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「申し込む準備をしよう」編|■高卒認定■の取りかた

この『■高卒認定■の取りかた』ノートは
「申し込む準備をしよう」編です。
(5)試験の日を確認する
(6)申込書のもらい方
(7)必要な書類・キホン
(8)必要な書類・免除科目


ここからは受験の準備について、ちょっと具体的に考えてみましょう。

ステップ:05
試験の日を確認する

 う〜ん、不便ですね。テストは年2回だけです。スケジュールは高認のホームページで確認できます。
 たとえば今年(2018年)のスケジュール。

■ 1回目
・試験の案内と申込書をもらえる期間:4月4日〜
・「受けます!」って出願できる期間:4月20日〜5月9日
試験が受けられる日:8月2日(木)・3日(金)
■ 2回目
・試験の案内と申込書をもらえる期間:7月20日〜
・「受けます!」って出願できる期間:8月30日〜9月13日
試験が受けられる日:11月10日(土)・11日(日)

 たとえば今年度1回目の8月の試験を受けるためには5月9日までに申し込まなきゃいけません。だけど8月のシフトなんてまだ分からない。受験料は4500円〜8500円(受けるテストの数によります)。バイトが休めなくて行けなかったら、受験料は1円も返ってきません。申し込むのこわい。だけど5月には絶対決断しなきゃ8月のテストを受けられません。申し込むのこわい。
 おまけに平日なので、土日しか休めない人はこの時点でチャンスがなくなります。不便〜!!!
 逆に11月の2回目は土日です。土日は絶対に出てくれっていうバイト先だったら11月の試験は受けられないですよね。

 高認のチャンスが年2回あるのは、曜日関係なく休める人だけ。ということになります。曜日関係なく休める職場は曜日関係なく仕事がある職場だったりするので、裏を返せばそういう人はチャンスが年0回になる可能性もありますが…。
 時間もお金もないから高校をあきらめて働いてる人もたくさん居るっていうのに、この仕組みにはビックリしました…。

 仕事が忙しい人は「本番までどのくらい勉強時間を取れるか」を考えて何教科受けるか考えましょう。せっかく高い受験料を払って全教科受けても、勉強しないなら落ちてしまうかもしれません。
 マークシート式なので死ぬほど運のいい人ならほとんどのマークが当たって合格点を取る場合もあります!(…が、高認のマークを全部当てるほどの運があるならロト7でも買いましょう。数字を7つ選んで当たれば6億円です。高認を当てるなら100個以上の数字が合ってないといけないので。)
「さっさと全教科合格して高卒とっちゃいたい!」という気持ちは当たり前ですが、受けるなら時間とお財布と相談して、テスト勉強が間に合う回に、ムリしない科目数で申し込むのがいいですね。
時間とお金に余裕があるなら毎回全科目受けるのが最短コースです。)


ステップ:06
申込書のもらい方

 申込書(願書)、どこでもらえんの?って感じですよね。これもまた大して宣伝してないから分かりにくい。
 高認のホームページの「出願方法」のところに、「受験案内の入手方法」っていうのがあります。そこには、

文部科学省、各都道府県教育委員会及び各都道府県の配布場所で配布します。 都道府県によっては各市町村で配布している場合もありますので、各都道府県教育委員会にお問合せください。

…と書かれています。
 も〜、何から何まで不便だな高認。コンビニのコピー機で出力できるようにしてくれよ!!

 近所に教育事務所みたいな場所があればいいですが、お役所なので自分が働いている時間と役所の開庁時間が似てると仕事あがりに行ってもとっくに窓口が閉まってたりします。
 もらいに行けない場合は、《テレメール》という資料請求サービスを使いましょう。配布開始日より前に予約を受け付けてくれて、配布開始日になると送ってくれます。
 有料なんですが、215円+支払い手数料で出費は300円前後です。窓口に行くより楽だと思います。一緒にコンビニとかでお金を払う紙が同封されてるので、願書の請求にクレジットカードは必要ありません。

