新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

デザインを通して日本とオーストラリアの架け橋となりたい。JAUのソニーにインタビュー | Y+L Projects

Y+L Projects

はじめに

今回は日本初のオーストラリアデザインのセレクトショップであるJAUの創設者、ソニー・マイさんに日本でビジネスを始めるということから、良いデザインやエシカルなビジネス哲学についてまで話を伺いました。

ソニー・マイ氏は何かをするにあたって、あたかも手慣れたことをこなすかのようにサラッと成し遂げてしまうようなタイプです。自分を鼓舞するパワーがあり情熱的でありながら、一方で私、ルーシーがこれまで出会った中でもトップクラスにリラックスした雰囲気も同時に纏っているような人です。

マイ氏は問題解決能力に長けており、実際に数々の障害を乗り越えていますが、これはあくまで彼の努力の賜物です。ちょっと前に彼とランチをした際に、マイ氏はオーストラリアのシドニーに帰省した時に見つけた怪我をしたハトのために作った車椅子を見せてくれました。それはそれは芸術的に創られたエンジニア作品で、オンラインで見つけた中古のケネックス*と、サドル部分はフェイスマスクで創られていました。そのハトは今では彼の家族の一員です。
*ケネックス:プラスチック製の組み立て式玩具(知育玩具)の一種

それがソニー・マイという人です。問題やニーズを直視し、しっかりと解決のために立ち向かう。プロジェクトへの情熱と、(彼自身は知ってか知らずか)生まれながらの周囲にポジティブな影響を作り出すという欲求に駆り立てられて。そして、実際に彼はそれを実現しています。

マイ氏の初来日はフジロックでSigur Rosを観るためでした。その数年後、彼は日本で複数のビジネスを運営していました。その中のひとつがオーストラリアの優れたデザインの商品を紹介する、日本初のオーストラリアデザインのセレクトショップであるJAUの実店舗運営です。ブランドを通じて、サステナビリティの重要性、オーストラリアのクリエイティブコミュニティの才能、そして何か新しくてこれまでとは異なることを達成しようとし、成功することがいかに可能であるかを日本の幅広い消費者に伝える手助けとなる役割をしています。

そんなソニー・マイさんに、日本でどのようにビジネスを始め、経営していく上での挑戦やうまく行ったこと、そして日本とオーストラリアのデザイン哲学の相乗効果について伺いました。

JAUサイトとインスタグラムはこちらです
Website: www.jau.co.jp
Insta: @jau_design

JAU店情報
〒151-0063 東京都渋谷区富ケ谷2丁目12ー18
営業日: 金、土、日 12:00-19:00

9月3日 (土) 18:00〜にJAUとY+L Projectsがイベントを開催します。オーストラリア・ジャズとアロマを楽しみながら、様々な方々と会話を楽しむ会をJAU店(富ケ谷2丁目12ー18)で開催します。ぜひご来場ください!

ご自身について、少しお聞かせいただけますか?

オーストラリアのシドニーで生まれ育ちました。両親はベトナムからの難民で、オーストラリアはベトナム難民に国境を開放してくれたとても親切な国です。

個人的なことで言えば、私は常に自分が夢中になる楽しい何かを探しています。一番長い間ハマっているのはキャンプと登山で、もう一つの趣味である地形の写真を撮ることにも持ってこいです。

今の最大の趣味でありメインのビジネスは、私のお店、JAUを通じて日本にオーストラリアのデザインとクリエイティブを広める方法を見つけることです。

日本にたどり着いた経緯を教えてください。

2016年のある日曜日の朝、二日酔いの頭を抱えながら日本に移住する事を決めました。まず、フジロックのチケットと片道の航空券を取り、月曜日にオフィスに着くなり、みんなに丁寧にしばらく留守にすることを伝えました。その時は3ヶ月くらいの滞在のつもりでいました。そこから、5年強が経ちます。

JAU店内のソニー・マイさん

そのまま日本に留まりたいと思った理由は何ですか?

