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相手の気持ち

LGBTという言葉をご存知でしょうか?

情報感度の高い方は各種メディアで頻繁に発信されているのでキャッチしているはずですよね。

答えを言ってしまうと、LGBTとは、

L = レズビアン
G = ゲイ
B = バイセクシュアル
T = トランスジェンダー

いわゆる性的マイノリティ(※社会的少数者)と言われる人たちのことを指す言葉です。
ではいったい社会的少数者と言われるLGBTはどれくらいの割合で存在するのでしょうか?

残念ながらLGBTの人口規模に関する公的な統計は存在しません。しかし、参考となる記録として、参議院で提出された『LGBTの現状と課題』という資料が存在しています。目を通していくと、3つの団体が独自に行った調査結果にたどり着きます。

次のデータをご覧ください。

電通ダイバーシティ・ラボ =「LGBT層」に該当する人は【7.6%】
株式会社LGBT総合研究所 = LGBTに該当する人【5.9%】その他セクシャルマイノリティに該当する人【2.1%】 合計【8.0%】
日本労働組合総連合会 =  LGBT当事者等(性的マイノリティ)は【8.0%】

定義が一律でないため調査結果にややばらつきがありますが、おおむね8%程度と理解してよさそうです。

ちなみにわたしが所属する店舗には社員、アルバイト合計で約100名が在籍しています。調査結果の割合をそのまま当てはめれば、店舗の中に7、8人程度はLGBTであってもおかしくないという計算になります。

読者の方にもご自身がLGBTだという方はたぶんいらっしゃるでしょう。そうでない方の中にもLGBT対象者に今まで一度も会ったことがない、と言い切れる人はいないでしょう。

より大きな視点に切り替えると、日本の総人口は約1億2700万人ですから、そのうちの8%、実に約1000万人のかたがLGBTということになります。

人口の8%がどの程度のものなのか比較対象となるものを調べてみました。

「レジャー白書2018」の発表によると、2017年のパチンコ参加人口は約900万人。こちらも総人口の約8%となっています。

つまりパチンコ参加人口よりもLGBTの方が多いということです。


???

と、はてなが3つくらい頭の上に浮かんだのではないでしょうか。

パチンコはいわゆる大衆娯楽であり、老若男女知らない人はほとんどいない、はず。

一方、LGBTはマイノリティと言われていて、実際にあまり出会ったことがない。肌感覚的には2、3%のイメージでしょうか。

わたしはこの感覚のずれの原因を正確に言い当てることはできません。ただおそらく、当事者以外がLGBTのことをよく知らないからこそ発生している現象ではないかと推測します。

LGBTをカミングアウトすることは勇気がいる行為であるため表面化されず、よって当事者たちでさえ実態が掴みづらいものとなってしまっている。

もう一つの仮説として、大多数の人が五感(触覚・味覚・聴覚・視覚・嗅覚)で認識できる限られた範囲で世界を捉えており、自分の感覚の及ばない事象については理解が及んでいないということを言い添えておかねばならないでしょう。

これはつまりたいていの人は「他者に対しての想像力に欠けている」ということです。「見えないものの中にある真実を見極める能力に欠ける」と言い換えてもいいでしょう。
自分の目に見えるものしか理解しようとしないからLGBTの「8%」が想像できない。

LGBTの歴史は人類発祥と同時にスタートしました。何百年ものあいだ脈略と続いている、いわば当たり前の存在です。その長大な歴史の過程で、一部の地域や期間を除けば、彼らが社会に今ほど受け入れられている時代はないのではないでしょうか。ここ数十年、特にここ数年においては飛躍的に立場が向上し、若い世代を中心に寛容にそれを受け入れている傾向にあり、また同性婚などをはじめとした社会制度も追い付いてきています。若い人が支持しているということは未来は明るいということと同義です。

日本は比較的同性愛等には寛容な歴史を持つためあまり実感は湧かないかもしれませんが、より宗教色の強い海外の動向に目を向けると、彼らの勇気ある社会運動が歴史を変えているダイナミズムを目の当たりにすることができます。

これまで何百万年間も変わらなかった高い壁が堰を切ったように一気に瓦解する時代。それが現代です。未来はさらに加速していきます。常識は絶えずアップデートされ、わたしたちが生きている常識は塗り替えられていくのです。

ありとあらゆる業界がこれから変化の波、多様性の渦に飲み込まれていくことになるでしょう。裏を返せば、想像力を働かせ勇気をもって行動すればチャンスは無限に広がっていくのです。
楽しんでいきましょう。


ここからは余談です。

わたしには学生時代LGBTの友人がいました。バイセクシャルに該当する人です。彼は特にそれをおおっぴらにすることも隠すこともしておらず、わたしはたまたま友人として近くにいる時間が長かったため、どこかのタイミングで自然とその事実を知ったのでした。特に「カミングアウト」とか“かしこまった儀式”はなかったように記憶しています。
彼はかなり個性的な性格ではありましたが、常に自然体で、人間的な魅力に溢れ、そして他者を思いやる優しさを持っていました。

今思えば、当時の彼はわたしたちとは違う世界を知っていて、だからこそより大きく広い視野で他人であるわたしたちを寛容の精神で優しく見つめることができていたのだと思います。そんな自分の立場も相手の立場も理解できる余裕のある態度だからこそ、彼の周りには自然と人が集まり、そこに集うわたしたちも自然体でいることができたのです。

相手のことを理解しようと努力すること、思いやりをもって接することの大切さを、20年の時を経て改めて彼に教えてもらった気がします。

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