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これからの時代の問題解決力は「再帰性」と「設計不可能性」の問題を解決できること。

こんにちは!えのもとです。
今日は、現代に残っている重要な問題は「再帰性」と「設計不可能性」という性質の問題ばかりが残っていて、これを解決できないと実際的な解決につながっていないのではないか?という話です。

ちょっと難しい言葉をまた使ってしまっているので、いつもお酒で失敗してばかりの僕の飲み友達の話も交えながら、カジュアルにまとめたいと思っているのでぜひお付き合いください。

「設計不可能性」「再帰性」とはなにか?

「設計不可能性」と「再帰性」を説明するために、身近な事例から話したいと思います。

その事例は、僕が毎日やっている座禅です!

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座禅では、「考えない状態」をつくることが大事と説明を受けます。
ただ座禅を始めたばかりの頃、僕はそれを実践しようとしてこんな状態になってしまってました。

考えない

つまり、「考えないように」にしようとしている時点で、すでに「考えてしまっている」んです!
これが「設計不可能性」と「再帰性」です!

■設計不可能性
通常の問題解決のように、目的を決めて解決しよう!と「設計」しようとすると、すでにその「設計」をした時点ですでに問題が解決できなくなること。
今回は、「考えない」ことを目的に、考えていることを解決しようとしますが、すでにその時点で「考えてしまう」ので解決できないです。

■再帰性
上記のように、「設計」しようとした時点で「設計で解決しようとした問題」がすぐに「再帰」してくることです。

下記の図にように補足できます。

考えない2

どうでしょう?この問題の奥深さが伝わりましたでしょうか?
これと同時によく僕が使う事例が、「自然な建築物を作ろう」という例です。

ある建築家が建築物を作ろうとしました。
どんな建築物がいいか?を考えたときに、「自然な建築物」がいいという調査結果が得られました。

そこで、自然な建築物を作ろう!と設計図を作って、建築が完了します。
しかし、調査結果では「自然な建築物」がいい、という話だったのに全く反響が良くありません。

それもそのはず。自然な建築物を作ろうとした時点ですごく「不自然な建築物」なんです。
自然な建築物とは、何気なく置いたベンチや空き地が自然と人が集まる形ですが、それをわざわざ人為的に作ろうとしている時点で不自然に人は感じてしまったんです。

巷に溢れる「設計不可能性」・「再帰性」の事例

そして、現代は「設計可能」な問題は大方片付けられているため、残っている問題が「設計不可能」な問題ばかりだと思うんです。
カジュアルな例も交えながら事例をいろいろあげていきたいと思います。

■事例1:アル中の飲み友達Hさん

僕には飲み友達のHさんという人がいます。Hさんはいつもお酒の失敗をしてばかりです。
Hさんは普段はすごく倹約家でマナーを心得ているのに、なぜこうなってしまうんでしょうか?
5,6年くらいの付き合いになる僕が見立てたところだと次のような問題が起きています。

アル中ジジイ

Hさんは、倹約家でマナーを心得ています。それは、「~しないと」という規律をすごく重んじているからです。
しかしそれは、「頭で考えているだけで」その規律に自分も苦しくなり、抑圧が溜まります。それをお酒で発散しているんです。

それによってお酒の失敗をしてしまい、「控えないと」とまた規律の発想をしますが、結局これがまた抑圧につながるので何度も失敗を繰り返すんです。
まさに「設計不可能性」「再帰性」の問題と言えます。

※こういった、「問題」「原因」という単純化したものでなく、循環するシステム全体で考えることをシステム思考と言います。

■事例2:ティール組織

次は僕の仕事にしている組織開発での話。「ティール組織をつくろう!」という動きについても、「うまくいった!」という声がほとんど聞こえてきません。
逆に最近は失敗事例がどんどん耳に入ります。
つまり、ここにも「設計不可能」「再帰性」の問題が潜んでいるんでは?と考えております。

ティール組織という概念が複雑な要件を持つので説明が難しいですが、
例えばティール組織で重要な「ミッション」について切り取ってみるとこの問題点が見えてきます。

ティール組織 (1)

ミッションは究極的な目的で、
「ミッションを持つ企業が成長するから」
「社会的使命を持つ企業は経済的に合理的」
「ミッションを作るのがティール組織だから」
といった理由・手段として「ミッション」がある訳ではないのに、それが理由に作るミッションはそもそも論理的に破綻してしまいます。

※同時に既存のトップダウン企業のアンチテーゼとして「ティール組織」を志向する人がいますが、ティールとは何かの批判からできるという成人発達理論の段階でもないので、ここでも設計不可能性・再帰性の問題が潜んでいます。