元々興味のあった日本のデザインに備わる文化や美しさをもっと知りたいと思い、日本に残る事を決めました。私の専門はエンジニアリングですが、昔からデザインをかじるのが楽しかったのです。日本のデザインや職人文化は、理論に基づく脳や科学と、完璧な芸術へと昇華させるクリエイティビティの錬金術そのものです。

日本の木製家具にはアートとエンジニアリングが詰まっています。刃物を造る鍛冶では化学と冶金学、藍染とインディゴ染めには生物学など、ものづくりの中にアートと化学の多くのスキルと時間をつぎ込んだ献身を見て取ることができます。

特に東京で感じる開かれたクリエイティブのコミュニティーとその自由さも、私が日本に留まりたいと思った理由の一つです。東京近郊のライブにいくつか足を運んでかなり奇妙でなんだかよくわからないパフォーマンスを見てから、ここの人たちは素晴らしきヘンテコさを受け入れ、変わり者と言われる人たちにも耳を傾ける環境であることに気がつきました。

JAUの商品: Addition StudiosからのMolecular Vase Picasso

経済的な理由なのかは分かりませんが、オーストラリアでは主要都市で生計を立てて生活していくのに十分なお金を稼ぐためには、もっと商業的でなければなりません。でも東京は、オーストラリアのどんな都市よりも生活の質とコストが良いと感じます。(フルーツとコーヒーだけは例外ですが!)

つまり、東京ではなんでも可能なのです。Jay Zの曲みたいな感じですね。(ニューヨークではなく、これの東京バージョンですね。)

今まさに日本で進行中のプロジェクトがいくつかあると聞いています。プロジェクトの名前やコンセプトをいくつかご紹介いただけますか?

JAU(J=日本「Japan」、A=オーストラリア「Australia」、U=団結「United」)がメインのプロジェクトです。 渋谷の富ヶ谷に小さなショップをオープンしたところで、店舗では様々なオーストラリアデザインの商品のショーケースを取り揃えています。日本全国の数多くのお店やビジネスから私たちの品揃えにご好評をいただいており、大きな所では日本最大の百貨店である東京の新宿伊勢丹や、大阪の阪急うめだ本店でも展開しています。

サイト: www.jau.co.jp

その他には、Less Plasticと言う、日本における使い捨てプラスチックに関する意識改革と再利用の促進のためのプロジェクトがあります。再利用の主な方法としては、カフェでのプラスチック再利用に焦点を当てています。

Less Plasticは日本でのKeepCupのディストリビューターも担っているのですが、日本人のみなさんの日常でもカフェに再利用可能なマイカップを持っていく文化が広がり始めているのを見ると、嬉しくなります。Mia MiaやCoffee Supremeなどの話題のカフェでは実際に店舗でKeepCupを使用していますが、そういったカフェだけでなく、各種企業も再利用の時流に乗っているようです。最近では、TinderとコラボしてカスタマイズしたKeepCupを制作したり、プリンスホテルの宿泊客用のKeepCupにも携わりました。

サイト:www.lessplastic.jp

最新のプロジェクトは、日本で新製品をローンチする会社の手助けをするエージェンシー兼コンサルティングのFormeです。我々JAU傘下で大きくなった全てのブランドを含めたチームが、日本でゼロから新規のブランドを立ち上げ、成長する上で非常に多くの経験を積み上げてきました。

日本でのブランド立ち上げを模索する人はとても多いです。しかし、日本のマーケットでの挑戦や日本で商品が売れるためのプロセスを理解していない人が多いのも事実です。

だからこそ、これまでの経験を活かして、日本のマーケットでブランドをゼロから立ち上げるところからサポートすることに決めたのです。中でも、より実務的な部分でのサポートに注力しています。例えば、製品認証や倉庫保管などです。とは言え、ブランドアウェアネスや日本国内の主要な小売業者との提携といった重要な部分でもお力添えしています。

サイト:longforme.com

JAUを始めてから、一番大きなサプライズは何かありましたか?

