墨田漢方研究所、訪問
2023/10/26
本日は、千葉大学墨田漢方研究所に来た。こちらの所長、勝野先生と意見交換をするためだ。
場所は千葉大学デザインリサーチインスティチュートの3階に位置する。押上駅から徒歩20分とやや遠いのが難点だが、よく整備された公園の中にこの施設はあるため、外観はかなり印象的だ。内装も露骨なコンクリートが秘密基地感を演出している。Playfulな空間となっている。
“It’s a small world!!”
という印象を受ける。墨田区の産業や文化も伝えている。
これはレーザーカッターかな?にしてはかなりの大きさがあるから、本当にどうやっているんだ!?
10/27から世界デザイン会議がこの会場で開かれるため、大忙し。
さて、こちらがお目当ての墨田漢方研究所。清潔感のあるシンプルなエントランスが素敵。
円柱のガラス瓶に本来の形と粉末になった生薬が入っているの、とてもわかりやすい。
細部に神が宿ると唸るぐらい、丁寧な内装。ガラス窓にも生薬のシルエットと和を感じさせる模様が貼ってある。
提灯を連想させる照明。もはや診療所というよりかはカフェに近いと思わせるほどの温かみを感じる。
和風な空間、とても落ち着く。イメージが従来のクリーンな病院から180度がらりと変わった。
一通り、診療所を見た後、ディスカッションに移った。勝野先生は私たちのアイデアを親身に受け取り、知っているかもしれないが「へぇ!とても勉強になります!」と何事にもポジティブな反応をしてくれた。新しいことに対してとても前向きに検討してくれた。こんな些細な仕草や言動で人は「この人と一緒にやっていきたい」と感じるのかと痛感した。
図鑑や実物を見せてもらいながら、様々なインプットに大変繋がった。実際にせんねん灸やもぐさを見せてくれたり、中国の漢方図鑑も紹介してくれたり、とてもわかりやすく説明してくれた。
東洋医学は中国発祥のため、中国では5年おきに以下のような整理された書籍を出している。
中国で東洋医学が発展している理由は発祥の地もあるが、毛沢東が東洋医学のシステムを整えた点が大きな影響を与えているとのこと。中国には西洋医学の医師ライセンスの他に中医学の医師ライセンスもある。韓国にもそのシステムは存在している。そのため、中国・韓国ではかなり発展しているそうだ。
日本では保険が適用されている漢方が294つある。墨田漢方研究所は自由診療のため、保険外の生薬も扱い、漢方として処方できる。大学病院となると保険内に収めるため、かなりの制限がかかってしまうとのこと。
中国では、質の高い医師に診断してもらいたいときは全額負担となる。日本では、医師がカルテを持っているが、中国では患者がカルテを持っているという仕組みの違いが存在する。
さらに、各種漢方薬の香りの体験、味見などもさせて頂き、仕入れの商社等の情報までオープンに教えてもらった。日本における生薬は、8割中国、1割日本、1割東南アジアという比率になるそうだ。生薬は誰でも購入可能なため、購入して自分で調合することも可能だ。
実際に様々な生薬を嗅いでみると、かなり強い香りを感じるものもあった。シナモン、ミカンの皮、ナツメあたりは甘かった。これらに加え、ハッカ、生姜や当帰などのセリ科、山椒、イソは日常でも使われるため、そこまで嫌悪感はない。しかし、一部は薬だと感じるほど匂いが独特の生薬も存在した。
漢方では煎じて飲む場合もある。煎じる場合、30分以上煮詰める必要がある。しかし、忙しい場合は、以下の機器を用いて、病院で代わりに煎じて、パックで提供するときもあるそうだ。
漢方では、色も大事にする。五行思想によるものだそうだ。さらに味もカテゴリー分けされている。
漢方の分野においては、香りに関する知見というものは現在時点では未知の部分が多いのではないかと感じた。と同時に自分たちで切り拓く余地も非常に大きいとも思った。
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