noteで歳時記 〔秋・植物〕分冊
【はじめに】
この記事のコンセプトは、noteの皆さんが公開している記事で、『歳時記』を作っちゃおう! というものです。今回は〔秋・植物〕分冊となります。
この記事を書くキッカケとなったのは、「なごみ@ドラ」さんのこんな記事を目にしたことでした。
そうです。確かに、最近は「植物の名前」を教えてくれるアプリが開発されて、かざせば教えてくれるようになりました。
ただ、自分で句を詠む上では勿論のこと、他人の句(例えば、「白杯みんなの俳句大会」などの審査で)を鑑賞する際に、単語の意味を理解するのと同じで、植物などの姿かたちを知ることは非常に重要で、かつ豊かにしてくれるのではないかと考えました。
「俳句を始めて『植物』に親しくなった」、「普段見かけていた花の名前を知って愛着が湧いた、より気にするようになった」などとなれば、この記事を書いた甲斐があったと私が思えると思いますww ぜひご活用ください。
0.「植物」分冊 発刊に際して
この「植物」分冊の発刊に際して、以下3点をご理解頂ければと思います。
(1)画像があった方がイメージが湧きやすい!
他の季語についてもそうですが、やっぱり「画像」があった方が、こういう植物の季語はイメージしやすいはず!
それこそ吟行や道端で見かけた植物の名前が分かるだけでも、世界が華やかになって、俳句も作りやすくなると思います。私も、文章だけの説明では、中々イメージが沸かなかった人間なので、今回はじめて知った植物も多くありました。
(2)食べられる植物は別の分冊を作成予定!
市販の歳時記では「植物」と一括りになっているものの、食べるかどうかは植物の季語の本意において、結構大きなウェイトを占めていると思います。
なので、厳密にではないですが、「食べる植物」と「あまり食さない植物」を今回の「noteで歳時記」では区別をし、主として“観賞用”な植物を中心に今回は採録しました。
(3)科などで分類、これでも数は絞りまくった方!
歳時記の収録順としては「季節順」などが一般的ですが、今回の記事では、ある程度の「纏まり」をもって並べることを目指しています。それは◯◯科などの植物学的な仲間だったり、季語的な近いもの同士だったりをくっつけました。
紙の歳時記だと紙面に制約がありますが、「note」ならば無際限に書けるっしょ! と思った結果、数百はある植物の季語に溢れ返ってしまいました。
目当ての季語がある場合、適宜「検索」などをして頂ければと思いますが、かなりの長尺の記事になっちゃいました(てへぺろ) ただこれでも、全体の数分の1のメジャーな季語に絞っています。正式な歳時記もご参照を!
1.秋の野
◎秋の芽
◎秋草、秋の草
◎草の花
◎草の香
◎草の実
◎草紅葉
◎末枯
草木の先の方が色づいて枯れること。
2.秋の樹木
ブナ
◎椎の実
◎楢の実
マツ科
◎色変えぬ松
◎新松子、青松笠
ムクロジ科
◎橡の実、栃の実
◎木の実
木の実落つ、木の実降る、木の実の雨、木の実時雨、木の実独楽、木の実拾う、木の実 『角川俳句大歳時記』より傍題
◎どんぐり
◎雑木紅葉、名の木の紅葉
◎名の木散る
(1)紅葉
◎楓
◎紅葉
◯もみじ葉
◯色葉
◯紅葉の錦
◯夕紅葉
◯紅葉の淵
◯紅葉の筏
◯紅葉の川
◯紅葉川
◯紅葉山
◯渓紅葉
◯庭紅葉
◎初紅葉
◎薄紅葉
◎照葉、照紅葉
◎紅葉かつ散る
(2)黄葉
イチョウ科
◎黄葉
◎黄落
◎銀杏黄葉
