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テニサーの元代表が、「組織」についてちょっと真面目に考えてみた

テニサーの代表は過酷だ。

これを聞いた皆様は「何を言っているんだ」と思うだろう。大概の人は、テニサー大学生をこんな風に思っているに違いない。

朝は12時まで寝て…

暇さえあれば飲んで…

彼氏彼女と遊んで…

単位を落とす。


ま、あながち間違ってはいないのが苦しいところだ。

だが、そんな生活をしている大学生の居場所になってるのが、テニサーである。そして、大学生活の大部分を占めるテニサーの活動が楽しいものかどうかは、彼ら彼女らにとって死活問題なのだ。
そのため、サークル運営のすべてを司るテニサーの代表は、日々サークル員の厳しいジャッジの目に晒されているのである。テニサーの代表が過酷な所以をお分かりいただけただろうか。

今回Schooアドベントカレンダーの15日目を担当させていただくにあたり、学生ならではでありながら皆様の学びになる記事を書きたいと考えた結果、「組織を率いる上で大切なこと」について書くことにした。たかだか一学生の持論だが、少しでも学びがあれば幸いだ。

*小休止
現役の代表にアドベントカレンダーのネタについて相談したところ、こんな答えが返ってきた。

なんかほっこりするので、この話も最後にちょこっとすることにしよう。

代表になるまで

僕は最近何かと世間様にご迷惑をおかけしている某私立大学の4年生だ。そして、同じ大学の学生のみで構成されるテニサーに所属している。自慢ではないが、そこそこ真面目にテニスにも勤しんでいる。(当たり前だが
高校の硬式テニス部の先輩がいるというだけの理由で入会した意識低い系テニサー民だったので役職に就くつもりなどさらさらなかったが、ある出来事をきっかけに代表に就くことを決意する。それは、同期の大量退会だった。
僕のサークルは会員が3学年で約100人、新歓期には90人近くの1年生が入会する。この特性からある程度はしょうがないのだが、僕の代も例年同様に同期が大量に退会してしまったのだ。その中には僕の非常に仲が良かった友人も含まれており、「ご縁があった人全員が楽しめるサークルを作りたい」という想いが生まれた。これが理由となり、自分の執行代時に代表に就任することとなる。

組織を率いる上で心がけていたこと

ここからは、自身の代表経験を元に、組織を率いる上で不可欠だと感じた要素について書いていこうと思う。

1.強いビジョン
組織を率いる者は、自らが理想だと考える組織像(ビジョン)を誰よりもはっきり思い描き、ビジョンの正しさを誰よりも信じねばならない。
「この人に協力しよう」と思ってもらえる求心力は、強いビジョンを持つ者にしか宿らないと僕は考えている。
大学2年生の頃にこんな話があった。新歓活動が終わり、新たな代が始まるというタイミングで、我がサークルの部室を作ることが決まった。そして僕は、その部室をサークル員が集う交流の場として機能させることが、僕の目指す「先輩後輩の壁なく皆が自由に楽しめるサークル」の実現のためにとても重要だと考えていた。しかし当初、あまり部室には人が集まらなかった。原因は、「部室行ってもどうせ誰もいないだろう」というイメージが定着してしまっていたことにあった。
そこで僕は、時間が許す限り部室に居座り、「少なくとも部室に行けばあいつがいる」状態を作り出した。それだけでなく、何度か部室に来てくれていた数人の同期に対して目指したいサークル像と部室定着の重要性を語り、一緒に協力して欲しいと口説いた。その結果、僕の説得がどれくらい効いたのかはさておき、「あいつ頑張ってるからいっちょ協力してやるか」と考えた(であろう)同期たちが定期的に部室に来てくれるようになったのだ。

強いビジョンは人を動かす、そう確信した出来事だった。

2.泥を被る覚悟

組織を率いる者は、権力を自分のために使ってはならない。むしろ、誰よりも泥をかぶるべきだ。
僕は、リーダーとして何よりも大切なのが、組織の構成員から「あの人は誰よりも組織のことを考えている」という信頼を得ることだと考えている。そんな風に構成員から思ってもらうためには、誰よりも泥を被る覚悟が何よりも大切だ。
僕のいたテニサーの例で考えてみよう。僕のサークルでは、代表が合宿のクラス分けや練習日程など、サークルに関するすべての事柄について決める権力を持っていた。この状況で代表が「この子と仲良くなりたいから俺をこのクラスにしよう!あ、バイトの都合があるから合宿はこの日程にしよう」のように、権力を自分のために使ったらどうなるだろう。おそらく、サークル員の代表への信頼は一瞬で崩れ去り、二度と代表のお願いなんか聞いてくれなくなるはずだ。そうなることを避けるためにも、ただの一瞬でも権力を自分のために使ってはならない。むしろ、皆が嫌がる仕事こそ自発的に取り組み、「あの人が自分のために権力を使うはずがない」という信頼を築かなければいけないのだ。

