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意識高い会社員が課題解決の昇進試験で失敗しがちなこと 5選

2022年9月14日 更新


1. はじめに

 課題解決試験、問題解決試験、課題抽出試験、課題達成試験、など様々な言葉でいわれますが、以下の様な試験です。

管理者としての目線、ものの見方・考え方で課題を発見・分析しているかどうか、また、課題を打開するための効果的な対策が導き出せているかどうか、また論理的な展開がなされているかを評価する、記述式の試験です。

日本経営協会総合研究所(NOMA総研)より

私も会社で受けることになりまして、お金欲しさに仕事そっちのけで必死に対策することで一発合格しました。その時の試行錯誤内容や不合格になった意識高い同僚との違いを記事としてまとめていきます。


1.1 本記事の対象

 本記事ではインバスケット試験で設定された状況・発生案件から課題(問題)を見つけて解決するタイプの試験を対象としています。
 具体的には、ケーススタディとしてとある架空の会社・組織で急遽課長や部長レベルになる。そこで未処理のメールを読解して、目の前の仕事を速やかに処理をする"インバスケット試験"と、中長期的にやるべきことを定めて進め方を定義する"課題設定・解決試験"を同時にやる様なタイプの試験です。

以下にもある様に、今後はこのタイプの試験が増えていくことでしょう。

「近年では、インバスケットの要素に加えて課題(問題)を見つける力が求められて来ています。 つまり”インシデント”とも言われるこのアセスメント手法で情報収集能力、課題設定能力を判断し、さらにインバスケットの要素を加えて解決能力を把握する、というように、インバスケットとインシデントを併用して、管理職としての適性を判断する企業が増えているのです。」
https://leader-ensyuu.com/402-2/

なお、インバスケット試験の合格戦略・合格戦術は以下でまとめていますので、興味がある方はそちらもご参照ください。


2. 課題設定・解決試験で失敗しがちなこと

 不合格になった意識の高い同僚達の回答を見て以下の様なパターンがありました。

✅ 自分の立場を超えた回答をしてしまう
✅ 課題解決と問題解決を取り違えている
✅ 全ての課題を解決しようとして時間切れ
✅ 自分がプレイヤーになってしまう
✅ 目先の対策に飛びついてしまう(How思考)

それぞれについて以下で解説します。


2.1 自身の立場を超えた回答をしてしまう

 意識高い会社員は理想的な姿を追い求めがちです。そしてあたかも自分が社長になったかのように組織を大胆に改革しよういう回答が見られます。

ただ、試験でははあくまで昇進後あるいは設定された部署・職位の立場で実行できる現実的な課題設定・解決方法が求められています。

ちなみに「落とされない小論文」でも
"小論文の重大ミスランキング第一位 問題文の指示に正しく答えていない"
とされています。
「相手の求めていることを正しくよみとる」というのは、何も問題文だけに閉じていることではありません。
ありがちなミスではありますが意識が高いほど気が付きにくいのかもしれません。


2.2 課題解決と問題解決を取り違えている

 意識が高いと完璧主義者に陥りがちで、目につく問題が気になってしまいがち。ただ、あくまで今回の試験は"課題"の設定と解決を問われているのである。これも上記同様に「問題文の指示に正しく答えていない」に当たります。

図1

また、問題解決という言葉の響きから上図の"ギャップとしての問題"というよりは、現場で起きるトラブルやクレームなど"事件としての問題"にばかり注目してしまう人も多いです。
問題解決と課題達成の違いは"課題達成のプロセスで学ぶビジネスコミュニケーション"に詳細に書かれています。

よりよい姿に向かうために何をすべきか?それが課題です。


2.3 全ての課題を解決しようとして時間切れ

 意識が高いと全ての問題を解決しようとしがち。あれもこれも解決しようとして時間切れになりどれも実行レベルの具体案に落とし込めなくなります
具体的に書くというのはどの様な試験でも重要で、「落とされない小論文」でも"小論文の重大ミスランキング第2位 「具体的な言葉」で書けていない"が挙げられています。

「量より質」

これは課題解決試験においても同じです。


2.4 自分がプレイヤーになってしまう

 完璧主義にも通づるところがありますが、意識が高い部下の能力に満足できず、何でも自分でやってしまいがち。
しかし今回はあくまで管理職になるための昇進試験です。部下をうまくつかうことが求められています。

