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目覚めのいい朝に理想の生活について考える

「おはよう世界」
珍しく目覚めのいい朝は柄にもなくそうつぶやきたくなる。

いまだに3時間おきに起きる1歳の次男によって慢性的な寝不足に悩まされている妻と僕。妻の方に目をやると子供たちとともに布団の中で少し大きめの寝息を立てている。お疲れなのだろう。

いびつな川の字にほっこりしながら僕はパソコンに向かって文字を打つ。パソコンの横には入れてから時間が立って冷め始めたコーヒーがある。熱すぎず冷たすぎないコーヒーが好きという風変わりな好みは相変わらずだ。

ふと時計に目をやると8時を過ぎた。7時には起きたので1時間くらいはパソコンの前であーでもないこーでもないと文章を考えていることになる。1時間経ったとは思えない文章量の少なさだが、今朝は気分がいいので気にしないことにしよう。

今日は10時から仕事なのだが、長男を病院にも連れて行かなくてはならない。ズビズビだった鼻水がさらにひどくなり、声もガラガラになってきている。寒さのせいで昼夜暖房をつけている我が家は空気が乾燥しがちだ。そんな中で着ている服を脱ぎ、オムツ1枚で走り回っているのだから風邪をひいても不思議ではない。
乾燥しすぎないように加湿器も出したいところだが、子供たちがひっくり返すのではと心配していまだにクローゼットの奥で眠ったままだ。

コホンコホンと小さな咳が聞こえるので目を向けるとどうやら次男が起きたようだ。いつも泣きながら起きるはずの次男がニコニコしている。どうやら次男の目覚めもいいらしい。
しかし、咳をしているのが心配だ。兄弟そろって風邪をひいたのかもしれない。このままいくと狭い家の中でウイルスが繁殖し、妻と僕も風邪をひくだろうことは容易に想像できる。一家全員風邪とはなんたる年の瀬。

文字数700文字到達。もはやこれはエッセイなのか、朝の実況中継なのかわからない。最近聞いている作家の石田衣良先生のラジオで「エッセイは自由だ」的なことを言っていたようなのでいいことにしよう。僕のはるか先を行く大作家が言うのだから、作家志望の僕が口を挟む余地はこれっぽちもない。

こうして文章を書くのが仕事になればなと思う。日常の切り取りが仕事になるのなら、あんなことやこんなことも喜んで切り売りしてしまおうとさえ思う。
コーヒーを飲みながらパソコンに向かい、家族に目を向けてほっこりしながら文章を書く。これ以上に理想の生活があるだろうか。少なくとも経験の浅い27歳の僕にはこれが理想に思えて仕方がない。

今日は仕事を休もうか。理想を前にすると現実から足が遠のく。仕事なら代わりはいるが、子供たちを病院に連れて行けるのは親しかいないのだから。
そんな言い訳を自分に言い聞かせて理想的な朝を始めることにする。


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