『クリプトン〈シーズン1〉』感想
お気に入り度:★★★★・ 4 / 5
滅亡前のスーパーマンの故郷 クリプトンを舞台としたSF叙事詩。観る前は「架空の星が滅亡するまでの歴史物語なんて面白いのか」などと思ったが、いざ観てみると、面白い。スーパーマンの活躍する時代からやってきた未来人の存在によって、スーパーマン版『ターミネーター』のような物語となっている。セグがサラで、アダムがカイル、スーパーマンがジョンだ。
正直なところ、最初の2話はクリプトンの状況説明が主で、あまり面白くはなかった。しかし、クリプトン滅亡の元凶 ブレイニアックとの戦いが始まる第3話から徐々に面白くなり始め、アダムと同じ未来人でありスーパーマンの宿敵でもあるゾッド将軍が現れる頃には、物語に見入っていた。
アダムは魅力的なキャラクターだ。原作はDCコミックスの同名のB級ヒーローで、原作でも本名で活動しているらしい。本作はそれを「スーパーマンと違って異名を持っておらず、偉大なことをしたい青二才」にしている。スーパーマンを絶対的に尊敬するが故に、クリプトンに対して「スーパーマン誕生の為にむしろ滅びろ」といった言動をしてしまうのがたまらない。
アダムと対するゾッド将軍は、クリプトンを滅亡から救い、ついでにスーパーマンのいない世界で宇宙の支配を企む危険な男だ。視聴者からすればアダムは一応ヒーローでゾッドは間違いなくヴィランなのだが、劇中のクリプトン人からすればアダムの方が危険な狂人でゾッドの方が信頼に値しているのがなんとも皮肉で面白い。
セグの婚約者のニサ=ヴェックスも聡明で美しくて魅力があった。結構な不幸属性の人なので、今後報われることを願うばかりである。ブレイニアックはやる事なす事がえげつない上に、本人の外見もおぞましく、映画で実写化されたことがないのが不思議なくらいに非情に良い悪役となっていた。
未来人の介入によって、クリプトンの歴史は想定外の方へと向かい出す。スーパーマンはどうなるのか。アダムやゾッド以外にも未来人は現れるのか。今後の展開を楽しみにさせてくれるファースト・シーズンだった。
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