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一般人が都内の一軒家を借りてサウナを作った話


わたしは2016年からサウナの魅力にハマったサウナ愛好家のYGQです。普段は音楽や映像を作る仕事をしてます。

サウナのある生活になってからは、サウナのカルチャートークイベント「サウナイト」を主催したり、サウナをテーマにしたYAMAHAのバイクのCM監督をさせてもらったり、マグ万平さんのサウナ音頭の楽曲とMVを作らせてもらったり、色々なサウナイベントや企画に関わらせてもらったりと、公私ともにサウナのない生活が想像つかなくなるくらいにサウナに救われてきたのですが、サウナ好きが高まって昨年家庭用サウナを仕事場に作りました。

その時のお話はコチラ↓

自粛生活の中、外に出ずサウナに自由に入れてセルフロウリュもできるという、サウナ愛好家にとって理想のサウナライフを送っていたのですが、人間というのは欲深いもので、さらなる理想が浮かんできました。

現状の問題点

①水風呂に入りたい

いまのサウナが置いてある事務所がシャワーしかなくて水風呂に入れず、Amazonで7,000円くらいで買った折りたたみ浴槽みたいなのを駆使して入ってたんですが、しかしながら夏場は水道水もぬるいし狭いのでちょっと物足りない感はありました。

②外気浴したい

バルコニーがないため室内でしか休憩できず、自然の風や音を感じることができませんでした。

③みんなで入りたい

2人入るとギッチリという感じだったので、もう少し密にならずに仲間数人で入れたら最高だよな〜なんて思いました。

④サウナに集中したい

建物内は仕事道具がたくさんあるので、ととのっている時もどこか「あ〜明日もあの作業しなきゃだったな〜」なんて事がよぎり、ととのいタイムから現実に引き戻される事もしばしばでした。


「サウナあるのに文句ばっかりなんなんだよ!」という事は100も承知なのですが、マイサウナに入りつつ施設サウナにも通っていると、今まで通ってた施設は有名になって軒並み混雑、予約制ソロサウナに行くとどうしてもシャワーだけなので水風呂に入りたくなる、大自然サウナは最高だけど遠いのでなかなか日常的には行けない、というジレンマもあったりしました。

そこで考えたのが「都内にサウナに入るだけの場所を作って、水風呂にも入れて、外気浴スペースも作れば全部解決するのではないか。」という結論でした。もちろんいま考えてもその通りだと思うのですが、自分が不動産王仮想通貨億り人とかだったらなんの躊躇もなく全然すぐ作るんですが、残念ながら普通の一般人ですので、金銭面ではなかなかハードルの高い話ではありました。

物件申し込み

そんな不安な気持ちとは裏腹に、もともと物件サイトを見るのが趣味ということもあり、気がついたら毎日不動産サイトを漁ってはサウナにピッタリな物件を探して妄想し続けていました。「見てるだけだからね」と自分に言い聞かせつつも、サウナ導線がバッチリ、外気浴できるバルコニーあり、家具も一式全部ついて駐車場付き、家賃は相場からしたらそこまででもない、、これ運命じゃん!という物件と巡り合い、気がついたら翌日の朝一で不動産屋に電話してその日の昼に内見して、その夜に申し込みが完了してました。(自分はこういうテンション高い目的の時だけ異常な行動力を出す悪癖があります。)

「申し込んじゃったけどいろいろ大丈夫かな〜...」と思いつつ、審査も通ってトントン拍子に話が進んでいきます。自分で決めた事だけど何も見えなすぎてちょっと怖い。。しかも今年は厄年だから新しい事は始めちゃダメらしい。正式に契約を済ませて契約金を全て振り込んだ後、イヤな予感は当たり一回目の不幸が起きます。


トラブルその1

これはサウナと全く関係ないんですが、納車一ヶ月で車が水没してしまいます。水没と言っても災害とかじゃなくて不注意でサンルーフを閉め忘れたまま駐車してしまい、気づかず翌日どしゃぶりになって、気がついた時にはあとの祭りで不動車となってしまいました...

そのままレッカーで工場へ運ばれていき、フタを開けてみたら電気系統の修理とシート全交換で修理費200万という一瞬の不注意の代償にはあまりに大きすぎる痛手となりました...おおお、これじゃサウナ作るどころじゃないよ....これはもう完全に終わった...しかも物件は借りちゃってるし...

ってなっていたら、なんとたまたま先月に自動車保険を高いやつに入り直していて、全額車両保険で下りることになりました。マジか!!!奇跡!!

