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『仏教の事典』を読む


仏教を知りたい

私は、物心ついた時から、お釈迦様の絵本や親鸞の絵本を読んだり、神社仏閣にお参りに行ったり、親族のお葬式に参列してよくわからないお経を一緒に唱えたり、いろんな仏像を見たりしてきたが、仏教とは何か、よくわからないままなんとなく近くにあるものと思っていた。
檀家ではないし、自分が仏教徒であるという自覚はない。そんな仏教と目の覚める出会いをしたのが、約10年前のこと。

そこから、仏教のことをもっと知りたい、勉強したいと心に願いながら、初期仏教の本を読んだり、禅宗の本を読んだり、真宗の本を読んだりしてきたが、それぞれの深みはそれぞれにおもしろく興味深いのだが、本当に同じ仏教なのか?と思うほどの違いがあったりして、初期仏教と大乗仏教のあまりの違いに、同じものと思うことはできなかったが、仏教を学べば学ぶほど原点に立ち返りたい気持ちになり、初期仏教に傾倒していきたくなるが、ふと自分自身の周りにあるお寺とか、阿弥陀様とかは一体なんなんだ、と思ったり、なんでお経は漢字だらけなんだ、とかそういった小さい疑問は無数に残ったままなのだった。インドから始まった仏教は、中国を経由してどうやって日本に入って今のような形になったのか、その全体像が知りたいという思いが日に日に強くなっていくのだった。
そんな思いを持ちながら勉強を続けていた時に出会ったのがこの本だった。

仏教を網羅した優しい教科書

この本の金額は、普段購入する本の価格帯に比べたら高い。内容も分厚く561ページもある。しかし内容がインドから中国、朝鮮、チベット、日本と伝わっていった内容が全部網羅されており、かつ、「仏教を知る(歴史)」、「仏教を考える(思想)」、「仏教を行う(実践)」、「仏教を旅する(地理)」、「仏教を味わう(文化)」の五つのジャンルに分けて各地域ごとに横断的にそれぞれの専門家が解説してくれる内容となっている。参加している専門家の人数は51人。そしてそれぞれが各解説に参考文献をつけてくれているので、興味のあるジャンルをさらに深掘りすることができる。

読了まで時間はかかったが、仏教を知りたいという思いがかなり叶えられた気がする。

どうよかったか

各論はそれぞれの専門家が書いているとはいえ、特定の宗派、国に偏っているわけではなく、横断的に書かれているので、禅宗のことを指して仏教と言っているわけではなく、初期仏教だけでなく大乗仏教にも言及があり、仏教の大きな広がりをテーマにしているところがよかった。特定の宗派にこだわりがある方は内容が広すぎるかもしれないが、そうではなく、仏教とは何か、ということをどんな内容があるのか、という気づきを与えてくれるので、私が知りたいと願っていた、仏教そのものの概説書たる内容だった。初学なので、ここからさらに深めたい場合は、面白かった内容の参考文献を読んでいけばより深まっていくと思う。その入口を提供してくれているのがとてもよかった。

一回だけでは捉えきれない内容がたくさんあったので、これを教科書として仏教の勉強に邁進していきたいと思う。

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