森井裕一

EU研究、ドイツ研究、国際政治学を研究しています。 ネット上で議論はいたしません。

森井裕一

EU研究、ドイツ研究、国際政治学を研究しています。 ネット上で議論はいたしません。

最近の記事

『現代ドイツの外交と政治』【第2版】が発売されます

 2008年に『現代ドイツの外交と政治』を書きました。当時は未だメルケル政権が発足して数年でした。  その後16年も続いたメルケル政権も終わり、既にショルツ政権が発足して2年となっています。この間にはユーロ危機、ロシアによるウクライナ領クリミア半島併合、難民危機、イギリスのEU離脱、中国の一帯一路政策と国際的影響力の拡大、ロシアによるウクライナ侵攻など、ドイツにも大きな影響をあたえる出来事が続きました。  これらを取り入れた『現代ドイツの外交と政治』【第2版】を間もなく、20

    • +6

      1987年9月のドイツ民主共和国(東ドイツ)(アイゼナハ、ヴァイマール、ライプツィヒ)

      • テレビに国際政治学者が登場するとき

         ウクライナで戦争が始まってから、連日国際政治学を専門とする先生たちがテレビに出演している。通常、大学や研究機関に所属する研究者は本業があるので、そう頻繁にテレビに出演するものではない。(自称「国際政治学者」のようにメディア出演を生業にしている人たちは別です。)テレビの生放送のスケジュールは決まっているし、融通がきくものではない。ウクライナの戦争は大学入試の季節に重なってしまったので、大学に勤務している者は自分で勝手に職場を離れることはできない時期だった。そんな多忙ななかでも

        • EU「タクソノミー」の決め方

          EUの行政機関であるEU委員会(欧州委員会)が「タクソノミー」に天然ガスと原子力を加えるという案を決定したことが大きな議論の的になっている。 タクソノミーとは下の記事にあるように「何が持続可能かを分類し、EUが掲げる環境関連の目標達成に貢献する経済活動かどうかを示す基準」のこと。つまりこの分類によって、投資が気候変動を抑制するお金の使い方となっているかどうかが判定されることになる。 タクソノミーで持続可能のカテゴリーに分類されれば、その投資先(たとえば原子力発電所やガス発電所

        『現代ドイツの外交と政治』【第2版】が発売されます

          ときどき思い出されるエピソード

           もう10年以上前のこと、ずっと年配の先生から、聞いたことが時々思い出されます。この先生は、私の研究分野とは非常に遠い分野の研究者でしたが、とても真摯な方で、尊敬できる方でした。  ある国際会議で発表したところ、フロアの研究者(といってもその業界はさほど広くないので知り合い)から、あなたの発表したことはあの本に書いてある、と指摘されたそうです。その先生は、その本なら所有していて、自宅にあるはず、と思ったそうです。  帰国後、自宅の書架を探してみると指摘された本をやはり所有し

          ときどき思い出されるエピソード

          2022年のドイツ政治展望

           2022年に限ったことではないですが、今後1年の展望とか、難しいしいです。2021年のはじめに誰がメルケル首相の後任がSPDのショルツ蔵相になると予想できたでしょうか。私はCDUの党首か緑の党の首相候補(そして2021年の1月だとどちらもまだ人が決定されてすらいなかったわけですが)のどちらかが首相になる可能性が高く、おそらくはCDUを中心にした3党連立内閣になるであろうと考えていました。  春になると急速に緑の党が勢いを増し、ベアボック共同党首が緑の党の首相候補になると、緑

          2022年のドイツ政治展望