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Twitterで学ぶ経理の未来

時々、需要が少なくなる仕事ランキングが発表されますよね。そして、そのランキングの上位には必ずと言っていいほどの頻度で、経理業務や会計監査が入ります(あんまり会計人を不安にさせないでよ涙)。

直近でも、ブロックチェーン業界で著名な平野さんがツイートされています。このソースによると、今後3年で需要が減少する仕事のトップ10に「Accounting, Bookkeeping and Payroll Clerks」「Accountants and Auditors」としっかりランクイン。安定感すごい(涙)。

この背景に何があるかというと、よく言われるのが、ロボティクス(デジタル・物理両方)、AI/ 機械学習などと言った自動化に関するテクノロジーの発達で「作業的な業務」が機械に代替されるだろういうメガトレンドです。

そこで、今回は機械に代替されると言われている経理業務で何が起きているのか、そして、それが起きた先の会計クラスタの人材やチームはどうスタンスをとるべきかについて、いろいろなソースを辿りながら、整理してみたいと思います。

経理に関連する技術と業務の変化

冒頭でざっくりと経理業務に関連するロボティクスやAI/ 機械学習などの技術を挙げました。実はここら辺を日本公認会計士協会のIT委員会が「研究報告第52号「次世代の監査への展望と課題」でまとめてくださっているのがとっても参考になります。

この報告書の中で、会計および監査に影響を与える技術などを以下のチャートのように取りまとめていました。なので、本記事では赤で囲った領域について、まとめてみます。

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ERPとクラウド会計

大企業を中心に採用されているERPシステムは、企業活動に用いるシステムは様々な機能(調達、生産、流通、在庫管理、販売、人事、財務、会計)を統合して管理するもの。このERPの今後の変化として、以下のようなことが取り上げられている。(ステップ論として捉えてもいいかもしれない)

1. クラウド化によるビッグデータ蓄積の促進
2. 蓄積したデータを活用した経営へ(BI/ データドリブンの経営)
3. AIによるデータ処理・活用の自動化

なお、ご参考までに、データドリブンの経営について整理されているtweetを紹介。業務フロー整備もそうですが、データドリブンの経営も経理はもちろん、コーポレートだけで完結できる話ではないですね。

さらにクラウド会計に着目し、以下のような業務の変化が言及されている。(上記リストのno.1のブレイクダウンとも捉えられそう)

1. クラウド技術の利用(性能向上が加速、常に最新型を利用可能)
2. インターネットバンキング、クレジットカード明細などからの自動仕訳
3. スマートフォン等で撮影した請求書、領収証データからの自動仕訳
4. 関連するサービスとの連携

ここまでを、大まかにまとめれば、企業経営には「データの蓄積と活用」が絶対テーマになっている。

しかも、それはいま、大規模なERPを導入している大企業はもちろんのこと、中小企業であっても取り組まざるを得ないし、取り組みやすくなってくる環境が整ってくる。

また、データの蓄積と活用の両面で、自動化が進んでいく。それを支えるテクノロジーやコンセプトがBI/ AIと言ったものなのでしょうね。

参考までに、クラウド会計のfreeeの取り組みが象徴的な気がしますので紹介。

また、さらに参考情報になりますが、武内さんという方がクラウド会計の二大巨頭のMFとfreeeをわかりやすく比較整理してくれています。

また、freeeを軸にしたバックオフィスの再構築についての記事もありましたので、ご参考までに。

RPA

RPAも業務効率の文脈でよく聞く言葉ですが、会計士協会の研究報告によれば以下のように定義されています。

RPA とは、これまで人が行っていた作業を、機械学習やAIを含むコンピュー タによる認知技術の活用によって自動化することをいう。ある部分について人の 労働がシステムに置き換わるため、デジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれている。

古巣のKPMGもRPA/ デジタルレイバーについて記事を書いているので、紹介。

研究報告では、RPAの会計業務への影響として、以下のように記載されています。

伝統的な会計業務は、豊富な過去の情報 が存在する点と取り扱う事象が反復的に発生するものであるため、過去の判断基 準が継続的に有効である点で、デジタルレイバーが有効に機能する条件が揃っており、RPA が今後飛躍的に導入される分野であると考えられる

また、内部統制への影響としては、機械処理の性質上、当初設定が全てであるため、当初設定の確からしさが統制の質担保の大きな因子になる。さらに、RPAは複数アプリケーションにまたがることも多く、包括的に管理できる人材が不足する可能性や、RPAは現場開発が可能であるが故に、現場先行の統制整備・変更によって、全体統制が乱されてしまう可能性についても言及されていました。

ここら辺も、勉強していきたいなという領域。足元、同僚の方がGAS(Google Apps Script)を書いて、集計を簡便化したということを聞いたりしたので、教えてもらいます。また、会計士xPythonの勉強会にも参加するテストなおじさんです!

ブロックチェーン

そして、まさかのブロックチェーンへの言及が会計士協会の研究報告でなされていて、テンションが上がります。同報告書では、ブロックチェーン/ 分散型台帳の記録の改竄困難性について言及されている。

以下は参考までに、私が前職でビットコインの改ざん不可能性について整理したスライドです。(2018年夏のお勉強の成果)

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また、改ざん困難だからと言って、監査が不要になるというのはなんか違う気がするかな、とも思います。

この記事の本旨ではないが、会計士協会の研究報告にて、技術的な説明を思った以上に詳細になされているのがびっくり。多分、マニアな方がいらっしゃったのだと思います。気になるです。

ただ、この技術が、会計情報の記録に使われるのはかなり先の話だと思ってます。(面白い未来なので期待はしています)

さいごに:会計人の働き方の変化

企業活動はデータドリブンになる。加えて、データの集計はもちろん、分析領域ですら、自動化が進んでいく。この時に、会計人の働き方はどう変化していくのだろうか。

求めれられる機能は、何かを決めることに近しい領域のもの。それは経営の意思決定だけでなく、難易度の高い会計処理へ判断やあるべき統制フローなども含まれるかもしれない。
そして、スタンスとしては、自動化のメガトレンドを作るか、もしくは乗ること。かつ、それをチームとしてやっていくこと。そこに醍醐味のひとつがありそう。

勉強を始めたばかりですが、そもそも、このメガトレンドは単純に面白いです。そして、それはそれとして、何しろ、暇になる気もするから、たくさん遊びたい。

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