全ての段階がサプライズに満ちています。正直、日本でオーストラリアデザインの商品にこんなに需要があるとは思いませんでした。

コロナ禍の真っ只中に日本最大で最古の百貨店から連絡があった時は、本当に驚きました。パンデミックが始まったばかりのタイミングで、初のオンラインのマーケティングキャンペーンを打ち出したところで、新しいブランドをローンチするのには決してベストなタイミングではないと思っていたのですが、今になって考えると、一番良い時期のローンチでした。パンデミックによって人々はステイホームを余儀なくされ、そのことで住環境をより居心地の良いものにしたいという欲求が湧き上がりました。私たちが取り扱う商品の多くは、お香立てや石油ストーブなど、ウェルネスのカテゴリーに属していることもあり、難なく多くのファンを獲得することができました。

いくつかの雑誌にも取り上げられ、それによって百貨店からもお声がかかるようになりました。百貨店は集客のために、新しくてこれまでには無かったものを求めていました。

百貨店はパンデミックの中での集客と顧客の購買に苦戦しており、打開策となる新しくてこれまでには無かったものを探していました。中でも、百貨店自身のブランドを『緑化』してくれる、よりサステナブルなブランドや天然素材を主としているブランドを求めていて、その両方が私たちが取り扱っているブランドの最も重要なクオリティーの部分と合致していました。

JAU店富ヶ谷

日本で会社を始めるにあたって最大の難関は何でしたか?今後日本での起業に興味がある海外の人へのアドバイスはありますか?

大変だったのは、経営・管理ビザへの変更の申請を可能にする日本の起業家ビザ取得のために必要な全ての手順を理解し、適切な書類を全て揃えることでした。こればかりは退屈で時間のかかるプロセスで、その中には政府関係者との数回の面談も含まれますが、手順さえわかればそんなに難しくはありません。しっかりしたビジネスプランと起業のための資金があることさえ示すことができれば大丈夫です。

経営・管理ビザの取得については、独創的かつ実現可能で、かつ日本にとっても有益となり得るしっかりとしたビジネスプランを示すことが大事です。私のケースでは、デザインを通じてオーストラリアの文化を共有できることを伝えました。

日本語ができないと大変な事は多いです。ですが、それでも不可能ではありません。私の日本語も使い物にならないレベルですが、幸い最初の段階でUpwork*で翻訳とビジネス関連の手助けをしてくれる人が見つかりました。
*Upwork:フリーランサーと事業主をマッチングさせるオンラインサービス

ほとんどのブランドは自分たちの商品を日本で販売するために日本で事業を開始することを望んではいないことに気がつきました。だからこそ、製品を販売する企業が日本のマーケットを確立するのをサポートするコンサルティングの会社を始めました。

JAUの商品:Botanica Boutiqueからのテラリウム

JAUはソニーさんにとっていわゆる『旗艦』プロジェクトと言えるかと思いますが、プロジェクト・ブランドの哲学についてお聞かせください。

オーストラリアデザインの素晴らしい製品と文化を日本に紹介することです。私自身、日本のデザインにはとても感嘆しています。そして同じく、母国オーストラリアにも素晴らしいデザインがあります。それを日本の人々と共有したかったのです。オーストラリアは決してカンガルーやコアラ、美しいビーチだけの国ではありません。オーストラリアは地理的に孤立しているという制約はありますが、強力なクリエイティブシーンがあり、人々も文化的多様性があります。そのことにより、実験やリスクを冒すことをいとわない面白くて強いデザインが生み出されています。

また、ベトナム難民の両親と姉を持つ私にとって、オーストラリアのデザインを広めることは意味のあることです。オーストラリアは私たち家族に安全で歓迎される環境において、様々な機会を与えてくれました。オーストラリア人であることを誇りに思うので、自分の育った国に私ができる少しばかりの恩返しです。

JAUはここ数年で日本のメディアからかなりの寵愛を受けていますね。伊勢丹新宿やACTUSのSLOW HOUSE(スローハウス)、阪急うめだ、代官山T-SITEと言った有名施設でのポップアップも開催されました。このような注目や露出は、どのように決まったのでしょうか?JAUに向けられる注目度について、どのように感じていますか?

ポップアップを開催した施設が、店舗を彩る製品としてオーストラリアデザインに価値を見出してくれたことをとても誇りに思います。

多くの百貨店のバイヤーの方たちがJAUのSNSアカウントをフォローしてくれており、雑誌に掲載された商品を見てご連絡をいただくことに繋がっています。みなさんとても優しくてクールな方で、一緒にお仕事ができて嬉しいです。百貨店バイヤーと言うと、先入観から、そこそこの年齢のビジネスマンで、融通が効かないタイプを想像していました。でも実際には全く違っていました。バイヤーの方々は主に30代か40代で、とても寛容的で協力的な人ばかりでした。バイヤーさんがお店に足を運んでくれるときは、いつも楽しく過ごしています。

暖かいJAU店の空間

お話を伺っていると、日本のデザイン好きの消費者と、オーストラリアのメーカーやクリエイターとの間に、ある種の調和を発見されたように感じます。日本とオーストラリアのそれぞれの文化には、何か特別な絆があると思いますか?

