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スタートアップの組織づくりで参考になった9冊+α

こんにちは、Synamon COOの武井です。

先日のnoteでお伝えした通り、BizDev責任者から人事を含むコーポレート統括にコンバートしたのですが、ここ数ヶ月で組織づくりに関連する書籍を読み漁っていたので、参考になった書籍をまとめてご紹介しようと思います。

Synamonは正社員がちょうど30名前後に差し掛かっており、いわゆるスタートアップの「30人の壁」を目前としているタイミングです。

30人の壁を超えるために、これから各種の組織施策を打っていく必要があるのですが、検討を進めるためにも「まずはSynamonが目指す組織の理想像を言語化したい」と思い立ったのが組織周りのインプットを始めたきっかけです。

僕は本からインプットするのが好きなのですが、「スタートアップ 組織づくり 書籍」とググっても、欲しい情報がまとまってるサイトが意外となくて困りました、、、

採用や評価制度のような個別トピックや、スタートアップの人事向けといった広いテーマでのオススメ書籍情報はあったのですが、「組織づくり」というトピックでは良い情報を見つけられませんでした。

そこで今回は、今後スタートアップで組織づくりに関わる方が同じ悩みにぶち当たることの無いように、僕が読んだ書籍の概要や良かった点を共有したいと思います!

※アフィリエイトっぽい見出しになってますが、アフィ目的の記事ではないのでご安心くださいw

こんな方におすすめ
・スタートアップの組織づくりに興味がある方
・理想の組織像を言語化したいと考えている人事責任者
・これから組織強化を行っていきたいスタートアップの経営層


NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く

1冊目は、NETFLIXで人事責任者をしていたパティ・マッコードさんが書いた「NETFLIXの最強人事戦略」です。

この本は今回読んだ書籍の中でも一番衝撃を受けた1冊でした。

NETFLIXの人事制度は以前から非常に先進的という話は知っていたのですが、「将来の業務にふさわしくない人は解雇」「有給休暇は廃止」みたいな過激な施策の印象が強く、読む前は外資っぽすぎてうちのカルチャーにはちょっと合わないかなーと想像してました。

しかし、実際に読んでみると、施策の裏側にある考え方の軸がしっかりしていて、目指す方向性やエッセンスは非常に参考になると感じました。

特に会社を家族ではなく「スポーツチーム」として捉える考え方は個人的にもしっくり来た部分で、今後の組織検討のベースにできるなと感じました。

▼特に参考になった部分
・会社を家族ではなく「スポーツチーム」として捉える考え方
・チームづくりの成功を測る指標は、従業員定着率ではなく、全ての職務に優れた人材を配置できていること
・プロダクト開発と同様に、チームづくりも6ヶ月先の理想形を考えて動く


NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX

NETFLIX関連の本が続きますが、2冊目はNETFLIXのCEOであるリード・ヘイスティングスさんが書いた「NO RULES」です。

先程紹介した「NETFLIXの最強人事戦略」との違いとして、「NO RULES」は時系列に沿ってNETFLIXが行ってきた施策を解説している点が特徴です。

「NO RULES」に書かれているNETFLIXのアプローチを簡単にまとめると、

1.能力密度を高める
2.率直さを高める
3.コントロールを減らす

という3つの循環を繰り返すことで、自由と責任のカルチャーを築く方法なのですが、各フェーズでどんなことを実施したのか具体的に書いてあり、大変参考になりました。

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「NETFLIXの最強人事戦略」と「NO RULES」をセットで読むことで、組織づくりに対する解像度が一気に上がった感覚があったので、合わせて読むのがオススメです。

▼特に参考になった部分
・能力密度を上げるというコンセプト
・フィードバック文化の必要性と作り方
・コントロールではなくコンテキストによるマネジメント

※NETFLIXのカルチャーや思想はウェブサイトにも概要が載っているので、本が苦手な方はこちらをどうぞ。


How Google Works

3冊目は、Googleの元CEOであるエリック・シュミットさんが書いた「How Google Works」です。

この本は2014年出版なので、以前に一度読んだことがあったのですが、改めて読み返すと学びが多い1冊でした。

テーマとしては、文化や戦略、採用、コミュニケーションの仕組みなど幅広いトピックが網羅されており、Googleが「スマート・クリエイティブ」と呼ぶ、とびきり優秀でクリエイティブな人材をどう惹きつけるのかという一貫した軸で語られているので、組織づくりの全体観を検討するのに役立ちました。

▼特に参考になった部分
スマート・クリエイティブを惹きつけるための様々な施策
Google流の文化の作り方と維持・拡大の方法
・20%ルールなど有名な仕組みの裏側にある思想や考え方


ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

4冊目は、Googleの元人事担当役員のラズロ・ボックさんが書いた「ワーク・ルールズ!」です。

先程紹介した「How Google Works」も同じGoogleの組織をテーマとした本ですが、「ワーク・ルールズ!」は人事担当役員の方が書いている分、様々な人事施策の詳細情報や実施プロセスが詳しく書かれている印象でした。

また本書では、Googleが過去に犯してしまった人事施策の失敗や反省点も赤裸々に語られていることも、非常に良かったです。

Googleといえば働きやすい企業ランキングでも常に上位に位置しており、組織づくりが非常に洗練されている印象だったのですが、そうした優れた組織も様々な実験や失敗の上にたどり着いたものなのだということが分かったことで、僕もこれから頑張っていこうという勇気を持てました笑!

