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『次の被害者』 中国ドラマ 鑑賞記録

前回に続き台湾の作品です。(何度も恐縮ですが当noteでは中国語の作品という意味で中国ドラマと括らせていただいてます)
台湾作品は短いので大陸のドラマよりも観終わるのが早いんですよねー。

このドラマを観たキッカケは何よりもシーズン2があるということ! むふふ… 
既に撮影済みで現在ポスプロ過程、2024年に公開といわれています。
そして先日観た『模仿犯』と同じ制作会社の作品であることも動機のひとつ。
『模仿犯』は自分としてはどちらかといえば苦手な作品だったし、本作を観た方から口々に「無理して観なくてもシーズン2にはきっと支障ないから…」と言われ相当なグロさを覚悟してたので、さほどの衝撃はありませんでしたw よかった~! ご助言ありがとうございました。

とはいえ、グロいです。これでもかと出てきます(笑)それでも観るかどうか…。迷ってる方はとりあえずこれを読んでみるのもアリ、かもしれません。



邦題 次の被害者
原題 誰是被害者
英題 The Victims' Game
配信 2020年4月30日 Netflix
全8話
制作 瀚草影視

トップ画像 瀚草影視 instagram


とことんリアリティー追求

各話の最後に制作スタッフさんらのインタビュー映像が付いている。ビジュアルとしてのリアルを目指したと美術さんが語っていらした。
本当に、いや見たことはないけど、本当に本物っぽいアレ。しかも何度も出てくる(汗)まぁ直視はできなかったので、たぶんリアルなんだと思う。

主人公はアスペルガー症候群(netflix公式の記述による)の鑑識官 方毅任ファン・イーレン(演じるのは 張孝全ジョセフ・チャン)。
連続して起こる殺人事件の物証を当たる過程で、疎遠になっている実の娘 江曉孟ジャン・シャオモン李沐ムーン・リー演)が関与しているらしいことを突き止める。事件を追う記者 徐海茵シュー・ハイイン許瑋甯シュー・ウェイニン 演)と協力し合いながら謎の解明と娘の救出に挑む、というストーリーだ。

事件を追う内わかってきたのは、被害者全員が自殺願望を持っていたということ。絶望した落ち目の歌手、性同一性障害に悩む青年、かつて強要されて殺人を犯してしまった男、他…
連続した事件は しりとり のようにお互いの無念を晴らす形で連鎖しており、その裏にどうやらシャオモンが関わっているらしいのだ。
そのシャオモンは父親 ファン・イーレンとの別離に加え母親とも死別していて、その過程の中で心に深い傷を負ってしまっている。
そして記者のハイインも、実は幼少期のトラウマに悩んでいるのだった。


方毅任(張孝全 演)と 徐海茵(許瑋甯 演) 瀚草影視 instagram



気になるあの人

中盤までは一件一件、事件の詳細がリアルな映像と共に紡がれていく。
だけど気になるのはなかなか登場しないあの女優さん!『模仿犯』ではキャスター役として主役級。本作では「特別出演」となっている 林心如ルビー・リンだ。
いったいどんな役処なの?と興味を引かれに引かれているとやっと後半にご登場。病院で清掃や介護の仕事をしている 李雅鈞リー・ヤージュンだった。

彼女は全体の要を担うが、自身も一つの物語を持っている。
ほとんどノーメイクに近い容貌で、時折狂気のような真に迫った体当たり演技が素晴らしい。

林心如 演じる 李雅鈞 瀚草影視 instagram



3段階

この話は3つに分かれてる気がする。そんな解説やレビューを読んだことはないのだが。
最初のパートは事件の詳細部分。
後半 ヤージュンが登場すると、事件を見守るこちらの視点が変わったかのようにガラっと様相が一変する。
そして最終話。それまでの、ある意味おどろおどろしい世界が一転して優しく温かい空気が流れてくる。

上手くできている、と思った。
もしも最初の部分だけだったら、正直わたしは他人には勧められない。
好みにもよるだろうが、描写が微に入り細にわたって余りにもリアル。そこまで見せる必要性を個人的には感じなかった。想像の域を残す映像手法でもメッセージを伝えることは可能だと思うが、本作は別の考え方のようだ。

そして終始気になったのは登場人物らが、ここでもあそこでもスパスパ煙草を吸う。今時あまり見ないシーンにかなり違和感。台湾社会は欧米や日本よりも喫煙に対して寛容なのだろうか。

また、警察で指揮をとる課長はじめその他の人々に、愛とか優しさとかいったものが希薄。他人への配慮よりも自分の出世欲や名誉、時間など、人間のエゴばかりが目立って描かれる。誰もが自暴自棄になって光が見えない世界が展開する。

でも!!
最終話がある。
前に向かっていくメッセージがこめられていてホッとしたし、よかった!

振り返って考えれば、リアルでダークな映像も、人間味の希薄な人物群像も、この最終話を際立たせるための演出だったのかもしれない。

脚本家二人はとてもお若かった。監督もかなり? 各話最後のおまけ映像によって台湾エンタメ界はフレッシュな人材が豊富で、その方達が活躍する場があることが理解できた。

普通のドラマでは犯人を捜すが、本作は被害者を探す話だそう。
いろんな意味で斬新な作品であった。


 徐海茵 役の 許瑋甯、いい演技で素敵な役処でもあった
S2にも出演されるので楽しみ! 瀚草影視 instagram


 検視官(左)を演じる 馬念先は先日観た映画『僕と幽霊が家族になった件』にも出演されてた
中央の課長(王識賢ワン・シーシェン)もS2にご出演予定
瀚草影視 instagram


本作と同じプロダクション 瀚草影視制作のドラマ『模仿犯』についても書いているのでよかったら。




観ない選択もあったけれど、結果として観てよかった作品でした。
ただ、シーズン2はもう少しマイルドなテイストになることを祈るばかりです(笑)

お付き合いいただきありがとうございました!




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