染症のことを懸念して医療機関を受診すること、保険診療を受けることができること、実際に治療費がいくらかかるのかなど全く想像がつかないために受診をためらう方をよく見受けます。当院では症状があることで保険診療を受けることもできます。自費で治療をする場合と比べると、値段をかなり抑えて、おおよそ1/3程度で治療ができます。そもそも、そういった不安やシステムに関しても気軽に相談していただきたいです。
性病かもしれないと思っても、友だちや家族に相談できない。ネットで調べて不安で眠れない夜を何日も過ごしてからクリニックにやってくるなんていうパターンもあります。不安な気持ちを抱えてくる方を受け入れるのが私たちの役割です。プライバシーを守りながら安心して治療を提供できるように努めています。何よりも一人一人が性感染症がどんなものなのか、どう予防するかの知識を得ることが必要です。
森田:具体的にはどんな予防策があるのでしょう。
田中院長:性感染症の予防として、コンドームの使用は有効です。そもそも、性行為前にお互いに性感染症を持っていないか検査して確認することも予防になるでしょう。加えて、子宮頸がんや尖圭コンジローマと言われるイボの原因にもなるヒトパピローマウィルスを予防するには、ワクチン接種も有用です。様々な性感染症もある一方で、多様な予防策が存在します。ただし、それらにも限界があります。最後に強調したいのは、不安を感じるような症状があった場合には一人で不安を抱えないことだと思います。不安な気持ちのまま悩み続けるのではなく、もっと気軽に来院できる、相談できる環境を整えていくのが私たちの使命だとも日々の診療で感じております。
森田:性感染症、性病かもと思うと恥ずかしくて病院へ行くのをためらってしまう。そう感じないためにも早く発見して的確な治療につなげることが不可欠ということですね。そのためにも性病に対する認識を改めて、正しい知識を伝えていく必要がありますね。
今後どう区民の方たちに伝えていくのか、ぜひ相談させてください!
文・イトウノリコ
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子宮頸がんとワクチン <PART 2>
田中 雅之院長 略歴
KARADA内科クリニック 渋谷院長
医学博士
日本感染症学会専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本医師会認定産業医臨床研修指導医(厚生労働省)
KARADA内科クリニック
https://karada-naika.com
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