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ライター兼カメラマンの私が、Web制作(デザイン、コーディング、WordPress)までカバーしようとするわけ

私は日ごろライター兼カメラマンとして活動しています。その仕事の中で、楽しくない気分になることがあります。「せっかく納めた原稿や写真がムダにないっている」。納めた先のサイトがほとんど訪問者がなかったり、なにを目的にして運営しているわからなかったりが珍しくないのです。

機会を見つけては状況をご説明してきました。しかし、ほとんどの場合、まともな反応はありません。ライターやカメラマンの言葉など、聞く耳を持たないのです。

どこまで効果があるかは疑問もあるものの、「私自身ももっと自信を持ってサイト全体のことを言えるようになろう。もっと影響力を持とう」とWeb制作のスキルを身につけることにしました。

オウンドメディアのための編集部があっても失敗している例がある

自分が書いたり撮ったりした記事が掲載されているのが気になって仕方なく、そのサイトは必ずチェックします。「ライターやカメラマンとして、当然の行為」といえばそれまでですが。

すると、かなりの確率で「おそらく無計画に始めたに違いない」「こんな状態になっては、お金をかけてまで維持する意味はない」と思えるサイトに出くわします。思い当たる限りのキーワードで検索しても上位には出てこないのです。わかる範囲でサイトの訪問者数を調べても微々たるものです。

検索順位は圏外、サイトデザインは改行の設定に失敗して間延び

その中には「新しく登場したカリスマ経営者に率いられ、奇跡の復活をした」として、しばしば大手経済紙や全国放送に登場する企業のサイトもあります。

企業などが持つサイトは「ホームページ」と呼ばれてきました。主な目的は宣伝です。しかし、宣伝臭さを弱くし、読み物としての面白さを狙ったり、読む人に対して有益な情報を提供したりといったものも登場しています。「流行している」といってもいいでしょう。特にこれらは「オウンドメディア」と呼ばれます。

その企業のサイトはまさしくオウンドメディアでした。始めるにあたって、名目上とはいえ、そのカリスマ経営者がトップになっていました。呼び名も「編集長」です。社員も3、4人当て、外部スタッフも参加させて編集部も立ち上げていました。

一見、かなり充実した体制です。記事も「1日1本、新しいものをアップする」を方針としていました。

しかし、そこがやっている事業関連で思いつく限りのキーワードで検索しても「圏外」ばかりでした。私が書いた記事も例外ではありません。「100位にも入っていない」わけで、「 (googleが定めるガイドラインに違反すると与えられる)googleペナルティが課せられている」と考えざるをえないレベルです。

サイトのデザインについては、スタート直後にはサイトデザインの賞を取ったほど質が高く、ちょっと見には垢(あか)抜けていました。しかし、不備も目立つのです。たとえば、段落の後の改行は2行分あり、記事の見た目はスカスカに間延びしていました。

「検索順位がすべて圏外」を指摘したら、「お前は原稿だけ書いていろ」

編集部員にこれら2点を指摘しました。原稿の受発注でいつもやり取りしている社員です。しかし、サイトデザインについては、「作ってもらったホームページ制作会社との契約が切れている。いじれる人間がいない」との返事でした。実際、放置されました。検索順位が事故レベルに低いことについては、返事らしい返事はありません。

仕方なく、経営者にメッセージを送りました。名目上とはいえ編集長を兼ねているのです。経営者本人の代わりに「担当重役」という人から返事が来ました。「余計なことは考えずに、あなたは記事だけ書いていてください」。話の趣旨はこうですが、実際はもっと失礼な言い回しでした。

「なんのためのオウンドメディアか」を見失っている企業がある

サイト作り・運営を少しでも勉強した人ならば、聞いたことがあるであろう「検索に出てこないサイトなど、存在しないのと同じ」の典型でした。「なんのためにやっているオウンドメディアなんだろう」です。しかし、私の経験では決して珍しくはありません。

読ませる・見せるための記事のはずが、「上手な写真は要りません」

実際の募集ではなく、ありがちなバナーを作ってみました

別の企業のオウンドメディアでは、「取引先を取材するライターを募集。写真撮影もお願いします」に応じたところ、Zoom面談でこう言われました。「写真がお得意なようですが、上手な写真は要りません。これまでの記事と差がつくと、そこで取り上げた人たちに申し訳ないので」

幸か不幸か、私は採用されませんでした。後日、ほかのだれかが書いたその記事では、「へその高さほどの受付カウンターの下に会社名が書かれている。その文字を挟んで、取材相手2人がしゃがんでいる」という珍妙な写真が使われていました。企業取材で変に定石化している「壁に書いてある会社名&その前に立っている社員」に無理やり当てはめたのは、まず間違いありません。

