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『パン屋 まよなかあひる』を読んでみた。

皐月まうさんの最新小説を読破した。瀬戸内にある深夜営業のパン屋さん「まよなかあひる」が舞台。大学を辞めた「井上愛瑠(通称“あひる”)」と「まよなかあひる」店主「リッカさん」の出会いからパン屋さんにやってくる人々を描いたお話だ。

『成瀬は天下を取りに行く』をきっかけにリアルな世界の小説が好きになった僕にとってはこれもまた読みやすかった。

あひるちゃんとリッカさん

絶望していたあひるちゃんが快活なリッカさんに影響されたり、ぶつかったりして成長していく姿やリッカさんの強い個性的な姿が印象的だ。嫁さんとケンカした職人「堀田のおっちゃん」やボーイズバーの「愛貴まなきくん」、認知症のおばあちゃんと孫のうみちゃんなどいろんな人が絡んでくる人間ドラマも見ていて面白い。

好きが詰まってる。

今作もまた、まうさんの好きが詰まってる。作品のメインがまうさんの大好物であるパンだし、野良の黒猫の描写も愛猫家なのが反映されている。あとがきにおいては、舞台にしている広島県尾道が好きだとも述べていた。

列車から見た朝焼けの尾道

尾道と言えば、僕は去年秋に列車で通ったことがある。朝ラッシュの山陽線で揉みくちゃにされながらも、東尾道駅から糸崎駅までの朝焼けの瀬戸内海が美しかったのが印象深い。

向島の造船所
仕事終わりのあひるちゃんとリッカさんもこんな景色見てたんかなぁ。

前回は通過のみだったが、今度はぜひ途中下車をしてみて小説の聖地巡礼やJRのCMで出てきた風景を散歩をしてみたい。どうせなら福山か三原で1泊して、夜の尾道も写真に収めたい。どデカい乗り放題きっぷもあることだし。


リアルな世界を舞台にしているところで言えば、「成瀬シリーズ」に通づるところがあるし、まうさんの好きもたくさん垣間見えた。堀田のおっちゃんが話す広島弁も旅してる気分と同時に、倉橋島出身である大学の同期、通称「しまんちゅ」も思い出す。
しまんちゅ、元気してっかなぁ

個人的な思い出含めて、読んだ『パン屋 まよなかあひる』。次はこの世界を巡りたい。

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