そんな事件も挟みつつ、サウナ作りを再開できることになります。

サウナ制作開始

サウナ作りはまた前回と同じく、サウナ作りでは絶対的な信頼を寄せているフィンランドサウナジャパンさんに相談に行きました。(ウェルビーさんやサウナラボさんをはじめ、さまざまな名施設を手掛けられてるプロフェッショナルなメーカーさんです)

http://www.fsj-ms.com/fsj/index.html


前回作っていただいたサウナを参考に、より快適さを求めたサイズ感、ストーブのパワーアップ、照明を間接照明にするなど、1年間のホームサウナ生活で得た知見をもとに松井社長に理想のサウナを相談しました。

細かなこだわりやわがまままで快く聞いていただき、サウナ作りがスタート。しかし世の中情勢の影響もあり、サウナのオーダーが大変混み合っているそうで、けっこう納期がかかってしまいそうとの事。。


とりあえずサウナを置く場所のイメージしてみる

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こんな感じで床に養生テープを貼って、サウナを想像してそこに座ったり寝たりしました。「フフ、2段目で寝ながらロウリュすると熱気が気持ちいいな〜」

2Fのダイニングはこんな感じ(画質わるい)

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家賃だけ払い続ける不毛と思える日々が数ヶ月続き、(ホントになんも使ってなかった)ようやくサウナ工事の日が近づいてきた頃、思いもよらぬトラブルが起きます。


トラブルその2

サウナに必要な電源工事、これを甘くみてました。管理会社に許可を取り、電気工事業者さんに「200V3相 40アンペア」の電源を入れたいと電話で伝えると、意外とあっさり数日後にすぐ工事しますよ〜との返事。費用は4〜5万くらいとのこと。なんだ、よかったとこの時はまだ安心してました。

そして、サウナ搬入前日に来てもらって改めて説明すると...

電気業者「え!?単相じゃなくて三相なの?それだったらいまから東京電力に申請しなきゃだから2ヶ月はかかかっちゃうよ〜。今日は無理!無理無理!!」

電話口でしか説明してなかったので、どうやら私の滑舌が悪かったせいか「三相(さんそう)」「単相(たんそう)」を聞き間違えていたようでした。三相というのはいわゆる業務用の電源で、店舗用の大型冷蔵庫とか、工場用の電源とか、そういう用途に使うらしく、まさかこんな住宅街に「三相」の電源を引くなんて思っていなかったようです。

え!??明日サウナ工事なんですが!!!!!それはちょっと困る!!!

押し問答しても、もはや物理的にどうにもならないっぽいです。

また家賃だけ払い続ける日が続くの!?地獄なんだが!!

とりあえず電源工事が間に合わない趣旨をフィンランドサウナジャパンさんに伝え、それ以外の工事を予定通りやっていただくことに。

サウナ工事

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手際よく搬入される資材

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どんどんサウナが組み上がっていきます。ありがてえよ〜!

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おお〜、どんどんサウナ室ができていく。

全てヒノキ材で作っていただいたので木の香りがすでにめちゃくちゃいい!そろそろサウナストーブを搬入する頃かなと思い、外に様子を見に行くと...

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ん!?このストーブ、打ち合わせと全然違うやつじゃん!!!
というかデカい!めちゃくちゃデカい!!

後日談で、「ちょっとサービスしておきました」みたいな感じだったんですが、松屋のライス大盛りサービスみたいなノリでサウナストーブがいきなりデカくなってることなんてあります??

...そんな動揺を隠せないまま工事が続いて、ついにサウナ完成!

やった〜!!!

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「ととのった〜!!!」と言いたいところですが、電源入ってないのでなんも温まらないです。

でも嬉しくで2時間くらいここに座ってました。横になって寝れるくらいのワイドです。

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サウナ完成

そして時は経ち、一ヶ月少し過ぎたところでようやく電気工事。近くの電線に三相電源が来ていなかったので、工事は予想以上におおがかりなものに。

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なんかパイプ類がとてつもなく太いです。これが業務用...

そして電気工事費も予想以上にかかってしまい、前回のサウナの時は3万円くらいだったのに今回は想定外の27万円!マジか〜....痛い出費...

そのおかげもありようやくサウナに火が入りました。電気がついてるしサウナもちゃんとあたたかいよ...心まであたたかい...

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ロウリュしても全然ストーブが負けない強さ

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そしてサウナ完成記念に、タナカカツキ先生にわざわざ除幕式までやっていただきました。お忙しいはずなのにありがたい...

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水風呂チラー工事

サウナ室はこれでひとまず完成したのですが、水風呂と外気浴、その他がまだ終わってません。

現状はただの浴室

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夏場なので、水温27度!これはチラーを入れないことには話になりません!しかしチラーといえば500万かかるとか1,000万かかるとか、そういう業務用のウワサは耳にしますが、それはさすがに無理なので、もっとお手軽かつそこまで時間をかけずに14度まで冷やしたいということを目標に設定しました。

チラーに関して色々調べても全然出てこないし、家庭用サウナを入れてる方に水風呂環境を聞いても、ほとんどがそのまま入っているか、製氷機で作った氷を入れてるという2パターン。

そう思って試しにコンビニに行って大量の氷を買い込み、水風呂に入れてみました。

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こいつを10袋(2,000円相当)買って水風呂にぶち込みました。(なんか冷たそうな気がする)