▼特に参考になった部分
・各施策の具体的なプロセスや実際のデータが豊富
人事こそデータやファクトを重視するという考え方
・人事施策を導入する時にも挑戦や実験が大事

※Googleに関する組織の事例やデータはこちらのサイトにも充実してるので、合わせて読むのがオススメです。


心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える

5冊目は、株式会社ZENTech 取締役 石井遼介さんが執筆し、読者が選ぶビジネス書グランプリ2021のマネジメント部門賞を受賞した「心理的安全性のつくりかた」です。

「心理的安全性」という言葉は、上述のGoogleの組織づくりをはじめとして、スタートアップの組織論ではよく出てくるキーワードかと思いますが、本書を読む前は僕も下記のような誤解をしてました。

心理的安全性についてよくある誤解は、「心理的安全性=ヌルいチーム作り」と考えられてしまう点です。

本書で紹介されているように、心理的安全性と仕事の基準が両立された「学習する職場」を目指すというのは、スタートアップが目指す理想の組織像として非常に分かりやすいなと感じました。

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また、心理的安全性は居心地の良さではなく、「健全に意見を戦わせ、生産的な仕事をする」ことに集中できることだという定義は、非常に納得感がありました。

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本書では、心理的安全性を高める4つの因子や、チームの心理的安全性を高める方法が具体的に記載されており、すぐに実践できそうなTipsも紹介されている点が良かったです。

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▼特に参考になった部分
・心理的安全性に対するよくある誤解が解消できた
心理的安全性と仕事の基準が両立された状態が「学習する職場」
・心理的安全性の高め方についての具体的なアイデアが豊富


TRUST FACTOR トラスト・ファクター~最強の組織をつくる新しいマネジメント

6冊目は、クレアモント大学院大学の経済学・心理学・経営学教授であるポール J・ザックさんが書いた「トラスト・ファクター」です。

本書は、人間は信頼されるとオキシトシンという神経伝達物資が増え、受けた信頼に応えようとすることで、結果として組織のパフォーマンスが上がるという考えを、科学的な実験結果をもとに紹介した本です。

本書では、信頼を実現する要素として、期待や委任、委譲、オープン化などの8つの項目が挙げられているのですが、ここまで紹介したNETFLIXやGoogleの施策、心理的安全性を高める打ち手とも共通する部分も多く、より納得感を持って理解を深めることが出来ました。

▼特に参考になった部分
・信頼を実現する8つの要素が体系的にまとまっている
各要素におけるTipsと具体的な事例が豊富
・経験則ではなく科学的な実験結果も付随してるので納得感が高い


Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる

7冊目は、アメリカの有名VC アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者で、「HARD THINGS」の著者としても有名なベン・ホロウィッツさんが書いた「Who You Are」です。

本書は優れた企業文化の作り方を歴史上のリーダーから学ぶというコンセプトの本です。人類で唯一奴隷革命を成し遂げたハイチの指導者や、700年も武士による支配を可能にした日本の侍の武士道といった、時代や場所が異なる事例が出てくるので、単純に読み物としても面白かったです。

さらに、歴史的リーダーから抽出したエッセンスを、GAFAのような最近のシリコンバレー企業と照らし合わせて説明しているので、スタートアップの組織にどう適用すればよいかという点もイメージを持ちやすいです。

文化形成は組織づくりの中でも非常に大きな役割を占めると思いますが、言葉ではなく行動が文化をつくり、「言行一致」が文化形成においては普遍的な鍵であるということを本書からの学びました。

▼特に参考になった部分
・文化に唯一絶対の正解はなく、各社によって理想の文化は異なる
・文化とは行動の積み重ねによって形成されるものであり、言行一致が大切
・歴史的なリーダーと先端企業から抽出した文化づくりのエッセンス


全員経営者マインドセット

8冊目は、元 株式会社ガリバーインターナショナル(現 株式会社IDOM)専務取締役で、組織づくりのプロとして5年で500店舗出店を実現させた吉田行宏さんが書かれた「全員経営者マインドセット」です。

本書では、マインドセットの高低をタテ軸に、スキルをヨコ軸にとった「Mind×Skillマトリクス」、略して「MSマトリクス」をが手法の中心として紹介されています。

