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アメリカ・ユタ州で最も影響力の華人新聞で、リンヤンのコラムが始めました

ユタ州唯一の中国語新聞『東方報』(半月刊)で、
私のコラムが連載ことになりました。

プレッシャーと不安と共に、良い励みとして取り込みます。
テーマは、主に私の「文武双学」の経験から、伝統武術と書道との共通と相違について、自分の心得を書いています。

2022年10月16日、リンヤンコラム一回目

 学书法,从“站立”开始
  書道を学ぶことは、「立つ」ことから始まる

 
     今期よりソルトレイクシティのみなさんと文武の交流ができることをとてもうれしく思います。
     わたしは、伝統武術尹氏八卦掌の継承者です。ソルトレイクシティで張浩波先生と知り合いました。それから、張先生はわたしを書画(しょが)の道へ導いてくださいました。現在、書道と武術に専念する生活を楽しんでおります。
 
    張先生から書道を学ぼうと思ったきっかけのは、張先生の「立つことから学ぶ」という教えが気に入ったからです。
 これは、わたしが八卦掌を学ぶときに体の使い方を学ぶのと同じ指導理念です。また、私自身が「一水空」メソッドを教授する際にも、まずは「立ち方」を教授します。
 「立つ」ことを学ぶことは、基礎を築くことです。建物の土台がしっかり作られれば、決して歪むことなく、その後も間違った方向に行くことはありません。しかし、この始めの一歩が見落とされがちです。
 
   わたしは、かつて「習字初心者は坐って練習し、ある程度できるようになってから、立って手首を机につけずに書く」、という進み方だと思っていました。しかし、張先生の指導方法は、「初心者は立って書くことから始める」というものでした。
 まずリラックスして、楽しむことからはじめます。それから、身体全体の力を使えるように心がけます。さらに、筆先に足の力を行かせます!ちょっと信じられないかもしれませんが、わたしの八卦掌の師匠も同じようなことを言っていました:「指先に力が出すために、足裏の力を使う」。
  立って書道をすることは、武術でしっかり立つということと基本は同じです。「身体をしっかり真ん中に立たせ、両足と肩を同じ幅に開く。肩と肘は沈め、呼吸を整える。身体と心はリラックスした状態を保つ。」
 (後から知ったことですが、張先生の啓もう者の馮鈡雲先生も武術家でした。)

  立って筆を運ばせます。この姿勢によって、身体の活動範囲が大きくなります。筆を持つのは、指先という小さい範囲ですが、立つ姿勢を整えたあと、全身の力を使えるようになります。これに比べ、座った姿勢で字を書くときは、腰、背中、足などすべてが固定された状態で、手先と腕の力のみを使用します。そのため、筆の動かせる範囲が狭まってしまいます。ペンを一本持って、「座って書く姿勢」と「立って書く姿勢」とで比べてみてください。どっちの姿勢がより気持ちよく書くことができるでしょうか。答えは一目瞭然だと思います。
 (わたしの経験だと、立って書くと気持ちはリラックスし、長時間書いても疲れませんでした。それに対して、座って書くと無意識のうちに身体が緊張しているのが感じられました。)
 
 浩波書道教室の最年長生徒さんは八十代の方、私たちは彼女を「薛老師」と呼んでいます。薛老師は、毎日1時間以上立って習字をします。薛老師は、「まるで太極拳をしているかのようで、書き終えたら、身体の中から熱くなり、汗をかいています。血行が良くなった気持ちがいい、一石二鳥だ!」とおっしゃっていました。
 子供クラスにも同じようにまず立つことを教えて、そのあと書き始めます。張先生は「筆を持つのは、お箸を持つのと同じ感覚で、おいしいものを探すようにしてね。筆を持つ手はリラックスさせ、身体全体を使いましょう」と子供たちに言います。子供たちが自由自在に筆を動かしているのを見て、私も羨ましくなります!
 この姿勢は、初心者にとっては少し難しいのですが、ある程度のトレーニングを熟したら、すぐに慣れるようになります。基礎がしっかり築いておけば、後の応用は簡単です。座って小さい文字を書くのも難しくありません。これもまさに、伝統武術のトレーニング方法と同じです。「身体の使い方を訓練することで、しっかりとした土台ができ、崩れることはありません。また、そこから難易度の高い応用までもっていくことができます。」
 
  現代人は、「足元はしっかりできていないのに、早く走ろうとしたり、高く飛ぼうとしたり、あるいはきれいに踊ろうとしたり」の傾向があると思います。今日はこれをしなきゃ、明日はあれをしなきゃ!こうしないと流行に乗り遅れてしまう!と目の前にあるきらきらしたものに惑わされています。そうしているうちに、何も達成できないままになってしまいます。
 中国の伝統武術の「しっかり立つ」という考え方は、昔の祖先が残してくれた大切な宝物です。簡単に「立つ」と言いますが、そこから学べるものは、身体の軸、リラックス、整える、土台をしっかりとさせる、心の中には天と地が備わっているなどです。ここで話したことはすべて人が生きるために必要なことをも教えてくれています。
 文武両道。毎日の繰り返し、鍛錬をすることで、私たちの生活をより楽しくしてくれることを祈っています。


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