bossston cruizing mania・カシマエスヒロが語る、欅坂46【後編】

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bossston cruizing maniaのフロントマンで、ライブハウス「秋葉原CLUB GOODMAN」のブッキングを務めるカシマエスヒロが語る「欅坂46 後編」。今回は平手友梨奈について、長濱ねるについて、今後の欅坂46への期待についてなどトークしてもらった。

前編はコチラ:https://note.com/yhinakayama/n/na4ac9e59864d

カシマエスヒロ
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■bossston cruizing mania「Number」

てち特融の間に圧倒される

2020年1月23日、平手友梨奈は欅坂46から脱退した。デビュー曲「サイレントマジョリティー」でセンターを務めて以降、グループがリリースした8曲すべてのシングル表題曲でセンターポジションを務めてきた絶対的エースの突然の発表だったーー。

--あの日、僕は友人とお酒を飲む約束をしていたんですが、脱退の速報が流れてきた後に合流したので、本当に気もそぞろというか、どこか信じられない気持ちでした。

カシマさん:俺は欅坂46=平手友梨奈ではないと思ってきたけど、てち(平手友梨奈の愛称)が脱退を発表した時、やっぱりてちに期待している部分がすごく大きかったことを実感した。

--ものすごいモノを見せてもらってましたよね。

カシマさん:てちのすごさって、ちょっとした仕草だったり間(ま)に現れていると思っていて。「二人セゾン」ってソロダンスがすごくかっこいいけど(MV 3:28頃参照)、その一方で曲の序盤ブレイクの時にものすごくかわいいポーズを一瞬とるの。その両方を1曲の中でひとりの人間が表現して、違和感がないのが凄いというか。それって歌詞に直接は書かれていないニュアンスの部分で、それがてち特融の間みたいなもので表現出来ちゃってるのに圧倒されるんだよね。

■欅坂46「二人セゾン」

--そうですね。「黒い羊」のMVの表情、走り出す瞬間のひとつひとつにも、頭抜けた表現力を感じました。

カシマさん:これは憶測なんだけど、てちが欅坂46をとても好きだったことがグループにとってネックとなった部分があるんじゃないかなと思っているんだよね。

--というのは?

カシマさん:もっと早くグループを離れていてもおかしくはなかった時期もあったじゃん。でも、てちは欅坂46として表現がしたかった。脱退が発表された時にあれだけの衝撃が走ったのは、ファンの間でもそういう思いが共有されていたからで、その“まさか”があの日突然起きてしまったから、みんなあんなに騒いだんじゃないかな? 「とうとうこの日が来たか」みたいな。

すべてを物語る一言だと思った

--脱退を発表した同日の「SCHOOL OF LOCK!」(Tokyo FM)、僕は「radiko」のタイムフリーで聞きました。

カシマさん:あの時、平手友梨奈の“言葉にならないニュアンスの表現”って本当にものすごいって思った。番組では「黒い羊」が流れた後にちょっとした沈黙があって、「んー……」って何かを言いたそうなんだけど、言葉にならない間があったの。で、少し経った後に「はい…というわけで、私とは来月この教室でまた明るくお会いましょう。平手友梨奈でした」とリスナーに告げる。その時、ちょっと初期の頃の無邪気なキーというか、最後の一瞬トーンが高くなったんだよね。そこがめちゃくちゃグッときた。天然でやっていることだと思うんだけど、普通あのニュアンスは怖くて出せないよね…。すべてを物語る一言だと思ったし、てちのボーカリストとしての魅力がどこにあるかって聞かれたら、たぶん、ああいう間なんだと思う。

--普段から、ラジオの声のトーンも間も見事でしたしね。東京ドームday2の最後に「角を曲がる」をパフォーマンスしたんですけど、曲が終わった後の表情も本当に素晴らしくて。ただただ胸が熱くなったのですが、今思うと、あれは全てを出し切ったからこその表情だったというか…。