 ただし予約できるのは配布開始のちょっと前。
第1回用は3月頃、第2回用は6月頃の受け付け開始だと思うので、これを忘れてウッカリしてると出願ができなくなってしまいます。来年の第1回(まだ発表になっていないですが、多分4月に申込書の配布開始?)を受けたいなら、忘れないように今のうちからスマホのカレンダーに「高認のパンフ請求忘れずに!」みたいなスケジュールをセットしておきましょう。3月末頃にスマホのアラームがやかましく鳴るようにしておけば、その頃にはテレメールで申込書を請求できるようになっている頃だと思います。


ステップ:07
必要な書類(キホン)

 ここでは、あわてないためにザックリ何をしなきゃいけないか説明します。実際に受けるときは取り寄せて最新の案内を見てくださいね。

 初めて受験する人全員に共通して必要なのは、

(1)願書と履歴書(取り寄せた案内書についてるから書けばOK)
(2)受験料と同じ値段の収入印紙(=これで受験料を払う)
(3)証明写真(2枚)
(4)本籍が書いてある住民票(戸籍抄本でもOK)

です。

 せっかく案内が届いても「開けるのめんどくさいや」なんて置いといて、出願〆切の前日になって開けてみると「明日までに願書と履歴書を書いて収入印紙を買って証明写真を撮って住民票をもらって来なきゃいけない!」っていう状態になっちゃうので、申し込みに必要な書類を手に入れたら、準備をコツコツ始めましょう!めんどくさいけど。
 高校で取った単位を使って免除したいテストがある場合は、学校から証明書をもらうまでに1週間以上(土日祝日や長期休みが間にはさまっている時期はそれ以上!)かかることもあるので、前日に準備したんじゃ間に合わないですよ。

(1)の「願書と履歴書」って?

 これは案内所に同封されている用紙の空欄を埋めるだけなので、自分でなにか特別な用紙を買ってくる必要はありません。

(2)の「収入印紙」って?

「収入 印 紙(いんし)」は、国(財務省)が発行しているお金の代わりみたいな小さな紙です。高認のテストは国(文部科学省)がやっているので、受験料と同じ値段の収入印紙を買って貼ることで「自分はこの金額の収入印紙で受験料を収めました」みたいな支払いの手続きになります。

コンビニにも売っています。…が、金額の小さい収入印紙しか在庫がないコンビニもいっぱいあります。そういうところで「4500円分ください」って言うと、200円の収入印紙が22枚と100円の収入印紙が1枚出てくることも。この23枚の収入印紙を申込書に貼り付けるのは大変…。
 近くにあるなら郵便局や法務局で4000円分の印紙を1枚と500円分の印紙を1枚買ってきたほうが貼るのは楽です。

ちなみに、「収入 証 紙(しょうし)」っていうのもあるんですけど、こっちは国ではなく地方自治体のものだから、国がやってる高認の申込には使えません。ご注意。

(3)の「証明写真」は頑張る必要ある?

 受験票に貼られて本人かどうか確認するためだけの用事しかありません。どんなに写りが悪くても、出願に使える写真の条件だけ満たしていればOKです(笑)
 高認は受かっても写真付きの証明書などは出ません。ただ文字が書いてある合格証書みたいなものをもらうだけです。写真付きの免許証とか資格カードみたいなものが取得後に発行されるみたいなことは起きないので、写真写りのクオリティは無視しても悔いは残らないはずです。

(4)本籍が書いてある住民票って?

