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『すべての男は消耗品である。最終巻』 村上龍

2019年4月9日.
読了。
この叩きつけられるような
タイトルのエッセイ集も、
連載誌を変えながら、34年間も
続いてきたことに、感動する。

34年前といえば、私は、
17歳の時に、読んで、
さすが、村上龍だ、などと
思っていた。
何ともガキンチョだった私だが、
村上龍 作品は読んで、
オトナぶっていた。

そんな私にとって、
『すべての男は消耗品である』は
刺激的であった。

これは、勝手な個人的解釈だが
トンガっていた龍さんは、
このエッセイの中で、どんどん、
丸く優しい紳士になっていってる
ように感じる。
そして、この最終巻では、60代
中盤を迎えていた。

私がオトナぶって読書してる頃、
北方謙三がニュースキャスター
みたいなことやってる番組が
あったり、
龍さんは、日曜の夜に
岡部まりさんをアシスタントに
〝Ryu's BAR〟というオシャレな
トーク番組のMCをやっていた。

そして、龍さんの波長が
変わったのは『カンブリア宮殿』
からではないかと思う。
それは、龍さん作風が変わったとか、
おとなしくなったと言いたいわけではない。
独特の感性でサバイブしてきたのだと
私は感じる。

けっこう前なことだが、
『半島を出よ』上下巻を読み、
小説の舞台となった福岡で
龍さんのトークショーがあると
聞き、仕事をサボっていった
ことを思い出す。

10代で村上龍をオトナぶって
読んでいた私は52歳になった。
カッコいいなあと思っていた
作家たち
北方謙三さんや椎名誠さん、
タフでバリバリ作家たちが、
病気や死についての思いを
書いたものを目にすることが
増えてきた。

龍さんもこの最終巻で、
健康や肉体のことを書いていて
そのカッコつけないリアリティが、
カッコいいなぁと思った。

なぜ、男は消耗品なのか、
初刊から最終巻まで全て読むと
生きるのが楽しくなるのかも
しれない。

#エッセイ #コラム #本 #読書 #村上龍 #すべての男は消耗品である