小説感想[グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行]

グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 / 高野史緒 著

1929年に霞ヶ浦に寄港したとされる飛行船が主人公の幼少期に見えた、ということの真意を確かめようと奔走する中編小説でした。

科学技術を駆使して飛行船の動向を探ったり、何故、現代にグラーフ・ツェッペリン号が見えた(と思った)のか、物理的な考えから解き明かそうとするもどかしさが、冒頭のファンタジー感に合っていて、するすると読み込めました。

ただ、クライマックスで何故何故が続くところでは、物理用語をまとめて出してきた雑感がどうしても否めず、その結論がまた全然違う展開だったので、かなり拍子抜けしてしまった感はあります。

長編だったらこの辺りにページを割いて展開してくれてたのかな…と勝手に想像すると、どっしり長編で見たかったな、と思ってしまいます。

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