見出し画像

Q&A #023: 自然免疫で、年間250万人の子供が死んでいたワクチン接種前の時代に戻したいということですか?

Dr. Geert Vanden Bossche 2022年9月20日投稿
Q&A #23 : So, with natural immunity you'd like to take us back to the pre-vaccine era when 2.5 million children died annually?
の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

質問

"あなたの自然免疫論は、毎年250万人の子供がはしか(麻疹)で死に、35万人がポリオで死んでいたワクチン以前の時代に戻したいということですか?"

回答

いつものことながら、リンゴとオレンジを比較してはならないのです。

第一に、SARS-CoV-2に関する限り、我々はパンデミックに対処しており、集団免疫に到達しない限り、パンデミックは続きます。そしてパンデミックの最中に非殺菌ワクチンを使っても、集団免疫には達しないことはよく知られています。はしかやポリオなどの小児疾患については、集団免疫はほぼ確立しています。このため、これらのウイルス性疾患は、集団免疫に隙間が生じた場合の(局所的な)「突発的流行(アウトブレイク)」にとどまります。これは特に、(例えば、いくつかの第三世界諸国などで)ウイルスが風土病として残り、集団免疫を背景に無症状に広がった場合に起こりうる事態です。第二に、SARS-CoV-2とは異なり、ポリオとはしかはヒトに対する厳格な宿主選択性を持つ急性自己限定性感染症です。このようなウイルス伝播の制限がある(すなわち、集団免疫が背景にあること、ヒトからヒトへの感染のみであること!)ため、ワクチンの使用によりアウトブレイクを停止または予防することが可能なのです(パンデミックとなることはありません!)。しかし、これは生ワクチンを使用した場合のみに可能なことです。なぜなら、生ワクチンは本格的な免疫(すなわち、自然免疫!と獲得免疫)を誘導するからです。環境衛生(過密状態の回避、十分な換気、適切な基本的衛生設備、飲料水へのアクセスなど)が良好であればあるほど、アウトブレイクを抑えるために必要なワクチン接種率は低くなります。

集団レベルの殺菌免疫(すなわち集団免疫)を生み出せない集団ワクチン接種プログラムは、必然的に免疫的に未経験な集団における急性自己限定性ウイルス感染症の蔓延を阻止できないのです。これは特に、他の動物種を介して拡散し複製する可能性のある急性自己限定性ウイルス感染症(例:SARS-CoV-2)を制御しようと、非複製ワクチン(例:すべてのC-19ワクチン)を使用する場合に当てはまります。

この確立された原則を無視すれば、ワクチンは必然的に自然淘汰を促し、より感染力の強い、最終的にはより毒性の強いSARS-CoV-2変異体の繁殖を促すことになります。そのような変異体の出現はすでにin vitroで報告されており(例えば、オミクロンBA.4およびBA.5系統)、これらの変異体やその亜種がin vivoでも高い毒性を示すようになるのは時間の問題と言えるのです。

子どもたちは、殺菌免疫を生み出す素晴らしい自然免疫力を持っています。したがって、公衆衛生の観点(つまり、集団免疫!の観点)からは、子どもたちをそのままにしておくことが重要なのです。しかし、子どもたちをC-19ワクチン接種から守ることは、個人の健康の観点からも重要です。なぜなら、これらの非複製ワクチンを接種すると、子どもたちの免疫系が十分に育たなくなるからです。循環するオミクロン変異体やその亜種にさらされてスパイク特異的な非中和抗体が絶えず増えるため、常に子どもたちの自然抗体が凌駕されることになり、子どもたちの自然抗体は「自己」と「自己類似」を識別する方法を免疫系に教えることが出来なくなるのです(https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/intra-pandemic-vaccination-of-toddlers-with-non-replicating-antibody-based-vaccines-targeted-at-aslvi1-or-aslvd2-enabling-glycosylated-viruses-prevents-education-of-innate-immune-effector-cells-nk-cells)(和訳)。
さらに、年長の子どもへのワクチン接種は、C-19の抗体依存性疾患増強を引き起こす可能性が高いと考えられます。これは、自然免疫系がまだ十分に訓練されていない段階では非中和性の感染促進抗体によってウイルスが自然免疫系を突破しやすくなる可能性があるためです[1]。ウイルスがワクチンによって誘導された獲得免疫に完全に抵抗性となった場合には、子ども達は(訓練されていない)自然免疫系に頼るしかなくなるため、これは特に問題となるでしょう。

もちろん、科学を無視したり、リスクを負うことを決めたりすることもできますが、それでも、なぜ過去には子どもたちに対して(非複製ワクチンによる!?)季節性インフルエンザワクチンを接種しなかったのか、なぜ糖鎖ウイルス(はしか、おたふくかぜ、風疹、水痘、ロタウイルスなど)に対する小児ワクチンに、非複製ウイルスを使ったものがないのか、という疑問は残ります。あらゆる「近代的」技術にもかかわらず、ワクチン学は経験的なビジネスであることに変わりはありません。しかし、ワクチン学は時として正鵠を射ることがあります。現在では、これらの複製能を持つ小児用ワクチンは小児の自然免疫反応を訓練するのに対し、複製能を持たないワクチンはそうではないことが分かっています。このような理由から、弱毒生ワクチンは、ある条件下では、アウトブレイクを予防または阻止するのに有効であり、より現代的で洗練されたワクチン技術にまだ取って代わられていないのです。

[1] 新しいオミクロン対応型ワクチンが、感染促進抗体を呼び戻す代わりに、新しい中和抗体を誘導することは期待できません。
https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/novel-bivalent-c-19-vaccines-what-does-common-immunological-sense-predict-in-regard-to-their-impact-on-the-c-19-pandemic (和訳)


いただいたサポートは一般社団法人ワクチン問題研究会に寄付されます。