「これまでに取り上げた人たち」が気になるというのならば、それも仕方ないかもしれません。しかし、もっと大事なのは、「そのサイトにたくさんの人に訪問してもらう」「訪問者に自分たちの社や商品についてよく理解してもらう。ファンになってもらう」、そして最後には「自分たちの商品を買ってもらう」のはずです。記事や写真はそれらに貢献するために書いたり撮ったりします。

両方の企業に共通するのは、「オウンドメディアを運営する目的が失われている。というよりも、最初からオウンドメディアで何を実現するかを考えていなかった。惰性で運営している」でしょう。

担当者も上司もメディア運営の知識がない

もしかしたら、どちらの企業の担当者らも、ブログを始めたばかりの個人と同じレベルだったかもしれません。「ネット上で公開したら、それだけでたくさんの人が訪問してくれ、自分が広めたい情報も多くの人が知るところになる」

これが本当に個人のブログだったら、あまりの手ごたえのなさに勉強をして工夫を重ねるか、あるいは、すぐにやめてしまうところでしょう。しかし、企業が自社で運営するサイトであるオウンドメディアは、工夫はせず、やめもしないようです。

編集部まで立ち上げるような企業でも、効果の評価ができる経営幹部がいるとは限りません。「訪問者数」ぐらいならばともかく、「離脱率」「コンバージョン率」「ペルソナ」「googleペナルティ」まで理解している経営幹部がいる企業はむしろ例外ではないでしょうか。

オウンドメディアの担当になった社員も「全く効果を発揮していない。ネット上に存在していないのと同じぐらいしか訪問者がない」と“報連相”をできないのかもしれません。自分の無能を告白するのと隣り合わせですし、かなりの確率で上司もちんぷんかんぷんでしょう。

こういった担当者の多くは、「全く別の部署にいたが、オウンドメディアを始めることになり、急きょ起用された。特段ネットに興味があったわけではない」のようです。また、中小企業ならば当然のように、それが東証1部上場企業でもしばしば、ネットの担当者は1人だけです。

つまりは、「やっつけ仕事でオウンドメディアを始めた。担当者は右も左もわからない。報連相しようにも上司もちんぷんかんぷんだ。担当者も上司も、やめるとの判断もできない」まま、オウンドメディアは続いてしまうようなのです。

なぜわからないのか、「オウンドメディアは適当にやったら失敗する」

準備不足、かつ、いい加減な体制でも、多くの企業がオウンドメディアを持つのは、「今の時代、企業活動にネットの活用は不可欠」と漠然と感じているからでしょう。また、持つだけならば、人的資源や費用の面でもたいした負担にはなりません。

ただ、効果を発揮させるとなると話は全く別です。

オウンドメディアなどに「効果がない」とする企業は半数以上

では、うまくオウンドメディアを運営できている企業はどのくらいあるのでしょうか。

私がよく参考にさせてもらっている『オウンドメディアのやさしい教科書。 ブランド力・業績を向上させるための戦略・制作・改善メソッド』(エムディエヌコーポレーション刊) には、同出版社が業者に委託して実施したアンケートが紹介されています。

企業内のWeb担当者への「コンテンツマーケティングについて、成果は出ましたか」の問いに対し、「出ている」が45.5パーセント、「出ていない」が54.5パーセントだったそうです。コンテンツマーケティングにはメールマガジンなども含まれます。しかし、大半の企業でオウンドメディアが主力であると考えるならば、オウンドメディア単独で考えてもほぼ同じ数字だろうと想像しています。

しかも、「あくまで自己評価なので、相当に甘いのでは」とも考えています。

目標やゴールを設定していない・検索で引っかからないオウンドメディア

同書では、「失敗するオウンドメディアの事例6つ」を挙げています。

(1)目的やゴールを設定せずに、勢いでスタートした
(2)ターゲットを定めていなかった
(3)検討フェーズに合わせたコンテンツ設計ができていなかった
(4)広告色の強いコンテンツばかり作っていた
(5)検討ニーズのないtitleだった
(6)自然検索で露出しづらい構造だった

失敗しているオウンドメディアにも、おそらくは「目的やゴール」はあるにはあったでしょう。しかし、形ばかりではなかったでしょうか。

私がフラストレーションを感じたオウンドメディアでは、(4)の例はなく、ほかは全部当てはまっている状態でした。

失敗したオウンドメディアでは、外部の人間の言葉には反応しない

私も陰でボヤいているばかりではなく、自信を持って言えることは言いました。それは、「思いつく限りのキーワードで検索しても『圏外』ばかり」の際の行動を思い出してもらえれば、納得していただけると思います。

