朝井リョウが本を語る

前回の記事に引き続き
東京国際ブックフェアで聞いた講演をもう一つ。
(東京国際ブックフェアについては下の記事へ)

「1度きりの人生にスパイスを!― 本が見せてくれる世界」
作家 朝井リョウさん


自分と同い年なんだが、大変脚光を浴びている若手作家。
朝井リョウさんは伝えたいことをその言葉を使わずに表現することに憧れたそうだが、
私はどこにでもついていく「戦後最年少で直木賞受賞」という文句を使わずにすごさを表現してみたかった(できなかった)

他分野にも平成元年生まれで注目される方はいて、努力の結実と才能の開花が良いバランスで社会に頭角を表してくるそういう年齢でもあるかもしれない。
平成に生まれ育って今各分野で活躍している人って、何となく才能がある以外の共通点がある気がする。何となく。


◇作家朝井リョウができるまで
いろんな所のインタビューで答えてきたらしいので、幼少期から作家になるまでの詳しいお話は割愛。

ただ、小学六年生の朝井さんが自主制作した学級新聞を見たときや、子供時代の流行などを聞く限りでは、同じ時間軸で歳を重ねてきたんだなという感覚を覚えたのに、
自分が同じころ別の田舎でぼんやりしている間に、かたや小さい頃から継続して創作に励み現在の姿の兆しありまくりな過去を知ると、まあ異世界感あるよね。

簡単に言うと幼少期から歩みが違うなと思った。

◇標本として小説を書く
『桐島、部活やめるってよ』にせよ『何者』にせよ、その頃の感覚を忘れないようにいわば標本として書いた。

ところが、周囲から「高校生ってこんなに大変なんだね」「今の就活ってこんなに大変なんだね」という反応をもらう。
自分は全くそのつもりはなかった。
資料として読まれたような感覚だった。
社会学的に、この世代を知るために読まれる本ということに気づく。
ある世代を記録する新書としての本を書く役割は、受け継がれていくものなのだろう。
そして2~3年ぐらいで自分も次の世代にバトンを渡したいと思っている。

◇小説に共感って必要?
共感できるということは、自分を今のままで認めてくれるということ。
それだと、小説を読む前と読んだ後で自分の輪郭が変わらない。
本当は言いたくないことも言えるのが小説。
自分が考えたこともないようなことをつきつけられる。
それによって、読んだ後に輪郭が変わってくる方が良いのではないか。

挙手によるアンケートをとったところ、
共感したい派より予想もしない物語を期待する派の方が多数だった。

(私も昔は経験がないから共感できない恋愛の話なんかは興味がなかったけれど、最近は自分に投影する癖がなくなったのが普通に受け入れられる。)

◇小説を書く時の問題意識
喜怒哀楽の「怒」で一番言葉が出てきやすい。
それだと演説のようになってしまうため、言いたいメッセージを物語でコーティングできるようにならないといけない。
読んでいる人は物語を楽しんでいたつもりだったけど、実はこういうことが言いたかったのか、と分かるようなものを作りたい。

◇人工知能との共作
プロットを組み立てているとき、自分が人工知能になったような感覚になる。
人工知能は目的を与えると、それに最も適したプロットを考えることができる。
外注で人工知能にプロットを組み立ててもらい、自分は文章表現をしたい。
現時点で人工知能は目的を与える必要があるので、今までになかったような新発見を書きたいときは全て一人でやる。

◇言葉の力
本を読むことによって得られるのは、言葉という武器
どんな場面でも助けてくれるのは言葉。
言葉は全部の土台になる。


2018年にスポーツ長編小説(バレーボール)の発表を目指しているらしい。
紅茶を飲みながらそんな話をしているらしい。
「(お酒を)飲みながら」じゃないのが、なんかいい。

あ、あと、映画『何者』見てね!と宣伝されていた。
『何者』豪華キャストだよね。

小説はまた映画とは違うので、小説は小説で楽しめるそう。


……とりあえず、私は語彙力が無い。

本読もう。

AY

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