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転勤制度・単身赴任は本当に必要なのか⁉

NTTが社員の働き方を見直し、転勤を原則なくす方針を表明しましたね。転居を伴う異動は働き手と家族に大きな負担をかけてしまうのは周知の事実かと思います。私が会社員を辞めた一番大きな理由がこの転勤・単身赴任を前提にした雇用制度にあります。

会社員は倒産やリストラに遭わない限りは、毎月安定した給料が振り込まれる安心がある一方で、来年どこで誰の下でどんなチームで働くか分からない未知の怖さがあります。妻のキャリアプラン、子どもの進学プランなどが旦那の仕事状況によって左右されてしまいます。

今回はこの転勤制度について今の世の中に必要なのかどうかの議論を含めてシェアしたいと思います。

転勤制度の始まり

日本で長く浸透してきた転勤制度。転居を伴う転勤は、本人だけでなく家族にも影響を及ぼすため、大きな負担となります。近年日本では、そんな転勤制度が疑問視されるようになってきました。

転勤は日本独特の制度です。戦後の高度成長期に、企業が拠点を広げるため一定数の社員を全国各地へ行かせる必要がありました。そこで、転勤制度が定着したと言われています。

それと同時に、企業はある地域の事業所を閉鎖しても、別の事業所へ異動させられる人事権を持っていました。勤務していた事業所が無くなったからといって解雇されることなく雇用し続けてもらえる、これは社員にとってもメリットがありました。

転勤は退職を考えるきっかけとなる

近年日本では、ライフプランを重視する人が増えてきており、転勤に対して疑問視する声があがっています。その背景には、終身雇用制度の崩壊に加え、女性の社会進出が進み共働きの社員が増えたこと、また、中高年層でも親の介護の課題に直面する社員が増えていることなどがあるでしょう。

企業側もそういった声を受け止め、希望者のみの転勤や社員の事情を考慮した人事異動ができるよう、制度を改良しつつあります。

家族を持つ多くの社員は転勤のない働き方を希望していることと思います。ただ、社員の希望に合わせた異動は、企業側には困難が伴うでしょう。希望エリアの需給バランスが必ずしも一致するとは限らないからです。

働く人にとっての転勤のメリット

働く人にとっての転勤のメリットと言われる代表的なものが下記の5つです。

⑴ 新しい環境での刺激が仕事の成果につながる

転勤によって新しいエリアや拠点で仕事をすることが、働く人にとっての刺激になります。さまざまな勤務地で働いて得た経験が、将来的な本人の成長や成果につながります。

⑵ 視野が広がり仕事の可能性も広がる

ひとつの勤務地にとどまり続けるのではなく、さまざまな場所へ移り経験を積むことで視野が開けるというメリットもあります。同じ仕事を続けることで凝り固まった思考や仕事の進め方が、転勤によって変化し、仕事の可能性が広がります。

⑶ 転勤先のエリアの実情を知ることができる

転勤先で一定期間働くことで、それぞれのエリアの実情を肌で感じることができます。本部や大規模な支店だけでなく、営業所や工場などで働くことも、販売や生産の現場を知るという経験につながります。

⑷ 社内での人脈が広がる

さまざまな場所で仕事をすることで、社内の人脈が広がります。一つの会社で長く働きキャリアアップしていきたいという人にとっては、頼れる人やかつての上司や同僚が社内に多くいる状況を作れることはメリットです。

⑸ 新しい場所で人間関係の構築ができる

転勤によって、それまで縁がなかった地域での出会いが生まれます。ひとつの拠点で働いているだけでは得られなかった人間関係を築くことができるのも、転勤のメリットです。

私自身は、若い頃はそれなりに転勤のメリットを享受していたと思いますが、環境の変化や新しい人間関係がうまくいかずに退職した同僚がいたので上記5つは本人次第ではデメリットにもなると考えます。

また、これらのメリットにおいても転勤という手段を使わずにできることがあるのではないでしょうか。

企業にとっての転勤のメリット

企業にとってのメリットと言われる代表的なものは下記の5つです。

⑴ 人の入れ替わりによって組織が活性化

企業にとっては、社員のジョブローテーションによって組織が活性化するというメリットがあります。営業所を各地に持つ企業にとっては、定期的な転勤で特定の社員と顧客の癒着を防ぐという目的もあります。

⑵ 部署に新しい価値観が加わる

転勤は、異動してきた社員を受け入れる側にもよい影響を与えます。同じメンバーで長い間仕事をしてきた部署やチームにとっては、他のエリアや職種から配属された社員の新しい価値観が加わることが刺激になり、仕事内容やチームの雰囲気を変えるきっかけにもつながります。

⑶ 人間関係のトラブルがリセットされる

同じ部署やチーム内で人間関係にトラブルがある場合は、転勤によって社員を入れ替えることで問題を解決できるというメリットがあります。

⑷ 人員の偏りをならせる

社員の昇進や退職によって、ひとつの拠点の中でポジションの重なりや不足が生じることもあります。企業にとっては、転勤によって人員の偏りを均一にして、生産性の高い組織になるよう調整できるのもメリットです。


まとめ

転勤を希望しない社員は、勤務地を限定して働いてもらうといった制度を取り入れている企業もあります。今後は、時代に応じてそのような取り組みを行う企業が増えてくることでしょう。

必要最低限の転勤に留めるために、転勤がどのような目的で行われているのか、その目的は転勤でしか果たせないのか、今一度見直す必要があります。滅私奉公と言われるような働き方ではなく、個々人の生活を最優先した働き方を企業も社員も共に考えていく必要があるでしょう。

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