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ミュージカル「SIX」を楽しみたい!

- DIVORCED, BEHEADED, DIED, DIVORCED, BEHEADED, SURVIVED.-
-離婚、斬首、死、離婚、斬首、生き残り-

現在NYブロードウェイをはじめ、世界各国でも上演されているミュージカル「SIX」。日本ではまだ上演されたことはないですが、カナダ公演があると聞いて、せっかくだから全編英語で理解は難しくてもできるだけ楽しめるようになろう!と予習をしてみました。


- 作品情報

  • イギリス発のポップ・ミュージカル。

  • ヘンリー8世の歴代6人の妻たちの半生をもとにしたお話。

  • 6人のキャラクターや楽曲は、現代のポップスターたちにインスピレーションを受けて作られている。

  • 現代のポップコンサートが舞台に、ガールズグループを結成した王妃(クイーン)たちが、リードボーカルを決めるためにコンペティションを開催する。選ばれるのは、最も夫ヘンリーに苦しめられた人。6人のクイーンたちはそれぞれの人生を歌で語っていく。

  • 2022年のトニー賞を含む様々な賞にノミネートされ、23の賞を受賞。

  • 2017年イギリスで初上演され、2021年よりNYブロードウェイにて絶賛上演中!

- 主な登場人物

ARAGON (Catherine of Aragon) (キャサリン・オブ・アラゴン)「DIVORCED

  • 生存年月:1485/12/15 - 1536/01/07

  • 結婚歴:1. Arthur(ヘンリーの兄) → 2. ヘンリー8世 (1509)

  • 子ども:Mary (後のQueen Mary I)、他にも幼児期に死亡した子どもが2人、死産が3人、流産も数回。

  • 趣味(興味):宗教・裁縫・ダンス・そして宗教

  • 死因:おそらくガンの一種

  • エピソード:結婚が無効だというヘンリーを決して認めなかった。結婚の無効を求めるために、ヘンリーが彼女を法廷に連れてきた時には劇的なスピーチをした。

  • Queenspiration(インスピレーションを受けた歌手): Beyoncé and Shakira


BOLEYN (Anne Boleyn) (アン・ブーリン)「BEHEADED

・生存年月:1501 - 1536/05/19
・結婚歴:ヘンリー8世 (1533)
・子ども:Elizabeth (後のlater Queen Elizabeth I)、少なくとも2回の流産。
・趣味(興味):ファッション・ダンス・浮気・福音主義作品の収集
・他のクイーンとのつながり:アラゴンの侍女
・死因:ロンドンのグリーンタワーでの処刑
・エピソード:斬首された。イングランドとローマ教皇の断絶をもたらした。6本目の指がある。
・Queenspiration:Lily Allen and Avril Lavigne


SEYMOUR (Jane Seymour) (ジェーン・シーモア)「DIED

・生存年月:1507 or 1508 – 1537/10/24
・結婚歴:ヘンリー8世 (1536)
・子ども:Edward (後の King Edward VI)
・趣味(興味):信仰的信念・服従
・他のクイーンとのつながり:ブーリンの侍女
・死因:Edward出産後の出血
・エピソード:「ヘンリーが唯一本当に愛した人」。ヘンリーの死後、息子Edwardの親権を争った厄介な兄弟が2人。
・Queenspiration:Adele and Sia


CLEVES (Anna of Cleves) (アン・オブ・クレーヴズ)「DIVORCED

・生存年月:1515 – 1557/07/06
・結婚歴:ヘンリー8世 (1540)
・子ども:なし
・趣味(興味):Staying alive. 生き続けること。
・他のクイーンとのつながり:キャサリン・ハワードが王妃になった際に、彼女を訪ねて頭を下げた。
・死因:おそらくガン
・エピソード:クレーヴスの肖像画を見たヘンリーに選ばれたが、対面した時には拒絶された。
・Queenspiration:Nicki Minaj and Rihanna


