天邪鬼観察学会’ @中小零細企業や非正規労働者の賃上げが必須条件
◆ 目のつけどころは良いと思います。一定の的を射たコラムです。
~~< 以下 引用 >~~ ■ 世界トップの教育水準を労働生産性に転換できない日本の課題 ⇒ http://bit.ly/2hsHC2S ■ 労働生産性とは、各国のGDP(国内総生産)を就業者数で割った値で、労働者のパフォーマンスの指標としてよく使われる。総務省統計局『世界の統計 2016』という資料に、各国の計算済みの数値(2013年のデータ)が掲載されている。 横軸に「PISA 2015」の科学的リテラシー(理系学力の指標)の平均点、縦軸に労働生産性をとった座標上に、両方が分かる34カ国を配置すると<図1>のようになる。
[図表]
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◆ “科学的リテラシー”というのは聞きなれない概念ですが…
私は、横軸を“科学的リテラシー”という聞きなれない指標にしたことの意味が、もうひとつ理解できません。何も、科学的な側面の能力だけに限定する必要もないと思います。
文科省によると、科学的リテラシーとは、“自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力”という。
このコラムでは、労働生産性の低さを解消するには“潜在能力の高い女性の積極的活用”をと主張していますが、私は、それは少しばかり視野が狭く短絡的だと思います。[#女性の活用]
◆ まぁそれはそれとして基本的には同感。それにしても、わが国の実態にがっくりさせられる。
私は、以前から、“わが国は、技術貿易立国をめざすべき”と指摘しています。(→ 注1)
でも、こんな実態を見せられるとがっくり。と言うのも、技術開発にとっては科学的な方面のいわゆる理数系能力が不可欠の要素だからです。[#科学的思考]
そして、そんな方面の教育では、わが国はむしろ最高レベルの水準だと評価できます。でも、結果として労働生産性は低くなってしまっている。これでは、国民に申し訳がない。
国民は、何のために日常生活にはさほど大切でもない能力を磨いてきたのか疑問になる。国民の多くが国の教育方針に従ってくれたのに、結果としてそれは報われていない。
◆ その原因は、賃金水準が低すぎるということにつきるのです。
私はこれまでもブログで指摘してきましたが、わが国の公務員や一部の大企業の賃金はかなりな高水準の実態です。わが国の場合、そちら方面は問題ではありません。(→ 注2)
問題は、わが国の労働者の大多数(全労働者の8~9割)が中小零細企業従事者の点。近年は、それに加え、パートや派遣の労働形態で働く人も急増している(全労働者の4割以上)。
わが国の場合、公務員や大企業従事者の賃金が上がっても全体経済には大した影響はありません。真の問題は、圧倒的多数の労働者が中小零細企業従事者や非正規労働者で、彼らは相変わらず低賃金なこと。
彼らの賃金を上げないことには、どうにもなりません。私が常々“最低賃金を強引に上げろ”と主張するのも、そんな背景があるからです。[#最低賃金引上げ]
◆ 安倍首相は、そこを理解していないのです。
安倍首相は、先日、経団連の会合でのあいさつで、“賃上げに対して積極的な対応”をするように要請したとか。(→ 注3)
私から見れば、そんなのは安倍首相の単なるパフォーマンス。そもそも、経団連などのいわゆる経済団体は、“大企業としての利権”を代弁する団体にすぎません。
そんなところで“要請”しても相手にされません。それが世の中というもの。政治家はそんなやり方ではなく、法律を作って強引に誘導することが大切なのです。
中小零細企業の多くは大企業とは違う。賃金を上げてやりたくてもそれができないところが多い。賃金を上げて人件費の負担に耐えられずに倒産すれば、目も当てられません。
同時に、“下請けなどの中小企業が社員の賃上げのために製品やサービスの価格を上げるのは、良いインフレを促してすばらしい”という趣旨でキャンペーンでもすべき時なのです。[#良いインフレ]
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●(注1) わが国は“技術貿易立国”を目指すべきだという指摘については、2007.2.24のブログ 『生活文明郷-ビジョン』をご覧ください。[→ http://bit.ly/2aWy4H4]
●(注2) 公務員や大企業の賃金はむしろ高すぎるという指摘については、2013.6.3のブログ 『国民に奉仕する人たち』をご覧ください。[→ http://bit.ly/2iG62Ui]
●(注3) 安倍首相の経団連での賃上げ要請に関するロイターのコラムは、こちらをご覧ください。[→ http://bit.ly/2hGUiRc]
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