 外国籍の方は本籍の記載を気にすることはありません。本籍っていうのは、日本国籍の人の戸籍がある場所というか…住んでいる住所じゃなくて、なんか、日本独自の個人を表す大昔のマイナンバーというか大昔のマイアドレスみたいな謎の住所で、必ずしも自宅の住所のことではありません。
 お役所には本籍で管理している諸々の情報もあったりしますが、個人の日常生活においてイマドキはもはや、本籍を書く欄に書くためだけにある住所って感じです。家柄を戸籍からアピールしたい人は価値を感じている場合もあるみたいですが、結婚相手とか(?)にアピールしたい欲求でもない限り、役所の用紙に記入するためだけの住所です。
 じゃあ本籍ってどこにあるの?って話なんですが、結構色々です。「先祖祖代々同じ住所に住んでて本籍の住所と家の住所が同じ」っていう人も居るし、「お母さんは結婚した時にお父さんの名字になったけど、住んでる場所はお母さんの実家」っていう場合は本籍がお父さんの実家近辺の住所で、住民票のある住所はお母さんの実家の住所という場合もあります。戦争で疎開した人が一族に居る場合は、住所が遠く離れていて本籍地は空襲が酷かった地域なんていうこともあります。
 ちなみに本籍地を変えることを「転籍」と言って、転籍も紙1枚提出すれば無料でできます。皇居とかスカイツリーとか東京タワーみたいな家と関係ない面白い場所を本籍にしている人も居るくらいなので、もし本籍地が書かれた住民票を取得してみたら本籍が皇居だった!…としても皇族というわけではないし、本籍がスカイツリーだった!…としてもスカイツリーの土地を持っているわけではないです。
 この「本籍」というのを証明できるものが何種類かあるんですが、中でも自分の本籍が分からなくてもコンビニなどで簡単に取れて手数料も安い(300円)のが「住民票」です。「住民票」を発行する時は「本籍地の記載 あり/なし」が選べるので、高認の場合は「あり」を選択します。

※「戸籍抄本(しょうほん)」と呼ばれる「個人事項証明書」でも「本籍」は証明できますが、1通450円かかりますし、本籍地が分からない時は手続きもちょっと面倒なので、住民票に本籍載せてもらうのが一番簡単だと思います。
ちなみに「戸籍謄本(とうほん)」のほうは「全部事項証明書」と言って、あなただけではなくあなたの親が誰で…みたいな一族ヒストリーが丸出しになるやつです。本籍地を証明する書類の一つですが余計な情報も多いのでお間違えのないように…。


学校にまったく行ってない人の必要書類

 ちなみに提出書類がシンプルなのは
■高校(または高専)にまったく行っていない人
です。
 そういう人は↑(1)〜(4)だけあれば出願できます。
■入学したけど単位が全然ない人
■取った単位をあきらめて捨てて0から受験するストイックな人
も同じです。


ステップ:08
必要な書類(免除科目)

 テストは楽になるけど書類の準備がちょっと大変なのが、高校(または高専)でいくつか単位を取った人。この人の場合は↑(1)〜(4)だけじゃなくて単位修得証明書」というのを2通通っていた学校で発行してもらわないといけません

 ヤバいトラブルで退学したとか学校辞める時に先生を殴ってきたから気まずいとか同級生の目が怖いとか二度と行きたくない事情があったとしても、学校から「単位修得証明書」をもらって来ないと、テストを免除してもらえません。
(退学後20年以上たつと発行してもらえなくなります。二年じゃなくて二十年なので、そんなに心配ないですが…。)

「単位修得証明書」のもらい方

 テスト免除に必要な「単位修得証明書」をもらいたい時、対応している手続き方法は学校ごと違うため、残念ながらすべての学校でオンラインで取り寄せできるわけではありませんが…、

・窓口で手続き→窓口でもらう
・窓口で手続き→郵送でもらう
・郵送で手続き→窓口でもらう
・郵送で手続き→郵送でもらう
・インターネットで手続き→郵送でもらう
・インターネットで手続き→窓口でもらう

…などの方法が考えられます。

 手続きをしてくれるのは誰か?というのは学校によります。担任の先生がまだ居るなら担任だった先生が作る場合もありますが、他の学校に異動した後なら他の先生がやってくれる場合もありますし、事務の方がやる場合もあるようです。これは「実際に証明書を作る作業」の話。
 お願いするほうはその作業を隣で見ているわけではないので、苦手だった先生に会わないと作ってもらえないなんていうことはありません。「この証明書が欲しいです」という申し込みを事務系の部屋の人が受け付けてくれて、出来上がった証明書を事務系の部屋まで取りに行く、というパターンが多いのではないでしょうか。学校の昇降口や職員玄関の近くにはお客さんを受付しているような小窓がありませんでしたか?あそこですべての手続きが済んで、靴を脱ぐ必要すらない学校もたくさんあります。
 必ずしもあなたがどんな理由で学校を辞めたか詳しく知る人が受付するわけではないので、気軽に行ってみてください。授業中を狙って行けば先生も生徒もみんな授業に出ているので廊下で合うこともないと思いますよ。退学から年数が経っていればなおさら安心です。
 私も高校まで行きましたが、事務の人はきっと私の家が貧乏で高校を辞めたなんて知らないでしょう。もしかしたら「コイツ犯罪でも起こして辞めたのかな?」なんて悪いほうの想像をされたかも知れませんが(笑)