HOWARD (Katherine Howard) (キャサリン・ハワード)「BEHEADED

・生存年月:1523 – 1542/02/13
・結婚歴:ヘンリー8世 (1540)
・子ども:なし
・趣味(興味):信仰的信念・服従
・他のクイーンとのつながり:クレーヴズの侍女、ブーリンのいとこ
・死因:ロンドンのグリーンタワーでの処刑
・エピソード:彼女を支配する権力者に完全に利用(虐待)されていた。
・Queenspiration:Ariana Grande and Britney Spears


PARR (Catherine Parr) (キャサリン・パー)「SURVIVED

・生存年月:1512 – 1548/09/05
・結婚歴:1.Sir Edward Burgh→ 2.John Neville→ 3.ヘンリー8世 (1543)→  4.Thomas Seymour
・子ども:娘(Thomas Seymourとの子)、幼児期に死亡。
・趣味(興味):本の執筆・教育推進・宗教改革
・他のクイーンとのつながり:母はアルゴンの侍女で、アルゴンの娘(Queen  Mary I)と仲がよかった。
・死因:出産
・エピソード:生き残った。
・Queenspiration:Alicia Keys and Emeli Sandé


- あらすじ(主要曲の解説)

Ex-Wives
 
オープニング曲。6人のクイーンたちがヘンリー8世の妻としてどのような人生を送ったかを少しずつ紹介する。今までテレビや歴史の授業で記憶していたイメージとは違っていたのかもしれないと予感させるような華やかでド派手なステージ。

ここから、歴史順にクイーンたちがそれぞれの人生を語っていく。

No Way (Catherine of Aragon)
 タイトルの”No Way (ありえない)”は、新しい宗教を立ち上げ、ブーリンのために離婚迫り、アルゴンをを修道院へ送り込もうとしたヘンリーへの怒りの返答。この3つのうち、宗教と離婚は達成されているが、アルゴンは修道院を拒んだ。

Don’t Lose Ur Head (Anne Boleyn)
 "Sorry, not sorry.”という歌詞が、ヘンリーを誘惑したとアルゴンや世間から批判されても気にせず受け流すブーリンを表している。しかし、タイトルのとおり自分の首を失いそうになると、急に事態は現実味を帯びてきて、その問題にただ”LOL, say farewell (爆笑、さよなら)” とは言えなくなった。結果としてヘンリーを嫉妬させようと浮気しているのが見つかり斬首される。

Heart of Stone (Jane Seymour)
 タイトルの”Heart of Stone”には2つの意味が込められている。1つめは、シーモアは石のような揺るぎない心を持っており、ヘンリーの気性が荒れても彼を愛し続けたということ。2つめは、ヘンリーは自分が息子を産んだから愛してくれているだけだと分かっていながらも、彼を愛し続けるために傷つかないように石のような心を持ってなければいけなかったということ。

Haus of Holbein (Company)
 半分のクイーンたちのソロ曲が終わり、コンサートもいよいよ中盤。後半の曲が始まる前に、6人全員が集まってこの曲を歌う。タイトルは、ドイツの画家であるHans Holbeinにちなんでおり、肖像画を描くために女性たちが着なければいけなかった不快な服装や、化学物質まみれの化粧品について歌うことで、女性の美の基準を風刺している。
 また、Holbeinはクレーヴズの肖像画を描いたので、次のクレーヴズのソロに繋がっている。この曲で特徴的なのは、クイーンたちがTinderに見立ててヘンリーの新しい花嫁探しを再現する。Holbeinが描いた様々な女性たちの画像を”左にスワイプ”し、最終的にクレーヴズにたどり着く。

