見出し画像

電車通学で知った優しさ

高校生の頃、私は毎日片道1時間の電車通学をしていた。早起きが苦手な私にとってはこれが苦痛だった。私が乗る時間帯は通勤ラッシュの時間帯で、座れることはほぼ無かった。

学校の課題やテストが増えてきた頃、睡眠不足のせいか、体調を崩すことが多くなった。

ある時、電車の中でしんどくなったので、吊革を握って、しばらく目をつぶっていたら、いつの間にか倒れ込んでしまったことがあった。すぐに気づいて立ち上がったのだが、そばに座っていた人が咄嗟に「座りますか」と立ってくれた。

でも、申し訳なくて「ありがとうございます。でも大丈夫です」と断った。すると、側に立っていた人が「座らせてもらい」と声をかけてくれた。

お礼を言って座らせてもらった。

私は体調を崩すことが多く、電車内では特に「駅に着くまで降りれない」という恐怖からか、しんどくなることが多かった。ある時は、「鞄持っておいてあげるから、壁にもたれておきな」と言ってくれる方もいらっしゃった。

電車を降りて駆け込んだトイレで列ができていると、前に立っていた女性が、「学校でしょ。先行きな」と譲ってくれることもあった。

多くの人の優しさに助けられながら毎日電車通学をしていた。

毎日必死に学校に通っていた高校時代。今なら無理をしないという選択を取り、自分をもう少し上手くコントロールすることができると思う。それができないぐらい若くて一生懸命だった。

もし、いつか私のような高校生を見かけたら、私がしてもらったように、そっと手を差し伸べることができる大人になりたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?