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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

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#肩関節

日常で肩の負担となる動作 ~何を見て何を考える?肩の痛みとの関係性~

みなさんが考える肩の負担となる動作はなんでしょうか? 「重いものを持ち上げる仕事」「長時間、座り続けている仕事」「洗濯物や掃除」それとも「上肢を繰り返し挙上するスポーツ」でしょうか? これらの動作は確かに、肩に負担が加わる動作になります。 では、これらの肩に負担となる仕事や動作を行うと、必ず肩に痛みが出現するのでしょうか?この考え方は「YesでもありNo」でもあります。例を挙げると、プロ野球選手で肩に痛みが出て、手術する選手もいれば、肩に痛みが無く投げ続けることができる選手

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石灰沈着性腱板炎 ~介入はどうする?~

肩関節の疼痛が出現する疾患に”石灰沈着性腱板炎”があります。石灰沈着性腱板炎は、一般的に30~60歳代に発症し、男性よりも女性に多いと述べられています。有症状の発生率は6.8%と報告されています。 この”石灰って何者?”となりますが、簡単にいうと、”石灰は骨や歯と似ている成分”です。その石灰が肩関節周囲に存在する組織の中にできてしまい、悪さをすることで肩関節に機能障害が出現します。 実は石灰ができる明確な原因はわかっておらず、今も議論が続いています。ですが、推論として”退

Force Coupleとは? ~肩関節の3つの力~

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肩関節の滑液包 ~それぞれの滑液包の特徴と役割を知る~

滑液包は全身の至る所に分布しています。滑液包の機能は「構造物に対するストレスの軽減」や「関節の動きを引き出す」ことが主な役割となります。 特に肩関節は可動性が大きく、周辺組織も多く存在しているため、ストレスを軽減させるため、肩峰下滑液包、烏口下滑液包、三角筋下滑液包、肩甲下滑液包などの滑液包が多く存在しています! これらの滑液包は肩関節の運動に重要なのですが、滑液包に過剰なストレス(摩擦や圧縮)が加わると、腫脹や炎症などの問題が生じ、肩の疼痛や機能不全に関与してしまいます

上腕三頭筋に介入し屈曲と外転可動域を獲得せよ!

臨床で肩関節疾患の肩関節屈曲、外転可動域制限はよく出会う問題の内の1つです。肩関節屈曲可動域制限と言っても、筋肉、滑液包、関節包など多くの組織が関与するため、ひとくくりに考えてしてしまうと危険です! 今回の記事では、上腕三頭筋と周辺組織の関係性から、肩関節屈曲-外転可動域制限について考えて行きたいと思います! 上腕三頭筋が肩関節屈曲や外転可動域制限に関与するといわれると少し疑問に思われるかもしれませんが、上腕三頭筋の詳しい解剖や機能、周辺組織との関連を考えると理解すること

これを知れば介入が変わる!肩甲下筋の多彩な役割 ~いくつ知っていますか?~

腱板筋群は肩関節の運動に関与するだけでなく、関節窩に対して上腕骨頭を求心位に保つ、肩関節の動的・静的な安定化に寄与するなど、多くの重要な役割が存在します。 その中でも、今回は腱板筋群の中で、唯一の内旋筋である”肩甲下筋”に着目して、解剖や走行から肩関節への機能を考えていきます。 1.肩甲下筋の基礎一般的に肩甲下筋は肩甲下窩から起始し、小結節(稜)に停止すると記載されています。また、肩甲下筋は上部線維と下部線維で異なる神経に支配され、作用が異なると考えられています。 肩甲

Painful arcが認められたら ~症例から学ぶ評価と介入のポイント~ 

肩関節周囲炎の方で、「肩は挙がるけど、挙げる途中が痛い」と訴える患者さんは臨床で多く経験します。painful arcとも呼ばれていますが、その現象と原因を考え、評価・介入方法を検討していきたいと思います! 1.Painful arcとは?Painful arcは肩峰下インピンジメントを評価する方法と考えられています。肩関節を外転させ、60°~120°の間で、疼痛が出現すると陽性と判断する、評価方法です。私は肩関節外転だけでなく、肩関節屈曲時にも適応できると考えています。

