マガジンのカバー画像

小説-短編–

7
主にフィクションを書いています。
運営しているクリエイター

#古本屋

古本屋

古本屋

古本屋

親指と人差し指に力がこもる。
男は有り余る力を左手の拳を握りしめることによって、今の自分を支えているようだ。
ここは、とある下町の古本屋。
住み慣れた人でさえ、よく探してみないと、見過ごしてしまうほどの文字通りの古ぼけた本屋である。
中に入ってみると、すぐ目に入ってくるものは、狭いスペースに入りきれないはどの本棚が所狭しと並べられている。
まるで迷路のようだ。
ここでは、隣の人と目の

もっとみる