■事例3:自責の念

ビジネス界隈で好かれている言葉として、「自責の念」があります。
僕は個人が成長する意味で、すごく重要な言葉だと思ってます。

しかし、これも使い方によっては人間関係分野での「再帰性」「設計不可能」の問題の温床になります。

自責の念

自分に対して「自責の念を持とう!」と思うのは自由ですが、相手に使うときは危険かもしれません。
僕は携わった企業で、「自責の念」の掲げているのになぜかみんなが他責になっているチームがありました。

そのチームのリーダーは、部下が主体性がなく「自責の念が足りない!」と日頃から感じていました。
そこで、「自責の念を持て!」と部下に対して指摘したんです。

ところがよく考えてみると、リーダーが「部下の主体性がないのは自分の責任かもしれない」と「自責の念」で考えていれば、こんな指摘をすることにはならないはずです。

部下は当然、そうしたリーダーの指摘を「ブーメランだ!」と感じます。
そうして、チーム全体が「他責」
となってしまっていたんです。

「再帰性」「設計不可能性」をめぐる僕の失敗

僕は昔からこういう構造みたいなものが人より見えやすいのか、相手の「再帰性」にまつわる問題を見つけると、
「それを乗り越えてもっと前に進んでほしい!」
と余計なお世話が発動して、相手にそのブーメラン・矛盾を指摘してしまいます

しかし、それを指摘された相手は飲み込むどころか激昂することが多いです。
それもそのはず、自分の心の奥深いところを指摘されてしまうんですから。

そしてその言葉が届かないのは何を隠そう、僕自信が
「相手に指摘してやろう!」
という「再帰性」問題を抱えているから
です。

先ほどの自責の念の話を例で説明するならば、こんな悲惨な終わりなき戦争が起きてしまうことになります。

リーダー「自責の念を持てよ!」
部下「『自責の念を持て!』とこちらに指摘するということは、あなたが自責の念を持ってない!」
リーダー「そうやって、『自責の念を持てと指摘する俺自信が自責の念を持ってない』と指摘するということは、お前も自責の念を持ってない!」
部下「そうやって、、、、(省略。以下繰り返し)」

これを僕は心理学戦争と勝手に読んでいます。
結局人間関係は「承認ゲーム」なので、愛を持つことしか勝ち上がる術がないんです。
ここに心理学の知見を少しでも持ってしまうと、上記のような終わりのない戦争が始まります。

僕はこれの戦争を引き起こす引き金を引いていたんですね。

鍵は身体化

「再帰性」「設計不可能性」の問題を解決するには、今まのように頭で考えているだけでは、「再帰性の蟻地獄」にはまりいつまでも抜けられなくなってしまいます

なので、ポイントは「身体化」させることです。
メタ認知を通して、そういう風に考えている自分をただ眺めてただ手放す。(これをアンラーニングと呼んだりもします)

例えばの下記のような思考のパラダイムシフトを実践します。

■座禅
「考えない」

「考えている自分」を認識して、ただその考えている自分の「考え」を手放す。

■ミッション
「ミッションを持つと~がいいから、ミッションを持とう!」

自分の心が自ずと望むことをただ言葉にする、世界が自分を通して実現したいと言うことをただ感じる

■アル中
「お酒を控えないようにしないと」

「~しないようにしないと」と自分を追い込んでいるときに、自分はすごく苦しい気持ちになっているんだなと気づく。

このように、「再帰性」「設計不可能性」の問題は一筋縄に過去のロジカルシンキングや問題解決では解決できないです。
問題解決がうまくいかないと思ったら、それは「再帰性の蟻地獄」にはまっていないか?と考えてみてください。

なぜなら、AIなどが登場して「設計可能な問題」はますます解決が進んでいきます。残る問題はこの「設計不可能な問題」だからです。

さいごに(より高次な再帰性の蟻地獄にはまらないために)

このnoteをここまで読んでくださってありがとうございます。
しかし、ここまで読んだ方はすでに高次の蟻地獄にはまっている可能性があるので警告したいと思います

この「再帰性」「設計不可能性」を知って「身体化させないといけないんだ!」と思っているとすると、それはすでに「再帰性の蟻地獄」にはまっているんです。

最近、メンタルモデルやアンラーニング、コーチング、成人発達理論といった「再帰性」「設計不可能性」にまつわる知見が広まることで、この問題が起きてしまい、「心理学戦争」が勃発しかねないです。

その再帰性の蟻地獄も、
「あ~またはまっちゃってた(笑)」
くらいの気持ちで、とらわれる自分を楽しむくらいの気持ちを持つことが大事かもしれません。

最後までありがとうございます!是非皆さんのご意見をいただきたいです!お待ちしております。

twitterではこんなことを呟いています。


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