これが、組織を率いる者が誰よりも泥をかぶるべきだと考える理由である。

3.支えてくれている幹部へのリスペクト

組織を率いる者は、支えてくれている幹部へのリスペクトを決して忘れてはならない。自分が組織を率いることが出来ているのは、自分がすごいのではなく、幹部の献身的なサポートがあるからなのだ。これは、僕が大学生活で最も後悔している出来事から学んだ教訓でもある。
僕のサークルには女子代表がいた。人の些細な機微を感じ取るのがとても上手な優秀な女性だ。代表という仕事はお世辞にもきれいな仕事だけではないため、僕ら2人は正式に代表に就任する前から地道な仕事を一緒にこなしていた。同期の中でも同じ苦しみを知る唯一の存在だった。
そんな彼女が、体調不良を理由に春合宿の前半を欠席したいと申し出てきた。最初は全く信じて疑わなかったが、数か月前あたりから体調不良を理由にサークルへの出席率が下がっていたように感じていたため、段々と責任感が足りないという感情を抱くようになった。そして僕は、女子代表が復帰してきた春合宿後半に彼女に女子代表としての仕事を振らなかっただけでなく、あろうことか合宿終了後にLINEで叱責してしまったのだ。それだけではなく、自分の完全な思い込みで、責任感の足りない彼女のせいで何人かの同期が辞めようかと悩んでいるという話を投げつけてしまった。
僕からの叱責を受けて、彼女がどれだけショックを受けたかは想像に難くないだろう。当然だろう、一緒に仕事をしてきたパートナーに裏切られ、挙句の果てにいわれのない罪まで着せられたのだから。
それ以来、彼女と一緒に仕事をすることはほとんどなくなった。そして僕は、失ってみてはじめて彼女の存在の大きさを痛感したのだ。彼女のサークル全体の流れを読んだ的確な提案やスケジュール管理、気合の入ったOB対応などに自分がどれだけ助けられていたのかを。
この苦い経験から、幹部へのリスペクトの大切さを痛感した。リーダーは決して自分の力に酔ってはいけない。自分が挙げたように見えるその成果は、幹部のサポートがなければ決してなし得なかったものだから。

最後に

ここまで偉そうに語ってきたが、自分が代表として100点満点だったとはとても思えない。最も大切にすべき、企業で言えば共同経営者みたいな存在の女子代表とは完全に決裂してしまった。しかし、その苦すぎる経験が今の自分のリーダー観に大きく影響を与えている。

最後にひとつ、印象に残ったツイートを紹介しよう。

僕は起業家なんて大層なもんではなくただのしがないテニサーの代表だが、この言葉はすごく刺さった。女子代表と決裂して以降、「もう誰かを傷つけたくない」という気持ちが先走り、自分の意思決定の際の判断基準が揺らいでしまっているのだ。
ただ、自分の目指していたサークルは作れたと思う。先輩後輩の距離が近く、一人一人が生き生きとサークルを楽しんでくれている。代表として、リーダーとして、これは一つ大きな成功体験となった。
大きな組織問題から得た教訓と、成功体験から得た自信を糧に、今後も「組織」に向き合い続けようと思う。そしていつか、世界一の組織を作って、世界中をあっと言わせてやろう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


*小ネタ
僕がサンタさんを信じていた頃の話をしよう。
結論から言うと、僕は小学校6年生までサンタさんの存在を信じていた。理由は、滅多に嘘をつかない僕の母が「小学校の頃ね、玄関出たらサンタさんが空を飛んでたんだよ。本当にびっくりしたの!」という話を大真面目にしていたからだ。
そんな僕がどうやってサンタさんの正体を知ったのかというと、小3の弟が教えてくれたのだ。
「兄貴俺気づいちゃった。サンタさんって、お父さんとお母さんだったんだよ」


僕はまだ、この時を超える衝撃を受けたことがない。


<この記事はSchooアドベントカレンダー15日目の記事として書かれたものです>

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