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英語の発音には体系がある 私の発見
英語の音素の種類は現在では確定しており、それぞれに発音記号が割り当てられて、多くの辞書に採用されている。
だが、国際音声記号(人間の言語音をすべて網羅し、それぞれに記号を割り当て、調音点などを基準に並べた表。国際学会が作成したもの)の配列の影響もあって、英語の音素に特有の体系は確定されておらず、いまも英語教育用の教科書などでは、体系性に欠ける音素配列表が載っている。
もともと人間の言語音のうち
「音韻」「音素」は概念の部品
phoneme(「音韻」とか「音素」と訳す)とは何か。
その本質をズバリ言っている文がある。
音声の「種類としての側面」とは、音波のそれぞれの感性的なあり方が一定の種類に属しているという側面をさす。
「種類」という概念は、あらゆる概念の基盤となる「概念の概念」である。
たとえば、リンゴという「種類」は、対象に共通する感性的な側面を土台としながら、個々の感性から独立した側面、つまり普遍性(
中学生もカタカナ英語だと知っている
あるメルマガに、いまの中学生は英語の発音をどう習っているかについて、親の体験談が書いてあった。
何十年も前のことではない。2021年1月現在の話である。
とくに説明はいらないと思うので、以下、途中少し省略したかたちで転記させてもらいます。
「...中学生の娘と息子に聞いてみました。
(日本生まれ日本育ち、海外経験ゼロ、首都圏のごく普通の公立中学校に通っている中学3年生と1年生)
「ねえ、
【コラム】英語のサウンドシンボリズム
亡くなった作家の井上ひさし氏(1934-2010)が、次のように書いている。
「t という音は指示を、s という音は未来を、k という音は疑問を、r という音はまるいことをあらわす、と喝破したグリムにならって、<n という音は否定をあらわす>といいたいと思う」(井上ひさし『私家版日本語文法』新潮社、1981年、169頁)
ある音声が、ある共通した意義を表す。
そういう傾向を探求する分野を、「
<セントラル・ドット>って、知ってるかい
セントラル・ドット central dot というものが、たいていの英語の辞書につかわれていることをご存知だろうか。
なかなか気づかない、小さな中黒点。
たとえば、
area
という単語がある。いわゆる「エリア」で、日本語にもなっているが、私はこの単語がどうもいいにくいと感じていた。
あらためて辞書を引いて、ようやく目に入ったのが、 central dot。
見出しのつづりが、記号「・
英語の発音が「学校によってちがう」という話
かつて著名だった哲学の研究者に、古在由重(こざい・よししげ 1901-1990)という人がいて、この人の回想を読んでいたら、英語の発音の話がでてきた。
大正の中ごろ、この人は旧制の第一高等学校(いまの東大教養部)を受験して合格したのだが、入試では数学はできたが英語が「まったくだめ」だったと書いている。
なぜ英語ができなかったかというと、教師が読む英語を書きとる試験で、
「その高校の(試験官の
it は「イット」ではない
日本語では、喉(あるいは首全体)を締めることによって声を力強くする。
民謡や浪曲や政治家の演説がそうだし、日本の女性の声が高めなのも、喉を締めがちなのと関係がある。
だから日本人は喉を閉めた「っ」が得意だが、英語にそういう音素はない。
たとえば、it は、日本語の「イット」ではなく、「エ(ト)」に近い発音になる。
喉から上がってくる /h/ の息を、舌先を前歯の裏につけてせき止めると、 /
英語の発音は必然的に混合言語 lingua franca 的になる
ちがう言語の話者が長期的に接触すると、混合言語が生まれることがある。これを lingua franca (リングア・フランカ)という。
lingua franca (「フランク族の言葉」)は、東地中海のレバント地方で使われた、イタリア語、フランス語、ギリシャ語、スペイン語が混合した言語。
そこから一般に混成共通語、仲介語といった意味でつかわれるようになった(研究社『新英和大辞典』)。
lin
"アイドンノ" と "ザ" 日本語の英語化について
学生と英語の発音の練習をしたとき、ひとつ発見したことがある。
"I don't know."
という文を、
"アイドンノ"
と発音する学生がずいぶんいるのだ。
ほかの表現ならなかなか英語らしく発音するのに、なぜかこのセリフになると、"アイドンノ" になる。
"there are" を、カタカナの "ゼアラ" のように読む学生が多いことには、前から気づいていた。"there is"
「ジャパニーズ・イングリッシュ」でいい? その危うさと正しさ
ジャパニーズ・イングリッシュは、「日本語を母語とするならば、自然に生まれてくる英語である」。
だからジャパニーズ・イングリッシュで「いいのではと思う」。
そう書いた本がある。(河原俊昭「むすび どう考えればいいのだろうか」河原編『小学生に英語を教えるとは? アジアと日本の教育現場から』めこん、2008年、320頁)
「ジャパニーズ・イングリッシュ」は恥ずかしい。恥ずかしいから話せない。話せな
明治の女学生の袴は英語が目的だった
明治になると、女学生が袴(はかま)を身につけるようになった。
そうなったのは、なんと英語の授業のせいだという。
1870年以降、外国人居留地だった築地や横浜に、フェリス女学院などミッション系の女学校があいついで設立された。
当時の授業は、英語の教科書を音読する洋学が中心。
しかし、畳に座っていると日本の女子学生は邦楽風の発声になりやすいので、しっかりと外国語の声を出すには椅子のほうが適して
心をラッパーにしたらどうだろう
「おなかをすかせた豹が、兎に襲いかかるように...」
テニスのコーチが、球の打ち方をそう教えているという話を、どこかで読んだ。
小学生に水泳を教えるとき、
「クラゲになるんだよ!」
と教えると、たちまち水に浮けるという話も、どこかで読んだ。
では、英語を話すとき、何にたとえたらパフォーマンスが上がるだろう。
たとえば、
「心をラッパー rapper にする」
というのはどうだろう。
音韻と音素 どうちがうか
音韻(おんいん)と音素(おんそ)は、よく似た言葉。
和英辞典をみると、どちらも原語は phoneme となっている。おそらく音韻・音素は、いずれも phoneme の訳語であろう。
どのようにして一つの語に二つの訳語ができたのか、詳しいことはわからないが、両者の違いについて、少し調べたことをメモしておきたい。
音韻というときは、「言語として認識される音の体系」と研究社の『新和英大辞典』がいう
英語の発音法 まとめ(ひとつの息と三つの声)
英語の音 sound を支えているのは、ひとつの息 breath と三つの声(基音) voices である。
① h は 英語の息 breath。横腹をしぼるイメージで、下腹から喉へと細く息を出す。英語で生きているとは、h で息をすること。
h は、無声音の基音(下から支える声)voice でもある。
② ɚ は有声音の基音 voice。舌根を下げて胸を鳴らし、h の有声音を出す。だから ɚ