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企業の成果を左右する!プロジェクトマネジメントの本質

こんにちは!榎本です!
僕はミッションベースで複業をしており、いろいろな企業を見ております。今日はそんな中で「プロジェクトマネジメントスキル」について書きたいと思います。

それは、プロジェクトマネジメントスキルが会社の成果を左右すると感じるからです。
これまで、色々な会社と関わりながらプロジェクトをやってきたのですが、プロジェクトマネジメント能力こそ、良い会社とそうでない会社を間で一番能力差が大きいなぁと考えています。

最近炎上状態のプロジェクトの相談をよく受けます。
しかし整理してみると行き着くのは結局、プロジェクトマネジメント的な考えの欠如です。

そもそもプロジェクトマネジメントとは何なのでしょうか?
プロジェクトマネジメントを考える上で避けて通れないのは、仕事とはなにか?を考えることです。

仕事とは何か?

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ぼくは、仕事とは誰かの期待に応えるゲームと考えています。
そして、期待に応えるゲームである以上、期待とは何か?が大切と考えています。

では、期待とは何なのでしょうか?
僕は期待表現するのに一番いいと思うのが、吉野家の「うまい、やすい、はやい。」です。

この「うまさ」「やすさ」「はやさ」が、プロジェクトの鉄の三角形と実は一致しています。
仕事における期待を具体的に定義すると、次のような要件が挙げられます。

・どの程度の品質で仕上げる必要があるか(うまい)
・どの程度のコストをかけても良いか(やすい)
・いつまでに完了する必要があるか(はやい)

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仕事における期待とは、こういった要件を定義する必要があります。
この期待に応える状態を、「完了」と言います。


そのため、誰かの期待を満たすためには、何を「完了」と置くかが大事になってきます。

では、この仕事の定義を踏まえて、PjMについて考えてみます。

成功するプロジェクト、失敗するプロジェクト

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ある調査では、世の中のプロジェクトの成功率はおよそ3割という調査結果が出ています。言い換えると、7割のプロジェクトは失敗に終わるということです。

では、なぜプロジェクトは失敗するのでしょうか。

ぼくは、プロジェクトの依頼者に対する期待の調整ができていないことが失敗要因だと考えています。

失敗するプロジェクトの特徴

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失敗するプロジェクトは、明らかな無理ゲーにチャレンジしてしまっていることが多いと感じています。無理ゲーなのに、受け手側が「やります!」と言ってしまう状態です。ぼくの肌感では、失敗するプロジェクトの問題の8割ぐらいは、この「(無理ゲーだけど)やります!」が原因だと考えています。

※「やります!」と言ってしまうのは、この「無理ゲーであるかどうか?」がプロジェクト単位の仕事ですと大規模かつ複雑なケースが多く判断が経験を積まないとできないことが大きく影響しています。

本当は期待が不明確な場合は、期待の調整が必要ですし、期待が複雑すぎる場合も、調整が必要なのです。

たとえば、この期待の調整を外食で例えてみます。

ぼくは吉野家は期待値調整がうまいなーと感じています。なぜなら、ほとんどの人にとって、吉野家に求める期待は「安い」「早い」「美味い」ですよね。

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吉野家は高級フレンチを出しませんし、誰も大切なデートを成功させるために吉野家には行きません。これは、吉野家側も、お客さん側も、吉野家に期待していることは「安い」「早い」「美味い」という共通認識が持てているからです。同じ期待を共有できているからこそ、吉野家は足を運んでくれるお客さんの期待に応えることができます。このように、お客さんが何を期待しているかを抑え、その期待に応えることが大事なのです。

このように吉野家で考えるとわかりやすい話なのですが、実際のプロジェクトでは「10分でアメリカに連れて行って!」「3万円で世界一周したい!」といった明らかな無理ゲーに対して、「無理ゲーやります!」といってしまう人がとても多いのです。

期待をすり合わせることが大切

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では、具体的にどうすれば無理ゲーを回避できるのかを説明します。それには前述の「うまい・やすい・はやい」=プロジェクトの鉄の三角形が重要です。

プロジェクトの鉄の三角形とは、QCD、すなわち品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)という3つの期待の要素のことを言います。

無理ゲーを回避するためには、依頼者と実現可能なQCDをすりあわせて、完了条件を定義する事が大切になってきます。

この依頼者と期待をすりあわせる(調整する)ことがPMの仕事なのです。

どうやって期待をすりあわせる?

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では、PMはどうやって期待をすりあわせれば良いのでしょうか?

