CHROから教えてもらったこと

先日私が尊敬して止まないHRのリーダーがご退職されました。トップレベルのグローバル企業でのHR経験が豊富で、セミナー登壇もされるような方でした。

そんな方から日々業務のフィードバックをいただける環境は私にとって本当に貴重で幸せな日々でした。本来であれば有料でコーチングをお願いするレベルの方に、無料どころか給与を貰いながらフィードバックいただけるなんてこんな贅沢ありますかと。

私は転職して1年半というとても短い期間しかご一緒できなかったので、まだまだ一緒に働いて学ばせていただきたかったというのが本音。
でも部署の中でも比較的多くミーティングさせていただいた方だったので、最高に贅沢な時間を過ごさせてもらい感謝しています。

そんな尊敬するリーダーと最後に1on1をさせていただく機会があり、そこで聞かせていただいたHRとしての信念、女性の働き方などなどきちんと残しておきたいと思います。

時間で成果を出そうと思うな

男性と同じように時間をかけて成果を争うのはやめること。
仕事以外にやること(家事・育児)があるというのもあるが、睡眠時間を削って健康を損ねたら元も子もない。
どこかのタイミングで時間で成果を出すということから切り替えないと、それ以上にはあがれない。

良いインサイトを与える人になる

ではどうやって時間で成果を出すことから脱却するのか。
それは「良いインサイト・気づきを与える人」になること。
上司や同僚から相談をされた時「あの人に聞くといつも良い気づきをくれる」と思ってもらえるようにすること。

そうすると「あの人に作業なんかやらせてはもったいない」となる。こう思わせれば雑務やデータまとめなどの仕事は自分に来なくなるので、時間で成果を出すというフェーズからは抜け出せる。

ビームを張り巡らせる

では良いインサイトを与える人になるにはどうしたら良いか。
それは日々、世界情勢・業界ニュースなどの外の動きに対してビームを張り巡らせていること。よくアンテナを張ると言うけれど、私は彼女の「ビーム」という表現はより能動的な感じがして好きだなと思いました。

そしてただ情報をインプットするだけではなく、そのニュースは誰がどの立場で書いているのか、何を伝えたいのかを考え、自分なりのポジションを持つこと。さらに日本だけではなく、海外のニュースではどう報道されているのかも見る。

これを毎日毎日続けると、仕事上の判断や意思決定の質が変わる。

アセッサーになるな

HRの人はアセッサーになりがち。「あの人は〇〇の傾向があって、〇〇が苦手だよね」と。でも私たちの仕事はそうであってはいけない。
「あの人のポテンシャルをどうやったら最大限発揮できるのか、そのために必要な育成は何か?」を考え実行すること。人事部がそれをできなければ組織は衰退する。

人事管理でもなくアセッサーでもなく、従業員のポテンシャルを引き出し最大限発揮させる環境をつくることが人事部の役割

これは忘れないでいよう。

CHROをいつから目指していたか

数々のありがたいアドバイスをいただいた最後にどうしても聞きたかったことを質問させてもらいました。

「キャリアの中でいつからCHROというポジションを目指していたか」

なぜこんな事を聞いたかというと、私自身が彼女に出会ってCHROというポジションの魅力に気づいたからです。
恥ずかしながら私は今まで、ビジネスにダイレクトにインパクトを与えるのはやはり営業やマーケ部門で、人事は活躍できる人を育てるという間接的な関わりに留まるなぁと歯痒く思っていたところがありました。

しかし今の会社では彼女がCHROになってから人事部が変わった、会社が変わったという話を聞いていて、こんなに影響力を及ぼせるものなのかと驚きました。

そして私が何より尊敬しているのは彼女の信念。
「従業員には愛を持って接しなさい」

今の会社は私が以前いたJTCと違って割と降職や退職による人材の流動性が高いのですが「経営判断としてこの降職・退職は必要、でも人事部は従業員一人ひとりの人生に寄り添って最後まで愛を持って接しなさい」と。

私はこの言葉を聞いて彼女に人がついていく理由が本当に分かった気がしました。HRとしての突出した経験・知見があることはもちろんですが、根底にある彼女の人間的魅力、CHROとしての信念が彼女の強さだと思いました。

ちなみに「いつからCHROを目指していたか」に対する回答は「目指していなかった」でした。
偉くなりたい、とにかく上にあがりたいというタイプの人もたくさん見てきたけれど、そういう人はなんだかギスギスしていて人がついていかなくて、結局人として素敵なリーダーにはなれていなかったそうです。

人生を変えた出会い

私は自分のキャリアを考える中で「ひとまずマネジャー経験までできればいいかな」と漠然と思っていて、その上のポジションについて考えたこともありませんでした。でも彼女との出会いを通して、CHROというポジションで会社を変えるということの素晴らしさを知ることができました。

できる・できないは別としてキャリアの選択肢の中に「素敵な女性CHRO」を追加したいと思います。実現の可否は置いておいて、彼女との出会いが私の人生にとって非常に重要なものだったと改めて感じています。

私も誰かにとっての「人生を変える出会い」になれるように頑張っていきたいと思います!


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