Get Down (Anna of Cleves)
 ヘンリーはクレーヴズを”右にスワイプ”したが、彼は彼女に対面した途端別れを告げた。"I didn't look like my profile picture.(プロフィール写真と違ってた。)”。しかし、彼女は気にしない。自分の城に引っ越してたくさんの富を手に入れ、自分の肖像画をみんなに見えるように飾る。その裕福で独立した人生は、このリードシンガーを決めるコンペティションからは外れているが、彼女は(観客も)曲に夢中で気にせず盛り上がる。

All You Wanna Do (Katherine Howard)
 明るいサウンドとは裏腹に、ハワードはこの曲でヘンリーを含め、彼女の体だけが目当てだった年上の男たちに利用された生涯を歌っている。オリジナルキャストのアルバムでは、歌詞が悲しくなっても曲調は明るいままだったが、現在の公演では、ハワードは恐怖と絶望に圧倒されながら最後のパートを必死に歌い上げる演出になっている。

I Don’t Need Your Love (Catherine Parr)
 パーは、自分の番が回ってくるとこのコンペティションを中止したいと言い出す。しかし他のクイーンたちから、パーだけが生き残ったのでこのコンペティションで負けるのを恐れているのだと笑われ、パーは折れてこの曲を披露する。この曲のタイトル”I Don’t Need Your Love” にも2つの意味が込められており、1つめは、彼女がヘンリーに結婚を命じられたとき、その時の恋人であったThomasにこの言葉を言わなければならなかったということ。2つめは、結婚前は作家としての才能があり、女性の教育のために戦っていた彼女がヘンリーに対して言いたかった言葉でもあるということ。
 しかし彼女はそこで嘆くのではなく、ヘンリーとは関係のない自分の功績に自信を持ち、全てのクイーンたちにもそう言って欲しかったという彼女の思いは5人の心を動かし、この内輪揉めのコンペティションを終わらせる。

SIX (Company)
ショーは終わりを迎え、華々しくフィナーレを飾る。6人は、自分達がいかに "one of a kind, no category,(唯一無二で、カテゴリーには縛られず)”、ヘンリーとは無関係に充実した人生を送れる女性であったかを讃える。そしてソロではなくグループで歌う曲として曲を書き換え、ヘンリー亡き後にポップスターとなったそれぞれの経緯を歌う。

The MegaSIX (Encore) (Company)
アンコール曲であり、全てのクイーンたちのソロ曲のマッシュアップとなっている。観客も一緒に盛り上がれる演出で、お気に入りのクイーンの曲を一緒に歌おう!と本当にポップコンサートに来ているような気分でショーは終演する。


- 楽曲リスト

  • Ex-Wives - The Queens

  • Ex-Wives (Reprise) - Company

  • No Way - Aragon

  • The One You’ve Been Waiting For - Company

  • Don’t Lose Ur Head - Boleyn

  • Heart of Stone - Seymour

  • Haus of Holbein - Company

  • Get Down - Cleves

  • All You Wanna Do - Howard

  • I Don’t Need Your Love - Parr

  • I Don’t Need Your Love (Remix) - Prr, Company

  • SIX - Company

  • The MegaSIX (Encore) - Company


- クリエイター

  • Toby Marlow (Writer)

  • Lucy Moss (Writer, Co-Director)

2人はケンブリッジ大学在籍時にこのミュージカルSIXの基礎を作り上げ、エディンバラ・フェスティバル・フリンジという芸術祭で初上演を行った。それからロンドン公演、UKツアー、ウェストエンド公演、北米ツアー、クルーズでの上演、2回目のUKツアー、オーストラリア・ニュージーランド公演を経て、2021年にNYブロードウェイで公演が開幕した。(本当は2020年を予定していたが、新型コロナの影響で延期となった。) そして、その開幕公演は、パンデミック後に再開したブロードウェイで最初の新作ミュージカルとなり盛大に祝福された。その後、SIXは様々な賞を受賞し、ブロードウェイでの公演を続けながら世界各国でも公演を行なっている。


参考にしたサイト

・画像は「SIX」公式YouTubeより

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