〜部下の役割を都度確認し、可能な限り仕事を部下に任せて自分は全体を見る〜それが大切です。

管理職(マネージャー)とは何かは"マネジメント[エッセンシャル版]"参照にすると良いと思います。


2.5 目先の対策に飛びついてしまう(How思考)

 以下「問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術」からの引用で説明します。
 例えば「営業成績が上がらない」だから「もっと営業電話をかけよう」などの様に原因を深堀せずに安易に思いつく対策(= How)にすぐに飛びつくパターンである。もしかすると、「電話でのトーク内容を改善」したり、「訪問の際の提案資料を作り込む」方が営業成績が上がるかもしれない。
なぜこの様なHow思考に陥るかというと、以下引用です。

HOW思考の落とし穴に陥る理由としてまず上げられるのが「勘と経験による思い込み」だ。自分の仕事で、WHEREやWHYがわかっていない人はまずいない。「自分の仕事では、ここに問題があり、これが原因で、だからこうするに決まっているだろう」と、頭の中にシナリオがあるはずだ。これが当たっているうちは「勘と経験」に頼って仕事をする方が効率的である。しかし、「環境が変わったとき」などに弊害が出やすい

「問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術」

意識が高い人ほど、自分の「勘と経験」に自信を持っていると思うが、ケーススタディでの昇進試験はこれまでと違う職場環境が前提に設定されます。すなわち「環境が変わったとき」に当たるので危険です。

3. 課題設定・課題解決試験でやるべきこと

それでは、上記の失敗例を踏まえて、課題設定・解決試験でやるべきことを整理していきます。

✅ 自分の置かれた立場を把握する
✅ 課題解決だということを念頭におく
✅ 重要課題を選定して具体的に書く
✅ 部下が動ける環境を作る
✅ 原因を深堀する

3.1 自分の置かれた立場を把握する

 自分の役職・部署をしっかり確認しましょう。例えば営業部の部長ポジションであるのならばそのポジションでできることを課題として設定しましょう。課題の例としては「営業方法を変更する」「利益率の高い取引先の絞る」などです。間違っても「製品の不具合を下げる(製造部門の課題)」「新商品を開発する(企画部門の課題)」など他部署の課題や「海外に販売拠点を設ける」と言った経営層レベルの課題を掲げない様にしましょう。

3.2 課題解決だということを念頭におく

 目指すべき姿を定義して、そこに向かう道筋を論述しましょう。2章でも述べましたが、間違っても目に見える"トラブルとしての問題"に囚われない様に要注意です


3.3 重要課題を選定して具体的に書く

 課題と具体的なアクションを5W1Hを意識して具体的に論述しましょう。例えば「売り上げ主義から利益主義へ方針変換」という課題があったとしたら、以下の様なレベルで具体的なアクションを作成します。
What:利益報告会議を
When:3ヶ月以内に、1週間に一回
Where:自分の部の単位で
Why:利益の重要性を伝えて部署の方針を揃えるために
Who:田中課長をリーダーとして
How:毎週の営業利益率を取引先ごとに整理した資料を報告し合う形で
開催する


3.4 部下が動ける環境を作る

 自分が動くのではなく部下が動きやすい環境を構築する様にしましょう。また例えば、上記の例の「利益重視の方針転換」などであれば、"高利益率取引先分析チームを組織する"と言ったアクションは部課長レベルでしか出来ないものなので良い印象でしょう。


3.5 原因を深堀する

 自分の勘と経験を過信せず、原因を深掘りしましょう。
 深堀の仕方は
問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術
にわかりやすく書いています。

別記事でも説明していますのでご覧ください。


4. まとめ

 今回は「意識高い会社員が課題設定・課題達成の昇進試験で失敗しがちなこと 5選」というテーマで記載しました。

5つの失敗例とその失敗をしないための5つのアクションを記載しました。
このまとめが読者の方の昇進試験の役に立てば幸いです。

 ただ、これは頭に入れるだけでなく実際に何度も問題を解いて回答に慣れることが重要かと思っています。


別記事やココナラで問題解決の昇進試験の回答テンプレートについてまとめています。私が実際に試験を受けてるにあたり、複数の書籍と歴年の合格者の意見も取り入れて作成したものです。興味のある方はそちらもご覧ください。



また、回答を作ってみたものの、自分一人では合っているか自信が無いという人も多いかと思います。
そういう方向けに添削サービスも提供しておりますので、そちらも興味がある方はご覧ください。




以上、ありがとうございました。

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