 ほとんどの学校では「いつ在学した何年何組みの誰が在学中にどんな科目の授業を受けてあるか」という情報をパッと出せるわけではないので、当日発行してもらえないのが普通です。窓口に直接行く場合は2度行くことになると思ったほうがいいです。

 申込時か受取時、またはその両方のタイミングで、免許証や保険証のような本人確認書類の提示も必要です。

 また、おそらくどの学校でも発行手数料が必要です。現金OKとは限りません。特に収入証紙が存在する自治体の公立高校の場合は事前にコンビニなどで収入証紙(※願書に貼る国の印紙じゃなくて、地方自治体の 証 紙 !!)を手に入れないと手数料を納入できないこともあります。

 対応は学校によります。たとえば…

例1)伊奈学園総合高校浦和高校など(県立)→発行手数料:400円※学校では扱ってないから「埼玉県収入証紙」を買ってから行く必要があります/発行まで:日数は事務局に問い合わせ

例2)淑徳与野高校(私立)→発行手数料:100円※校内で証紙を販売しているから現金OK/発行まで:1週間

例3)埼玉栄高校(私立)→発行手数料:750円※特に案内がないので現金でOK?/発行まで:ホームページに「作成に時間を要します」とあります。

…こんな感じで、特に私立は学校によって手数料にも差があるので注意が必要です。

※東京都・広島県、市町村単位だと大阪市・京都市・川越市が収入証紙を廃止しています。たとえ公立高校でも収入証紙を廃止した自治体の学校は収入証紙以外で手数料を払うことになるので、通っていた学校に聞いてみましょう。(川越市にある埼玉県立川越高校で窓口申請する場合は「埼玉県の収入証紙が必要」とホームページに書いてありますが、これは「収入証紙を廃止していない埼玉県の県立高校が・収入証紙を廃止している川越市にある」からです。)

 郵送取り寄せの場合は、定額小為替(郵便局に売っているお金の代わりのようなものです)で手数料を支払う場合もありますし、手数料とは別に送料分の切手や、切手を貼った返信用封筒を用意しなければけない場合もあります

 発行してもらわなきゃいけない「単位修得証明書」のルールについては、高認のホームページの「単位修得証明書・単位修得見込証明書様式」のところに詳しく書いてあるので確認してください。

 どうしても学校に行くのが嫌だったり校門をくぐるとPTSDになってしまうような苦しい思い出がある時や、引っ越しちゃって遠い場合などは郵送で取り寄せられるので安心してください!ホームページをちゃんと作っている学校では、ホームページに申込方法が載っている場合もあるので「校名 単位修得証明書」で検索してみるといいと思います。
 学校や地域によってはインターネットから申し込めるところもあるみたいです。

 ネットで検索してみても学校のホームページに情報がなかったら、通っていた学校に電話しましょう。

 問い合わせるときは「高等学校卒業程度認定試験で決められている内容の単位修得証明書を郵送で取り寄せたいです」ということを伝えましょう。学校独自の証明書だと、高認の申し込みに使えないこともあるからです。
 必ず「高卒認定の受験用」ということを伝えましょう。

 電話だろうと郵便だろうと、絶対に学校と連絡を取りたくない場合は、せっかく取った単位を捨てて全教科テストを受けるしかなくなります。いろんな気持ちはあると思いますが、単位を持っているなら一時的にガマンして、「単位修得証明書」を入手するのが一番おトクです。


 以上が、具体的に申し込むとなった場合に必要な書類です。
 こんなこと考えててもぜんぜん楽しくないですね。でも、何かの資格を持つっていう手続きは大体面倒だし地味で楽しくないので、割り切って頑張りましょう…。


 ▼次回は?

いよいよ勉強の始め方について書きたいと思います!


▼この記事の文章担当がほかに書いたノート

(構成・編集部/原文・中村珍


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