今回例に挙げた企業以外でも感じました。こういった関与の仕方は、仕事を失う捨て身の覚悟にもかかわらず、効果はほとんど期待できません。

相手は企業内の人間です……

・上司からなんの不満も出ていないのに、バタバタ動く必要を感じない
・変に動くと、これまでの失敗を認めるはめになる
・オウンドメディアだの、ネットだのといわれても、そもそも興味がない。話がピンとこない

……と、いったところではないでしょうか。悪い意味でいわれる、「サラリーマン」というやつです。

そのサラリーマン相手に、外部の人間で、しかもオウンドメディアが動き出した後にちょっと加わっただけのライターやカメラマンが影響を与えるのはまず無理です。これも先に例を挙げたように、「いらないことは考えずに、あなたは記事だけ書いていてください」と言われるのがオチです。ついでにいえば、その後、その編集部からの原稿の依頼はなくなりました。

全体をみるのは、本来はWebディレクターの役目

サイトを作るのに際し、依頼主の目的が果たせるようにと、全体的な目配りをするのはWebディレクターの役目です。ここまでの話の中では触れませんでしたが、記事が検索上位に来るように工夫するのならば、SEO対策の専門家の出番です。さらには、サイトの方向性を決めるためには、Webプランナーという専門職まであります。

SEO対策業者はちゃんと働いているかどうかわかりにくい

これらの人たちがきちっと機能しているサイトもあるでしょう。しかし、SEO対策の業者は評判がいいところばかりとはいえず、トラブルもよく聞こえてきます。最もよくあるのは、「SEO対策とはいうけれど、全くの“ブラックボックス”になっている。何をやっているか全くわからない。『効果があったのか』と尋ねても、はぐらかされる」です。「逆に検索順位が下がった」も珍しくないようです。

また、仮にしっかりとした内容をやってくれるようでも、料金が見合わないかもしれません。

ただの募集係・発注係でしかない「Webディレクター」も多い

Webディレクターの役割は、「WebデザイナーやライターなどのWeb制作にかかわる人たちを取りまとめ、その仕事にチェックを入れ、クライアントの要望にかなったWebコンテンツを作り上げる」などと説明されることが多いようです。

そのWebディレクターには2種類あるとされています。ひとつは、サイトを制作し依頼主に受け渡すまでの間、制作業者側が用意する「制作業者(制作会社)のWebディレクター」。もうひとつは、企業側が自社のスタッフとして置いてオウンドメディアの維持・運営に当たらせる「事業会社のWebディレクター」です。

どちらにしても、「デザイン、文章、写真はもちろん、SEO対策にも精通している人」でなければならないはずです。仮に自分ではデザインなどができず、文章も書けなくても、これらの良しあしぐらいは最低限わかっていそうです。しかし、現実には「社内の持ち場の割り振りで、単にその役割を任されただけの人」が珍しくありません。

そういった人たちは、「Webディレクター」と名乗っていても、デザイナーやライター、カメラマンを募集し、仕事を発注するだけです。デザインや文章、写真などをチェックする能力はありません。

これでは、「目的にかなったサイトになっているかどうか」のチェックをし、デザイナーやライターを指揮する人はどこにもいません。

それどころか、「Webディレクターを名乗る人さえおらず、だれがどう役割を持っているのか、どう権限が分かれているのかはっきりしない。ふわふわと仕事の話が進んでいく」、あるいは「(ライターを確保し、原稿を手に入れるだけが本来の業務の)原稿代行業者に丸投げする。原稿代行業者も何をやっていいかわからないし、これからでも勉強しようというスタッフもいない。全くの素人を担当にする」もあります。少なくとも私が見た範囲では、こちらのほうが現実です。

ホームページ制作業者もプロとは限らない、危なっかしいところもある

従来型のホームページであれ、今はやりのオウンドメディアであれ、新しく始めようと思ったら、まずは制作を依頼する業者を探すでしょう。「オウンド(owned、所有する)」といっても、大半のところでは外部の業者に丸投げでしょうから。

しかし、覚えておかければいけない点がいくつかあります。

(1)特別に専用のスタッフまで用意していない限り、制作業者はコンテンツ(文章・写真)やSEO対策については素人と考えていい。「専門スタッフがいる」としていても、実力を疑ってかかる必要もある
(2)コンテンツは自分で用意しなければならないところも多い。その場合、制作業者は文章や写真をホームページの中に当てはめるだけ
(3)“飛び入り参加”した業者も多く、やっていることが危なっかしいところもある