■欅坂46「角を曲がる」

カシマさん:でもさ、例えばバンドでも、曲を作っていた中心メンバーが抜けるとする。そこで、他のメンバーたちでバンド活動を続ける道を選んだ時、「このバンドのこの部分ってこの人によるものだったんだ」って後になってわかったりすることもある。それと、同じ事が、今後の欅坂46にも起こると思うんだよね。初期は21人のあの体制が絶対で、それにより縛られていた部分があって、だからこそグループ活動が難しくなってしまったという側面もあると思う。その縛りがなくなった分、間口も広がったし、これからまたおもしろくなるんじゃないかなって。てちはてちで、また予想を超えてくるソロ活動をしてくれるような期待感もあるよね。

実はあの子が1番パンクだったのかもしれない

--長濱ねるが卒業したことも、グループにとって大きかったと思います。

カシマさん:そうだね。てちはものすごいカリスマ性の持ち主だけど、一方のねるには秀でたタレント性があった。

--まさに、そう思います。

■欅坂46「また会ってください」

カシマさん:実際の内部事情はもちろん解らないけれど、その2人が同じグループにいることで、ぎりぎりバランスが取れていたんじゃないかな。The Beatlesだってそうじゃん。ジョン・レノンとポール・マッカートニーというものすごい才能の2人がバンドにいた。ねるは頭がよくて、てちは天才気質。そこがポールとジョンの関係に近いというか。でも、てちもねるもいかんせん若いし、バランスを保つのが難しかったのかな。凄いグループには凄いふたりが同時に存在するものだけど、そういうのって得てして短命でもあるよね。

--なるほど。

カシマさん:でもさ、ねるのすごい所が、写真集もあれだけ売れた大人気のメンバーだったにも関わらず卒業後は一切メディアに出ていないことだよね。そもそもねるは、彼女のためだけに「けやき坂46」(日向坂46の前身グループ)というグループまで作られた逸材で、アイドルを卒業しても、タレントとして十分やっていける華もある……それなのに、その後一切メディアに出てきていないストイックさがすごいよね。今となっては、もしかしたら実はあの子が1番パンクだったのかもしれないなと思う。ねるは多分、てちの才能がすごいことをわかった上であえてそこに憧れを持たなかったんじゃないかな。そこに嫉妬せず、「私とは違う」ってことをしっかり持ちながら活動していたように思う。

新しい欅坂46の形

--新しい欅坂46をどう打ち出してくるのかも、すごく楽しみです。ある程度、変化せざるを得ない部分もあると思うし、期待に胸が膨らみます。

カシマさん:そうだよね。てちが脱退して欅坂46も変化の時期に入ると思うけど、そこで、誰がどんな個性を出してくるのかっていうのは、とても興味深いよね。これまでに築いてきたものも当然残るわけだし、小林由依も渡邉理佐もいる。彼女たちが覚醒する可能性だってあるし。

■欅坂46「語るなら未来を…」

--2期生は明るい子も多いし、グループの表現の幅がより広がりそうですよね。

カシマさん:欅らしい雰囲気を持つ藤吉夏鈴、一方でこれまでの欅坂46にはいなかったタイプのムードメーカーの松田里奈もいるし、東京ドームでねるの代わりに「僕は嫌だ!」と叫んだ田村保乃のパフォーマンスも良かったし、楽しみだよね。そんな風に、どんどん良い面がこれから必ず現れてくると思う。なにより彼女たちはCDのリリース経験がないわけだし、まさしくこれからの人材だよね。

--カシマさんが、1番注目しているメンバーって誰です?

カシマさん:個人的には(山崎)天ちゃんの成長が楽しみ。我が道を行く雰囲気を感じるし、天ちゃんのキャラクターだったら新しい欅坂46の形を示せるんじゃないかなと思うんだよね。

※山崎天の崎はたつさきが正式表記。

写真:中山洋平

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