肩甲下筋の評価 ~特徴を理解している?~

肩甲下筋は肩関節の腱板筋群の1つであり、唯一の内旋筋です。肩甲下筋の機能には肩関節内旋以外に肩関節前方の安定性、Depressor機能(上腕骨頭の下方への引き下げ)、上腕二頭筋長頭腱の安定性があります。 肩甲下筋(舌部)はpullry systemの一部であり、上腕二頭筋長頭腱の通路を構成し、安定性に関与しています。そのため、肩甲下筋が損傷すると上腕二頭筋長頭腱の不安定性に繋がります。 下のエコー画像は「上腕二頭筋長頭腱炎」の診断名がついている患者さんのものになります。肩

Scapular Assistance Test、Scapular Retraction Test ~臨床でかなり使える評価法~

”肩関節周囲炎や投球肩障害の方が来院されたらどのような評価を実施していますか?” 屈曲可動域、1st・2nd・3rdの内外旋、腱板周囲筋の筋力、インピンジメントの有無など肩甲上腕関節の評価を実施することが多いと思います。 しかし、これらの評価は疼痛を誘発する可能性がある評価であり、私は最初から実施することあまりありません。また、肩甲上腕関節は影響する組織が多く、評価項目も多いため、やみくもに評価を実施することは患者の負担増加にも繋がります。 なので、私はまず肩甲上腕関節

肩峰下滑液包の解剖と役割 ~腱板の再生を促す?~

肩関節の疼痛の原因には多くの組織が関与します。その中でも、肩峰下滑液包(以下:SAB)は、疼痛を引き起こす主要な組織と考えられています。 SABが何らかの原因(インピンジメントや外傷)で損傷や炎症が生じると、疼痛を伴い、肩関節の可動域、特に屈曲・外転の制限に繋がることが多いです。 つまり、SABは肩関節の疼痛や可動域を考えるうえで重要な組織と考えることできます。そこで、今回の記事では、SABの解剖から肩関節の疼痛や運動に対してどのように寄与しているのかを考えていきたいと思

僧帽筋×肩甲骨 ~安定と運動の制御~

肩甲胸郭関節の安定性と運動をコントロールする筋肉として、僧帽筋と前鋸筋が挙げられます。両筋は強調して肩甲骨に作用するため、僧帽筋または前鋸筋の機能低下は肩甲骨の安定性と運動を変化させる可能性があります。 今回の記事では、僧帽筋に着目し、解剖学的な観点から僧帽筋の機能を考えていきたいと思います。 1.僧帽筋の解剖学僧帽筋は肩甲胸郭関節をコントロールする筋肉の中で最も表層に位置し、3つの部分に分けられます。3つの線維は協調して働きますが、それぞれの作用は異なります。 1-1

腱板修復術後に気を付ける点 ~運動と日常生活動作~

腱板断裂術後リハビリテーションの目標には、術部の安静を保ち、修復された腱にかかるストレスを最小限に抑えつつ、腱の最適な治癒を促す必要があります。 しかし、安静保持を長期間続けると術後合併症として「術部の癒着や周辺組織の短縮(硬さの上昇)」が生じます。これは、腱板修復術後に最も多い合併症と報告されています。 そのため、「術部の癒着や周辺組織の短縮」を予防する介入が必要になります。腱板修復術後のプロトコルにおいて、特定のエクササイズが推奨されていることはありませんが、術後早期

外側上顆炎と他部位の関係性 ~絶対に評価するべき3つの部位~

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腱板断裂すると肩は挙がらない? ~損傷部から考える予後~

肩関節には棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋といった、肩関節を支持する4つのインナーマッスルと呼ばれる筋肉が存在します。 これら4つは腱板筋群として扱われ、上腕骨頭を覆うように付着しています。腱板筋群は肩関節の安定や運動において非常に重要な役割があると考えられています。 これらの腱板筋群は若年の内は正常な構造や機能が保たれていますが、年齢を重ねるにつれて損傷、または断裂が生じることが知られています。 ここで少し、私の経験をお話しします。私はクリニックに勤務しているのですが