私たちが取り扱うデザイナーはとてもミニマリストなデザインのスタイルで、自然から刺激を受けていたり、または自然保護(サステナブルデザイン)の観点を取り入れています。私から見て、日本人は自然を愛しているように感じます。祝日にも自然に焦点を当てた日が多いですよね。また、日本のデザインも一般的にミニマリストの精神が宿っており、この自然とミニマリストの融合がうまく共鳴しているのだと思います。日本のミニマリスト精神とクラフトマンシップは、しばしばオーストラリアのデザイナーに良い刺激となり、その結果オーストラリアのデザインに影響を与えています。

オーストラリアは人口で見ると日本に比べて小規模ですが、デザイン業界におけるオーストラリアの賃金についてはどの様にお考えですか?

オーストラリアは国土に対して比較的人口が少ないことで、クリエイティブのリソースをより豊かにし、強いデザイナーを生んでいると思います。オーストラリアのゆったりとしたリラックスした雰囲気の文化と相まって、デザインとは何かと言うことをより柔軟に考え、実験を恐れないことに繋がっています。オーストラリアのデザインのワイルドな側面をご紹介する良い機会だと思うので、私たちのプロジェクトに注目していてください。

去年末、実店舗もオープンされましたね。なぜ実店舗が必要だと感じたのでしょうか?

2020年のローンチから、コロナ禍を経て、オンラインでの展開がマッチしていました。しかし漸く、希望も込めて、外出の欲求の高まりや機会が増え、直接触れ合う経験へとシフトして行き、もう部屋でじっとスマホを眺める生活にはうんざりだからです。

実店舗は実際にオーストラリアデザインとそのデザインの奥にいるクリエイティブな人々に触れていただき、もっと知ってもらうための場所を提供できます。

JAUの商品: Champ Co.からのRhombus Table Trivets

実際にお客様が足を運べる実店舗を構えることで、どのようなビジネスを生み出しましたか?またはビジネス的な繋がりはありましたか?

まだオープンから日が浅いですが、反応はとても良いです。富ヶ谷近辺の店舗のご近所さんたちは、リラックスした空間とフレンドリーなスタッフ、そして看板犬を楽しんでくれています。(店長のナオミと、かわいいワンコスタッフのシャイちゃんが出迎えてくれます。)

ビジネス的な側面では、どのようにビジネスを展開するかという意味では特に変化はありません。しかし、私たちにとって色々な機会は増えました。雑誌社の方が週末に寄ってくれた翌週、撮影のためにいくつか商品を使いたいとお声がけいただいたり、小売店のバイヤーの方々からのご連絡もかなり多く、ご来店いただきご自身のお店に合う商品をじっくりとご覧になっています。

年内で、オーストラリアのワインテイスティングやワークショップなどの小さなお楽しみイベントを取り入れた、オーストラリアのデザイナーに特化したポップアップを開きたいと考えています。

JAUやその他のプロジェクトについてもっと詳しく知りたい場合、どこから情報を得られますか?

渋谷の富ヶ谷にあるお店にいらしてください。Mia Miaのオーストラリア焙煎コーヒーまたはオーストラリアワインをグラス1杯、ウェルカムドリンクとして無料で提供しています。まずはご来店いただき、座ってスタッフとの会話を楽しんでいただきたいです。地元の方がちょっと立ち寄っては休憩がてら話に花を咲かせているのを見ると、とても嬉しくなります。お店の周辺に開放的な空気とコミュニティーを作りたいと思っています。

JAUサイトとインスタグラムはこちらです
Website: www.jau.co.jp
Insta: @jau_design

JAU店情報
〒151-0063 東京都渋谷区富ケ谷2丁目12ー18
営業日: 金、土、日 12:00-19:00

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
Y+L Projects
東京に拠点を構え、世界中のクリエイターが在籍するクリエイティブエージェンシー。 Working across platforms to deliver an unforgettable brand experience. https://ylprojects.com