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あなたにもお臍がある

悲しいニュースを見るたびに思い出す
私の中でとても大切な本の一節がある。

あなたにもおへそがあるじゃない。
それって誰かがあなたを産んでくれた証拠よ。
十月十日、あなたがお母さんのお腹に入って
守られていた証拠じゃない。
お母さん、あなたのこと、
がんばってがんばって、痛いのも耐えて
産んだと思うわよ。

それに、まりあちゃんだって、
自分で生まれてきたんでしょう。
お母さんの狭い骨盤に自分の頭を
ぐいぐいねじ込んで、自分の意思で回転しながら、
必死になって生まれてきたはずよ。

つるかめ助産院/小川糸 より抜粋


毎日いろんな人に出会う、
いろんな感情の人と接するけど
どんなに攻撃的な人や高圧的な人に出会っても
この言葉を思い出してその人のお臍を思うと、
なんだか穏やかな気持ちになってしまう。

『あぁ、この人にも命懸けで産んだ母がいて
この人も一生懸命生まれてきたんだよな〜』と。

トリートメントでお客様の
お腹に触れていくとき、お臍を見て
じーんと来てしまう。


何にも考えずに、何も苦しまずに
何も感じずに生きている人なんていない。
みんな見せていない傷や苦しみがある。

そんなのわかることなのに
テレビやSNSの向こう側の世界は
まるで自分とは違うモノのように
錯覚してしまうんだろうか。
テレビゲームとかドラマとか
フィクションの世界のように思ってしまうのかな。

私の中にもそんな感覚が
どこかに転がっているんだろうか。
とても怖い。


だから私はいつもこの本の言葉を
大切に大切に、心に留めておこうと
悲しいニュースを見るたびに思う。


わたしにだって
あなたにだって
知らないあの人にだっておへそがある。


misaki

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