『わが友アンドレ』 我的朋友安德烈 中国映画 鑑賞記録
2024年11月3日 東京国際映画祭で鑑賞しました。本映画祭でワールドプレミア、コンペティション部門出品作品です。
鑑賞動機は、中国語作品の中でスケジュールを組合せたら時間がちょうどよかった(映画祭の作品選びは案外これに左右される)のと、リウ・ハオラン 刘昊然 主演だから(イケメン大事)。
友情がテーマという以外は予備知識ゼロで鑑賞しましたが、とても面白かったです!
では、早速~。
※ 基本的に映画のネタバレはしませんが、心配な方は鑑賞後にまた遊びに来てくださいね!
※ 本作は第37回東京国際映画祭でみごと最優秀芸術貢献賞を受賞しました!
董子健 監督 おめでとうございます(2024/11/07 追記)
初監督作
チケットを取ってから、監督があの『風起隴西』(郭刚 役)で印象に残るお芝居をされてた 董子健と知って驚く。友情がテーマの作品で、主演の 刘昊然とは長年の友人だという。しかも初監督作と聞けば俄然、興味が湧いてきた。
撮影は 遼寧省鞍山市。雪が降る寒々しい景色と、どこか寂しく不安感を誘うような色調の画面が続く。
刘昊然 演じる 李默(リー・モー)は父親急逝の知らせを受け、東北の郷里に帰省することになる。今の彼は安定した暮らしをしているが、子供時代はかなり悲惨な生活。中国東北部の工場で働く貧しい人々の悲哀が物語の背景にある。
機内で、長年疎遠になっていたかつての親友、董子健 演じる 安德烈(アンドレ)に出会う。
だが彼は、李默のことを覚えていないとはぐらかす。
”もう一人の李默” を知っているらしい 安德烈。無関係だといいつつも妙に現在の李默 に詳しい。
ロードムービーのように2人雪道をドライブする過程で、現在と過去が交錯し、お互いの認識の矛盾が次第に露わになってくる。それは脚本の上手さなのか原作通りなのか分からないが、徐々にあぁこの人は〇〇〇〇なのね、とこちらが理解できるように仕掛けられている。
タネ明かしされた後が、脚本と演出の腕の見せどころだ。だがそこは脚本も兼任している監督。テンポのよい演出や編集に、初監督とは思えない重厚感ある映像美を織り交ぜ、中だるみなく上手に終盤まで持っていってくれた。終始スクリーンに引き付けられる2時間だった。
刘昊然と董子健、李默と安德烈
登場人物は少ない。2人の親や学校の先生。ちらりとしか映らない人もいる。カメオ出演も数人、その中にはあのクセ強個性派俳優も! 姿はぼんやりとしか見えないが声はまさに。しかもとっても "らしい" 役柄だ。
現在の李默と安德烈は、俳優 刘昊然と 董子健のリアル仲のよさも生きて、よく馴染んでいた。
劇中では子役が演じるパートが相当多いが、少年 李默(迟兴楷 演)は 刘昊然の雰囲気を湛えていてとてもよかったし、少年 安德烈 (韩昊霖 演)の非常に魅力的なキャラを子役の個性で絶妙に演じていた。彼が演じたことで 安德烈という人物が生き生きと劇中に存在していたと思う。(どこかで見た子と思ったら『慶余年』の子供 范闲!芸歴も長くて、上手いわけだわ~)
その分、董子健の演じたパートは子供時代の奔放さや天真爛漫なところが感じられにくく、やや惜しい気がした。
友情、そして封印していた過去
李默に輪をかけて悲惨な生活を強いられている少年 安德烈。聡明で、自由奔放で、優しい。突き抜け過ぎていて人から理解されにくく、先生や親に辛い仕打ちを受けるが、ただ一人の理解者である李默とは心温まる友情を結ぶ。
成績で1番を取れたらシンガポールに留学できる。その1番を 李默に取らせるために協力する 安德烈。…大人の事情。そしてその後、李默は…
その一連の経過に向き合うことができないまま、現在に至っている 李默だったのだ…
果たして彼の心の中の雪は解けるのだろうか…
ひとつ疑問だったのは、李默の母と叔母の関係。二人が同一人物に見えたのはわたしの勘違い? 母親役の 殷桃がわたしは初めてで、冒頭に叔母が登場した時にビジュアルを認識できず… その後の説明でもよく分からなかった。是非もう一度観て解明したいところ。
今回一連の映画祭は観た作品にハズレがなかったので、もう「面白い」の感覚が相当マヒしてきてる気がする。観る度毎にこれが1番!を更新してたような。終盤に観てこれだけ没入できたのだから、かなりイケてる作品かと!
ぜひ公開されて劇場でまた観たい。
映画祭での鑑賞
本国でも公開前の作品は、評価が固まっておらず新鮮な気持ちで鑑賞できるのが、昨年同様いいなと思った。本作のようにワールドプレミアだと演者さん含め制作陣が来日してくださることが多いし、Q&Aで直接お話を伺えるのもありがたい。特に、現地に渡ったとしても会うのは難しいだろう明星に会えるなんて、お得でしかない!
ほぼ中国語映画しか観ていないが、他の作品に比べてチケットの売れ行きがよい気がする。というより瞬殺に近い勢いで席が埋まっていく。来日ゲストが登壇する回は尚更だが、それも当然だ。
ゲストに主演俳優登壇のQ&A付き上映は4本(うち1本は東南アジア作品)鑑賞したが、好きな俳優に会えて、映画の理解が深まり、大満足! 幸せである。
映画祭で鑑賞した中で、最初の noteをお届けしました。
他の作品も印象が薄れないうちに書いておきたいと思います。
ご興味あれば、また遊びに来てくださいね!
今日も拙い文章をお読みいただきありがとうございました。