氷が馴染んだころに水風呂に入ってみると、

「あっ、つめっ、つめた、、いや、そんなに変わってないぞ。。」

200Lの水量に対して10Lの氷は焼け石に水でした。ここでまた一つ決断することになります。

「やはりチラーを入れよう」

ここからはもう未知の領域で、いろいろネットで調べても全然情報もないです。それでも色々調べていくうちにこのような事がわかりました。

「水族館などで使う大型水槽用チラー」「そばやうどんを冷やす食品用チラー」「化学実験用のチラー」がこの世の中に流通してるっぽいです。

どれも水を冷やすという役割では一緒な気もしますが、畑が全く違うし、どれがよいのか検討つかない。でも水槽用だったら水を循環させるし濾過フィルターもつけてるだろうから、きっと水槽用がいい気がする!という根拠のないロジックをもとに、水槽用チラーメーカーのゼンスイさんに問い合わせをしたところ、非常に親身に話を聞いてくれました。

どれくらいの時間で冷やしたいか、濾過はどれくらい必要かなどを相談しながら、自社製品でないものの選定も含めて一緒に考えてくれました。

チラー単体だけでは水を吸い上げる事ができなく、自給式ポンプというものが必要で、これもチラーだけ強力でもポンプが非力だとなかなか冷えなかったりで、組み合わせのバランスも重要ということを知りました。

工事費も含めて全部で数十万程度と、実に現実的なお値段です。

そしてチラー工事当日

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チラー本体はエアコン室外機のような感じで、浴室の隣がバルコニーだったのでチラーを設置するにはピッタリの条件でした。

そしてチラーの設置が完了!

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あれ?そんなに冷たくない?と思ったら、一気に冷えた水が出てくるのではなく、水を循環させて少しずつ水温を下げていくような感じでした。

真夏日に水温の推移を計測してみると

スタート  25.8℃
1時間後 20.2℃
2時間後 15.8℃
3時間後 12.5℃
4時間後 10.2℃

だいたい2時間ちょいあると、希望の14℃まで冷え切る感じですね。真夏でこれくらいなので、もう少し気温が下がってくると14℃までの時間は短くなりそうです。

セルフロウリュのサウナに入って、14℃の水風呂...もはや完成といってよいのではと思うくらい最高のととのいです。濾過フィルターも入れているので、細かいゴミや髪の毛などもキレイにしてくれて、やっぱりチラー入れてよかった!

外気浴スペース工事

殺風景なベランダ...

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殺風景なのはいいんですが、近隣からまる見えになってしまうので、半裸でととのうのもためらってしまいます。

良い感じの目隠しをつけたいけど、色々と予想以上に費用がかかってしまったのでどうしようかと悩んだ結果、、


気がついたらホームセンターにいました。


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なんとかなるような気がして、とりあえず木材を大量に買い込み、お店の軽トラを借りて一人で大量の資材を搬入しました。

ちなみにDIYなんて全くやったことないです

これ地味に大変なのが、屋外で木材がカビないように全部の木材に塗料をぬらなくてはいけなく、ひらすら駐車場で塗ってたんですが、真夏の屋外なのでめちゃくちゃ暑いし、塗料はシンナー臭いし、O型なので蚊にさされまくるし激萎えです...。これだけで二日間はかかりました。

塗料が乾いた後、電動ドライバーでネジを打ち込み、コツコツと組み立てていきます。

だんだんできてきた。

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途中で小雨が降ったけど、めげずに作業

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結局、塗装から組み立てまで全部で一週間くらいかけてついに完成!!
仕上げにヴィヒタをかざったりして、気分を上げます

のちにすぐ枯れることになるヴィヒタ

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DIY未経験者の私が心折れずに、最後までやりきれた自分なりのコツをお伝えすると、

①木材カットは全てホームセンターでやってもらう、自分では切らない

②電動ドライバーは安いヤツでケチらず、ちゃんとパワーのあるコードレスを使うべし

③細かいミスは気にしない

この3つに限ります、たぶん!!


さらなるサウナを求めて

サウナ、水風呂、外気浴、ひととおり完成しましが、私がサウナ施設で好きな要素がそれ以外にもたくさんあります。

荷物を安心して預けれるロッカー、着心地のよい館内着、テレビを流しながらダラダラ漫画を読めるリクライニングチェア、業務用マッサージチェアのあんま王、イオンウォーターの入ったショーケース、食堂の美味しい料理とお酒。上げたらキリがないですが、ただオシャレな建物ではなく、サウナ施設のおもてなしとも言えるこれらの要素もなるべく入れたいと思いました。



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そうそうこんな感じでね

施設が好き過ぎて、気がついたらこれらも導入してしまいました!!


最後に

そしてこの施設の名前を「混まないサウナ」という意味を込めて

「COMANAI SAUNA」と名付けました。

(のちほどサウナの撮影で、サウニョンやサウナゴールなどの候補もいただきましたが...採用しなくてすみません!)

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まだまだやりたいことはたくさんあるのですが、またいろいろお知らせしていきたいと思うので、よかったらTwitterアカウントチェックしてみてください! @comanai_sauna

長文読んでいただきありがとうございました!こんなサウナの形もあるのかと思ってもらえたり、プライベートサウナを作りたい方の参考に少しでもなったらうれしいです!



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