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留置所日記 2020/6/1

朝6:30起床。眠れていない。
洗面→運動(爪切り・ブラシ)→少年室から一般室に移動。番号が「少2-1」から「7-1」に変更される。
昼前と昼食後~夕食前まで警察取り調べ。心理戦。


5/27の21:30頃、居候先の家を出たところで捕まる。
逮捕状あり。「やりました」と一言で認めて担当警察署へ。
護送車の車内で談笑。身の上話など。口数を増やして「やたらに威圧する必要のない相手」だと認識してもらう。成功か。

警察署で事実確認後、受け入れ先の手配。女性受け入れ体制のある施設が少ない。
女性であること。バイセクシャルであること。過去に同性と性行為の経験があること。以上を踏まえて一人部屋、風呂には一人で入る、などが決まる。

深夜3:30頃、留置所着。留置所内では、留置所のことを「場内」と言う。
あと3時間程だが寝ておけと言われ、眠ろうとする。
番号は「少2(-1)」。
遅れて隣の部屋に少3が入所。「〇〇〇(処方薬)が飲めないと死んでしまう」など、執拗に薬にすがる。泣きを入れてせびるあたりが鬱陶しい。そんなに薬が大事で死ぬのが怖いなら捕まるようなことすんなよ、と。1時間程わめいていた。
看守の「早く寝て。あと2時間ぐらいだけど。」という声が聞こえてきた。

1時間程寝る。


5/28 朝食は完食。前日に食っていなかったから。と、残せないという強迫観念。気分が悪い。言うほどマズくはない。

警察署で取り調べ。留置所内では、取り調べのことを「調べ」と言う。昼は警察署で、菓子パン1つと総菜パン1つ。夕食前に留置所に戻る。
食後に本を借りる。「僕が殺された未来」。読みかけて寝落ち。気づいたら朝。


5/29 多分だけど、この日はバスに乗せられて検察庁?に護送され、どういう人なのか何もわからない人の大きな机の前に、パイプ椅子が用意され座らされる。逮捕状の事実確認をした。手錠はつけたまま。繋がれた縄は後ろで結ばれパイプ椅子にくくりつけられる。

暇な時間を寝て過ごしてしまい、夜眠れない。

せっかく仲間にしてくれた大事な2人に、逮捕された事実だけでも伝えたい。死んだと思われていたらきっと心配するだろうし、とか。
余計な事を考えてしまい、弱い自分が泣き始める。過呼吸。反射的にトイレに逃げ込んでしまうが、看守に引きずり出される。いつもの頓服が飲めない。いつも安心させてくれる誰かはいない。
でも、放っておけば治まる。のに。声をかけず、そっとしておいて欲しい。
結局眠れなかった。

少3が「大丈夫ー?つらいよね。私もつらい。」などと、部屋越しにこちらを心配するような声をかけてきた、かまちょ害悪メンヘラかと思っていたら、ただ癖が強いだけだった。良い奴。ちょっと可愛く思えた。


5/30 10日勾留が決まる。バカ長かった気がする。午前中に裁判所に着いていて、「午後になるらしいよー」とか言われた。あ、そうすか…。
裁判官って、やっぱ癖強い。イメージ通り。持っていた偏見通りの裁判官に当たった。

基本的に、場内と調べ、弁護士面会(以下弁面と言う)は普段人と話すときの自分と、少し脳のスペックを高くした自分。本を読むときは生まれた時から変わらない、変われない、弱い自分。自弁のオレンジジュースの取り合い、よく笑う陽気な幼い自分と甘いものが好きな女の子の自分。
いつか誰かが名前をつけてくれた軟弱な男の子の自分はもういなかった。他はまだ潜めている様子。
夜に泣くのは弱い自分か、女の子の自分。大体弱い自分。

留置所の生活は林間学校や合宿みたい。
ソープで働いていた頃の寮生活を思い出す。


留置所生活の1日のルーティーン
6:30起床→洗面(平日は運動)→8:00朝食→本が読める時間→12:00昼食→15:00お茶が貰える→17:00夕食→洗面→21:00消灯

平日の「運動」の内訳
・ブラシ(使った後は自分の手で髪を1本残すことなく取り除く)
・爪切り(深爪しすぎると注意される)
・土日祝は「運動」なし

週に2回物品購入可能。曜日固定。
・ノート
・便箋
・封筒
・おむつ
・生理用品
・マスク
・歯ブラシ
・歯磨き粉 等

週に2回入浴可能。曜日固定。
・1人20分
・シャワーは基本ほぼ水
・湯船あり
・タオルも石鹸も入所が決まった時点でほぼ強制的に購入させられる
・シャンプーは入浴中に申告すれば1プッシュだけ貰える
過去に女性との性交経験があるため、毎回1人風呂。


5/31 30日に担当の国選弁護士が決まって、この日面会に来てくれた。この日まで場内での取り調べがなかったので、やっと声を発して他人との弁論を許されると思うとテンションが上がる、
逮捕されていることを伝えてほしい相手はとりあえず前述した2人。外のことは何とかしてください。
接見禁止なので外に手紙も出せないし、自分に出来る事は気が狂わないようにしておくことと、土産話を用意することぐらいしかない。場内では接見禁止のことを「接禁がついている」と言う。

もう2人に伝わっただろうか。みんな笑ってくれるかな。怒らせてたら申し訳ないけど、前科一犯ぐらいで丁度いい。
と、思わないですか?


基本、メシは不味い。ミートボールはゴムだし、がんもはスポンジだし。食事の時に毎回醤油かソースを使うか聞かれるので、必要な食材かどうか絶対に見ておかないと。マジで味がない。
たまーに当りもあるけど。

日に日に味は感じなくなる。自弁を購入して好きなものを食ってもいいが、外で出来る事をわざわざ塀の中でする必要はない。不味いメシを食う。
日曜日と水曜日を「オレンジジュースの日」にした。自分なりの曜日感覚のつけ方。
時計はない。今何時なのかは看守に聞くしかない。
少年室は窓がなく、外の光が届かない。音も基本、看守の足音かトイレの音しか聞こえない。時間感覚を失う。果たして夕食を食っている17:00は、暗いのか?明るいのか?今までその時間にどんなことをして生きていた?忘れる。

名前を番号にするのは管理のしやすさなのか。プライバシー保護だと言わんばかりの説明をうけたが、なんとも。
被疑者が部屋から出てそれに看守が触る時、看守はゴーグルにマスク、ゴム手袋をつけている。被疑者は無防備。それ、意味あるか…?
ちなみに、被疑者のことを場内では「身柄」と呼ぶ。


今日はとりあえずここまで。また明日。


P.S.
笑い話にしててくれ。頼む。
外のことはよろしく。俺なんかいなくたってどうとでもなるでしょ。
居候させてくれていた家主さん、本当すみません。
出てから住むとこ、どーすっかな。

明日は風呂の日。

一般室には窓がある。光がわかる。いいね。


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