期待をすりあわせるためには、やっぱり計画が大事です。
無理ゲーを引き受けてしまうのも、「計画」ができていないからです。本当に相手の期待に答えることができるのか?を精査する必要があります。

しかし、世の中には計画=スケジュールだと思っている人がとても多いです。実際には、スケジュールは計画の一部でしかありません

期待をすりあわせるためには、計画に次の4つの内容を盛り込む必要があります。(本当はもっとありますが、基本的なPJはこれくらい押さえておけば大丈夫です。)

①スコープマネジメント
 やることやらないことを明確にする
 例:ケーキは作るけど、和菓子は作らない

②ステークホルダーマネジメント
 期待している人の関係者構造を整理する
 例:おばあちゃんが買いに来たけど、食べるのは孫

③リスクマネジメント
 起きたら困ることの洗い出しと対策を決める
 例:遠方から来ているとケーキが溶ける恐れがあるので保冷剤をつける

④スケジュールマネジメント
 納期に間に合うスケジュールを立てる
 例:誕生日の明日に間に合うようにケーキを作るようにする

PMにおける計画とは、この4つの方針を決めることに他なりません。

そして、計画を立てることの本質は、完璧に予想通りにすることではなく、成功の見込みを立てられるようにすることにあります。

たまに、完璧な計画を作りたがる人がいますが、実際のところ、未来のことなので完璧な計画は存在しません。それよりも、成功の見込みが立たなくなったときに柔軟に対応できる体制にすることのほうがもっと大事です。

プロジェクトを進めるにはどんな方法がある?

上記のような計画が必要ですが、過去に人間がたくさんプロジェクトを実施してきたことから、プロジェクトにはいくつか流派があります。ここでは主要な2つの流派について紹介します。この2つはどっちがいいというものでもないため、プロジェクトの特性に合わせて選択できると良い感じです。

・ウォーターフォール
要件が容易に変更しないプロジェクトはこちら。
最初に作成した計画順にタスクをどんどん進めていきます。
計画変更に弱いという弱点はありますが、先々のスケジュールの見通しが立てやすいという特徴があります。

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・アジャイル
要件がどんどん変更していくプロジェクトはこちら。
直近で着手すべきタスクを少しずつ進めていきながら、要件の変更に合わせて計画に修正を加えていきます。
計画変更に強いという特徴がある一方で、先々のスケジュールの見通しが立てづらいという特徴があります。

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初心者はアジャイルの方が難易度が低いと思います。ウォーターフォールはその特性上、計画立案でつまずくとすべてが崩壊してしまいます。

実際のところ、期待に対して明確に応えきることや、スタート時点で期待を漏れなく集めきることは不可能と考えたほうが良いです。また、仮に魔法を使ってスタート時点ですべての期待を集めきることができたとしても、プロジェクトを進めていく中で期待自体が変化していくことが普通です。

そういった観点でも、変化に柔軟に対応できるアジャイルの方が難易度は低いと言えます。

プロジェクトメンバーとの接し方

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プロジェクトを始める際にも工夫が必要です。
PjMで必須となるプロジェクトメンバーとの接し方についてです。プロジェクトメンバーとは、プロジェクト開始時点から具体的なビジョンと叩き計画を共有することが重要になってきます。また、お互いに何ができるか、何をやるのか、をすりあわせいくチームビルディングが大事になってきます。

ここで重要になってくるのが、プロジェクト計画は常に不完全である、ということです。プロジェクト自体が常に変化していく特性を持っているため、完璧なプロジェクト計画を作成することは不可能である、という前提に立って、PjMが常に各メンバーが計画どおりにタスクが進捗しているか確認を行う必要があります。

プロジェクトが始まったらPMの仕事は終わり?

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あなたがPMではなく魔法使いで、完全に未来を予想したプロジェクト計画を作れていないなら、プロジェクトが始まってからがPMの本番です。

プロジェクトに対して、「現状把握」→「原因分析」→「対策立案」→「再発防止」をサイクルをまわすことが大切です。

一見当たり前のことのように聞こえますが、このサイクルをきちんとやりきれる人はとても少ないです。とても少ないからこそ、当たり前のことをきちんとやりきるだけで価値を生み出すことができます。

ほとんどあるケースはプロジェクトが始まったら丸投げをしてしまい、何もしないケースです。これは初めの「現状把握」すらできていません。
プロジェクト計画は常に不完全なので、常に現状が計画通りなのか?何か問題が起きていないか?と、現状を正しく把握する必要があるんです。

マーフィーの法則というのがあります。
問題は必ず起きてほしくないときに、起きてほしくないことが起きるものです。

問題がおきたら原因を分析し、対策をし、再発防止をしていくことでプロジェクトが計画に沿って進めることがやっとできます。

最後に一番言いたいこと

世の中の色々な案件で、これまで書いてきたようなPjM能力を持つ人がいてくれると、誰の期待も裏切られることがない幸せな世界が待っています。

仕事をしているすべての人がPjM力を身につけることで、お互いに幸せな仕事ができるようになり、ぼくのテーマである人間回帰につながっていくと考えています。

僕は「努力・根性」はとても大事なものだと思っています。
しかし、「努力・根性」のような不確定なものに不確実なプロジェクトの成功をすべて担保させるのはプロジェクトマネージャー失格と言わざる得ないと思っております。

「努力・根性」を排除しても上手くいく仕組みを作った上で、マーフィーの法則で何か悪いことが起きます。
そんな最終手段として「努力・根性」があります

最初から「努力・根性」を当てにしたプロジェクト運営がどうなるか?は、第二次世界大戦のことを描いた「失敗の本質」という本で精細に描かれておりますので、是非ご一読ください。

以上、長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、以前僕がセミナー講師をしたときにプロジェクトマネジメントをストーリー形式で学べるスライドも公開してますので、ご参考までにごらんください。
※ラフなセミナーだったので、すごくカジュアルな内容になっております。


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