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「三千円の使いかた」/原田ひ香

週末に、原田ひ香さんの「三千円の使いかた」を読み終えました。

これは、御厨家の3世代の女性たちが直面している「お金に関する人生の悩み」を描いた連作短編集。

就職し、一人暮らしをはじめた20代の美帆(貯金30万円)。
美帆の姉で専業主婦の真帆(貯金600万円)。
美帆と真帆の母・智子(貯金100万ちょっと)。
そして美帆と真帆の祖母・琴子(貯金1000万円)。

夫に先立たれ、年金が減って少し心もとない祖母・琴子。貯金はあるものの「病気になったり介護が必要になったら……」という不安と「あの世にお金なんて一銭も持っていけないんだから、そんな大金あっても……」という気持ちも少し持ち合わせていたり。

夫婦生活も長くなり「私の存在って何?旦那にご飯作るためだけの人間?」とモヤモヤしている智子。けど離婚したら経済的に苦しくなるのは自分自身。大きな不満はないけれど、小さな不満と生きる熟年世代。(更年期の影響も。)

奨学金の満額返済が残った彼と結婚を考える美帆。

贅沢をせずコツコツ地道に続ける節約に、時々息苦しさを覚える専業主婦の真帆。

世代別に直面する人生の経済的な壁みたいなものがあるんだなあ、と改めて実感。就職したての美帆や専業主婦の真帆のような境遇は、自分にも似たような経験があるなあと共感しましたし、智子や琴子のシニア世代の話は「私もこういう人生の悩みをこれから経験するのかなあ」なんて気持ちで読みました。

お金の価値観って、本当に人それぞれだと思います。私は日本で生まれ育ち、イギリスに住んでいるせいか、金銭感覚もお国柄が出る部分もあるな、と感じたり。家を購入する時や、普段の買い物に対する価値観も主人の考え方と違うことが多くて、結婚当初は折り合いをつけるのに苦労したこともありました。

例えば、私の住むイギリス北部スコットランドは医療費や薬代(医師から処方された薬に限る)は無料なので、本作の琴子のように老後「大きな病気するかもしれないから…」という目的で貯金をする人はあまり見なかったり。こちらは教育も一般的に大学まで無料。それでも大学で一人暮らしすることになったら…と思い、我が家は子どもが生まれた時から積み立てておりますが(←ここが日本人的。笑)、子どもの学費を積み立てをしている人も少ないと思います。

この本を読んで、改めて「これは大切にしたいな」と思ったことは、

  • 自分(たち)の身の丈に合ったものを買うこと

  • その物の価値をしっかりと見定めること

かなあ〜、なんて思いました。

主人は安い物が好きなタイプ。安い物って手軽に買えて、汚れたり壊れてもアッサリと見切りをつけられる反面、質が悪いことが多かったり、すぐに壊れてしまって、すぐ買い替えないといけないことが多い……。

私は少し高くて気に入ったものをずっと大切に使うタイプ。20年前に父が買ってくれたブランド品のマフラーや時計なんかを、いまだに愛用しています。もちろんお値段は手軽ではありませんが、20年も使っていると思うとある意味こちらの方が経済的かもしれません。「物持ちいいな〜」と主人にいつも感心されるのですが、私にとってはこれが当たり前だったりします。

お金の使い方って「何を買うか」も関係してきますよね。例えば、すぐにサイズアウトしてしまったり、汚れてしまう子供服は安い物でいいかな、とか。そういう意味では「何を買うか」「そのお金の使い方に本当に価値があるのか」「自分の身の丈にあった物か」を見定めるスキルが大切なのかなあ、なんて思いました。

この本は人生の教本として、また少し時間がたったら読み返したいです^^


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