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10万文字という未知の世界に挑む不安

今年やりたいことの1つとして公募への挑戦を宣言した。要するに作家を目指して小説の新人賞に応募しようということだ。

作家になりたいという漠然とした思いを抱えたまま十数年生きてきたが、この間に一度たりとも物語を書き上げたことがない。「小説 書き方」と調べては実用書ばかりを手に入れ、「今はまだ時期じゃないが、本気を出せばすぐに書ける」と現実逃避ゆえの謎の自信を抱えたままズルズルと生きてきた。

今日も『プロだけが知っている小説の書き方』という本を手に入れた。小説を書いた経験のある人向けの実用書だ。また実用書、しかもまるで書き上げた経験があるかのように執筆経験者向けのものを読んでいる。

我ながらさっさと書けよと思う。わざわざnoteで宣言し、公募に挑んでいる人をフォローしてなお腰が重い。進捗報告をしている他人を見て書いた気になっているのだ。実際は白紙のノートに何も書かれていないテキストエディタが開かれたパソコンがあるだけ。「頭の中には素晴らしい無数のアイデアがあるから」と自分自身に言い訳をする。

きっと怖いのだろう。書けると信じている自分が実際には何も書けない人間だと知ることが、壮大な物語になるはずのアイデアが規定の文字数に達しないまま頓挫することが。

新人賞に応募する作品の文字数は最低でも10万字は必要だろう。これまでの人生において、1つの物事に対してそれだけの文字数を費やして何かを書いたことはない。ライターとして書いた文章も最長で1万字程度だ。しかも書き方はライターの文章と小説では全く異なる。10万という途方もない数字に到達できるのか、考えるだけで不安になってくる。

10万という未知の世界に足を踏み入れられず、完結させて応募するというスタートラインにすら立てないのかもしれない。書き始めてすらいないのにネガティブな思考ばかりが脳内を渦巻いている。

実用書を読み始めたばかりだが、これまでのように読み終わって満足し、書いた気になって何の変化もない日々を淡々と過ごすのではないだろうか。これまでそうだったように、今年も何も変えられないのではないだろうか。

10万文字という膨大で途方もなく感じる文字数に気圧されている。こうしてただ思考を文字に変換するのは何の苦労もないが、読み物としての物語を書く時はどれほど苦労するだろうか。

きっと「やっぱりやめます」と宣言しても誰も気にも留めないし、世界は何も変わらない。だからといってやめるつもりは毛頭ないので、どうにか食らいついてやろうと思う。今年はなんだかいけそうな気がするのだ。

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