たとえば、業務委託のサイトデザイナーに対し、ネットで拾ってきた写真を渡して、「このウオーターマークを消して使ってください」と指示する話も聞こえてきます。

「ウオーターマーク」とは画像内に薄く入れた文字類のことです。多くの場合、著作権をはっきりさせるために、撮影者・作成者の名前を入れます。「ウオーターマークを消して……」というようでは、全く著作権について知識がない可能性があります。あってもなくても、著作権の完全無視です。

ホームページという、著作権の塊みたいなものを扱っていても、制作業者の一部はこの状況です。

サイトデザインからWordPress実装まで、1人でできるようにした

私としては、「“本物の”Webディレクターを探し、その人からの仕事を受ける」が解決策のひとつでしょう。こちらについては、「そういう機会があったら、ぜひお願いします」と考えています。

もうひとつの解決策としては、「自分で全部やってしまう」です。果たして、どのレベルにまで達するかはわかりません。しかし、「コンテンツ(文章・写真)以外のWeb制作について知っておくのもいい」と考えました。

文章執筆と写真撮影を含めると、ほとんど“サイト制作の近代五種競技”状態

「全く機能していないオウンドメディアも多い。ライターやカメラマンとして仕事をし、苦労して書いたり撮ったりした原稿や写真もムダになっている」と考えている私は、もしかしたら、“本物”のWebディレクターを目指すべきなのかもしれません。

仮にそうだとしても、これまでの私にはWeb制作(Webデザイン、コーディングなど)の知見が欠けていました。自前のアフィリエイトサイトを作り、多少は手を染めた経験はありますが、それも10年以上前です。その時と様相がすっかり変わり、必要なスキルも違います。

まずは、サイトデザインから、コーディング、JavaScriptの使用、WordPressの実装までWeb制作に必要な作業が一通りできるよう勉強し始めました。

実は「文章執筆と写真撮影のふたつだけでも、両方をプロレベルでこなせる人は珍しい。自分はそれができる」と自負しています。文章と写真は、サイト制作の中では、よく「コンテンツ」と呼ばれます。加えて、サイトデザインからWordPress実装までやろうとしているわけです。

自分では冗談半分に、「サイト制作の近代五種競技」と呼んでいます。

現時点でのWeb制作のスキルを示すためのサイトは用意した

学習に手間取りましたが、サイトデザインなども一応のところまで来たと思っています。ここにサンプルをふたつおいておきます。

『琵琶湖に行って ミシガンに乗ろう』
『超初心者のためのカメラの選び方・上達の早い写真の撮り方』

『ミシガン』はあくまで仮想サイトですが、文章の執筆、写真の撮影とレタッチも、すべて私1人で行っています。

『超初心者のための……』もほぼ同様ですが、写真はストックサービスのものも使っています。また、これは自前の実サイトとして、これから育てていく予定です。

この次に私がやらないといけないのは、HTMLやCSSのコーディングや、WordPress実装の場数を踏むことです。このnoteの記事も、「私のことを知って、コーディングなどの依頼をしてくれる人がいないか。そこまでいかなくても、応募の際に自己紹介代わりに使える」との“下心”があって、書いています。

『琵琶湖に行って ミシガンに乗ろう』

目指すのは「声を掛けたら、四の五の言わずにホームページを1人で作ってくれるおっさん」

取材先の伝統産業の社長さんに言われたことがあります。「あんた、文章も写真もできるんやから、うちのホームページを作ってくれんか」

“本物”のWebディレクターや、Webデザイナー、SEO対策の専門家、ライターらが勢ぞろいして取り組むのが理想だとは思います。しかし、その分、金額もかさめば、打ち合わせも大変になりそうです。

「そんな大げさにせずに、さっとやってくれんかな。大規模なホームページでなくて十分だし」と思う依頼主もいるでしょう。特に中小企業や、お店でも家族経営規模のところはそうではないでしょうか。その社長さんが、まさしくその一人でした。

その時は、「ホームページ制作会社などと分業になっています。私の文章と写真だけではホームページにはなりません。ちょっと無理かなぁ」とお答えしてしまいました。

しかし、今ならば「私でよければ、やってみましょうか」と言います。

目指すところは、「『ホームページを作って』と言われたら、ささっと一定レベルのものを作ってくれる、近所にいる腰の軽いおっさん」です。足を運んで、取材して、文章や写真も自分で用意します。「京都や大津あたりを中心にして、できたらいいな」と考えています。

『超初心者のためのカメラの選び方・上達の早い写真の撮り方』

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