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アキレス腱断裂 基礎編

突然ですが、アキレス腱が断裂するとどの様な症状が出現すると思いますか?


一般的な症状として、足関節底屈筋力の低下、アキレス腱周囲の疼痛、歩行障害が出現することが多いです。気をつけるポイントとして、歩行障害の程度は人それぞれ異なることです。


私が経験した症例では
・最近、自転車から降りたときにアキレス周囲の違和感が強くなった

という方で、疼痛の訴えは強くなく、自転車・独歩にて来院されました。


アキレス腱炎の症状が増悪した可能性を疑ったのですが、エコーを撮影すると、アキレス腱が断裂していました(ほんの一部接続あり)。

図3

経験した症例は、慢性的な症状や炎症に伴う疼痛閾値の増加、アキレス腱の組織変性、強力なストレスが生じていないため、疼痛や歩行障害が生じなかったと考えています。


この様にスポーツ障害や外傷が無い場合のアキレス腱断裂(完全・部分断裂)に外来では出会うことがあります。


ということで、今回は解剖を含め、アキレス腱断裂の基礎中の基礎を記載していきたいと思います。


それでは行ってみましょう!


1.アキレス腱の基本

アキレス腱は人体最大で最強の腱で、長さは約15㎝で、平均幅が6.8㎝です。アキレス腱は1トン以上の力に耐えることが出来ると考えられています。

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アキレス腱は腓腹筋とヒラメ筋が合流し、踵骨に停止します。両筋肉が合流してから、踵骨に付着するまでに捻じれながら走行します。

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M Edama, M Kubo, H Onishi et al: The twisted structure of the human Achilles tendon. Scand J Med Sci Sports. 2015 Oct;25(5):e497-503.


アキレス腱は捻じれ構造のため、強い負荷にも耐えることができ、強い弾性力と伸張性を作りだすことができます。そして、強い負荷を貯蔵し、放出することが出来る組織です!


強い負荷を貯蔵し、放出する動作の例を挙げると...


みなさんジャンプする時に一度しゃがみ込みますよね?しゃがみ込む時、アキレス腱が伸張され、伸張エネルギーが蓄積されます(捻じれが一直線になる)。そして、ジャンプするときに蓄積されたエネルギーが放出されます!

画像3

このように、強力な力が必要な動作ではアキレス腱の発揮する力はとても重要になります。


では、アキレス腱は構造的に強靭で、エネルギーをため込むことができますが、どの様な原因でアキレス腱が損傷するのでしょうか?


まずは疫学から考えていきましょう!


2.アキレス腱断裂の疫学

アキレス腱断裂は、人口10万人あたり6.3人から37.3人の発生率で、女性よりも男性の方が一般的に多く発生する(5:1の割合)と報告されています。


年齢は2つのピークがあり、 30~40前半ではスポーツ活動(レクリエーションアスリート)と関連し、60〜65歳の年齢層では軽度な外傷と関連しています。

図3

スポーツ中の受傷において、種目別にはバドミントン、バレーボール、サッカー、テニスなどの球技およびラケット使用競技での発生頻度が高いと報告されています。

疫学から考えると、年齢が進行し、力学的強度が低下している場合に生じる可能性がありそうですね!


3.アキレス腱断裂の原因

アキレス腱断裂はスポーツ中の受傷が多く、急停止や急発進高い位置からの着地、ジャンプからのリスタートなどの状況で断裂することが多いです。どれも、急激な負荷が生じる動作ですね!


アキレス腱断裂が生じると疼痛や断裂感(音がする)を自覚することがあります。


では、アキレス腱断裂の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?


アキレス腱断裂には、内因性と外因性の原因が存在しています。どちらも、知っておくべき内容なのでそれぞれについて記載していきます!


3-1.内因性の原因

内因性の原因は多く存在します!

図4


3-1-1.足部の影響

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