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特に少人数のスタートアップの場合、スキル面のみでなくマインドセットを併せ持つ「経営者マインドセット」人材が集まっていることが組織力の強さに直結します。

また、拡大時期にスキル面のみを持つ人材を焦って採用した結果、組織崩壊のきっかけになったという話はよく聞くので、30人の壁前後のスタートアップ経営層には特にオススメです。

▼特に参考になった部分
・MSマトリクスを活用した組織の見える化というコンセプト
・マインドセットを構成する各要素が具体的で分かりやすい
・組織のマインドセット向上のためのステップやプロセス


THE TEAM 5つの法則

9冊目は、元 株式会社リンクアンドモチベーション取締役で、現在はKnowledge WorkのCEOである麻野耕司さんが書いた「THE TEAM」です。

本書は、コンサルタントとして数多くの組織変革に関わってきた著者が、Aim(目標設定)、Boarding(人員選定)、Communication(意思疎通)、Decision(意思決定)、Engagement(共感創造)という 5つの法則をもとに、成功するチームとはなにかを解説した本です。

本書の最大の特徴は、「環境の変化度合い」と「人材の連携度合い」という2つの軸からチームを4つのタイプに分類している点かと思います。

チーム作りには絶対解はなく、各タイプ毎に人員選定やコミュニケーションの手法などの組織設計が異なるというのは、非常に面白い視点ですし、納得感が高い内容だなと感じました。

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僕自身、新卒からITベンチャーに入ったこともあり、右上のサッカー型の組織にいることが長かったので、理想の組織づくりを考える際には無意識にサッカー型を前提として考えていたのですが、あくまでビジネスモデルによって必要な組織設計が異なるという点は改めて留意しておく必要があるなと感じました。

大企業や他業種からITスタートアップに転職される方は、事業特性の違いから生まれるチームの文化や制度の違いに戸惑う方もいらっしゃるかと思うので、そういった方にも本書はオススメです。

▼特に参考になった部分
・「環境の変化度合い」と「人材の連携度合い」という2つの軸からチームを4つのタイプに分類される
・チームづくりに絶対の正解はなく、各タイプ毎に必要な組織設計は異なる
・良いチームを作るために考慮すべき全体感をつかみやすい


+αの書籍たち

最後に、組織づくりというよりは、経営論やマネジメント寄りの本だけど参考になる本をいくつか紹介します。

+αと書きながら5冊あるので、数行ずつでさくっと紹介していきますw!

爆速成長マネジメント

チーム・組織づくり、プロダクトマネジメント、資金調達、M&Aなど、スタートアップが直面する課題を解説した良書です。

第3章の採用や、4章 経営チームの作り方、5章 爆速成長期の組織構造辺りは組織づくりにも役立つかと思います。


Hit Refresh(ヒット リフレッシュ)

マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラが、マイクロソフトをどのように再興させたのかを書いた本です。

3章のミッション再定義の話や、4章の企業文化の再構築の話は、組織づくりにも非常に学びが深い内容でした。


HIGH OUTPUT MANAGEMENT

インテル元CEOのアンディ・グローブが、マネジメントの考え方をまとめた名著です。

特にミドルマネジャー向けに書かれているのが特徴で、マネージャーとして何が大事な仕事で、どうやってその仕事に取り組めば良いかがまとまってるので、新任マネージャーやミドルマネジャー層を強化したい経営陣におすすめです。


ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則

スタートアップにいる方なら一度は名前を聞いたことがあるであろう「ビジョナリー・カンパニー」ですが、2の「飛躍の法則」は、ごく普通の会社が飛躍した過程の共通項を見出すテーマの本なので、スタートアップには特に学びが多い1冊です。

まだ僕は読めてないのですが、最近発売されたビジョナリー・カンパニーZEROも凄く良いと評判なので、こちらも非常に気になる1冊です。


自分の小さな「箱」から脱出する方法 

人間関係の問題の本質に切り込んだ名作といえる1冊です。

身の周りの人間関係はすべて自分が原因で引き起こしているという内容なのですが、何度読んでも新しい学びがあり、底がしれない本です。

Synamonはこの本にインスピレーションを受けて、バリューの1つに「自分の箱から出る」というのを設定してるのですが、組織全体が箱から出た状態になると、とんでもなく強い組織になるだろうなと感じてます。


以上、組織づくりにおすすめの9冊+αでした!

まとめ形式だと、どうしても1冊に避ける割合が少なくなってしまい、各書籍からの学びを深堀りして書くことが出来ないなと感じたので、今後は良い書籍に巡り合った時に個別レビューも投稿していきたいと思います。

もし他にこんな本もオススメというレコメンドがある方は、ぜひコメントいただけると嬉しいです!


また、この記事を読んでくれた方でSynamonに興味を持った方はカジュアル面談も公開中なので、気軽にご連絡ください!
※Meetyのページは事業寄りの内容になってますが、組織づくりのディスカッションもウェルカムです!


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