◎銀杏散る
俳句では、何と「銀杏」は季語ではないのです! 私も最初は度肝を抜かれました。ただ理由が分かると納得。「銀杏」といっても「いちょうの木」は一年中あります(葉を付けていない時期こそありますが)。
「桜」や「椿」も花の印象は強いものの一年中樹木があるのと似て、「銀杏」も花にフォーカスする際には、必ず「銀杏散る」などの形で使うよう心がけましょうー
◎銀杏
3.秋の七草
(1)萩の花
(2)薄、芒
◎尾花
◎芒散る、尾花散る
(3)葛の花
(4)撫子
(5)女郎花
(6)藤袴
(7)桔梗
傍題:きちこう、一重草
4.秋の単子葉類
アヤメ科
◎サフランの花
傍題:番紅花、洎夫藍
スズラン亜科
◎万年青
ツユクサ科
◎露草
ヒガンバナ科
◎曼珠沙華、彼岸花
傍題:死人花、天蓋花、幽霊花、狐花
ユリ科
◎杜鵑草
ラン科
◎蘭
5.双子葉類
(1)キク類
☆キク科
◎菊
◯白菊
◯黄菊
◯一重菊
◯八重菊
◯大菊、中菊、小菊
◯厚物咲
◯初菊
◯乱菊
◯懸崖菊
◯菊の宿
◯菊時
◯菊畑
◎残菊、残る菊、菊残る
・陰暦九月九日の「重陽の節句」を過ぎた菊のこと。
「十日の菊」という諺でも知られています。
◎晩菊
◎野菊
◎紫苑
◎背高泡立草、泡立草
☆アザミ科
◎山薊、鬼薊、秋薊
◎富士薊
☆カキノキ科
◎柿紅葉
☆コスモス科
◎コスモス、秋桜
☆シソ科
◎車前草
◎桐一葉
◎サルビア(緋衣草)
◎紫式部
☆ナス科
◎鬼灯、酸漿
☆ヒルガオ科
◎朝顔
◯朝顔の実
◎夜顔
☆モクセイ科
◎木犀
一般には、金木犀と銀木犀は区別し、単に「木犀」と言えば『銀木犀』の方を指しますが、俳句の世界では音数の関係もあってか、明確には区別せずに金木犀のことを指すことも多いとのこと。
☆ツツジ科
◎満天星紅葉
◎椿の実
◎鳳仙花
傍題:爪紅、つまべに、つまぐれ、染指草
(2)バラ類
☆アオイ科
◎木槿
日本では「底紅」、朝鮮語では「無窮花」といい、韓国では「国花」なんだそう。
◎芙蓉
◯酔芙蓉
☆ウリ科
◎糸瓜
◎青瓢
傍題:ひさご、瓢箪、青瓢箪、百生り、千生り
◎苦瓜、ゴーヤ、茘枝、蔓茘枝
☆ナナカマド科
◎七竈
☆バラ科
◎吾亦紅
◎秋薔薇
◎桜紅葉
◎梅紅葉
☆オトギリソウ科
◎弟切草
☆ブドウ科
◎葡萄紅葉
◎蔦
☆マメ科
◎葛、葛の花
◎合歓紅葉
(3)その他の類
◎白粉花
◎鳥兜
クワ科
◎ホップ
スミレ科
◎秋海棠
ナデシコ科
◎犬蓼、赤のまんま、赤のまま
ヒユ科
◎厚岸草
傍題:谷地珊瑚、浜過ぎ、浜松、珊瑚草
◎鶏頭
◎葉鶏頭
☆リンドウ科
◎竜胆
ツユクサ類
☆イネ科
◎竹の春
「竹の秋」が春の季語で、「竹の春」が秋の季語。タケの色合いを思えば、そうなのだが表面的には難しいですね。
◎萱
◎狗尾草、猫じゃらし
◎荻
傍題:風持草、風聞草、寝覚草
◯荻の声
傍題:荻野風、荻吹く
☆バショウ科
◎カンナ
◎芭蕉、破れ芭蕉
【おわりに】
超大作になってしまいましたが、「noteで歳時記」(あまり食用としない)〔植物〕分冊いかがだったでしょうか?
野に咲く秋の花々の名前を知ると、愛着が変わってきますし、俳句を詠むにも鑑賞するにも役立つことと信じてやみません。
もちろん現代においても「歳時記」は非常に有益ですし、また「花の名前のアプリ」なども好評を博しています。そういったものをぜひ活用しながら、令和の植物の俳句をお楽しみ頂ければと思います!
ではまた次の記事でお会いしましょう。俳号:Rxでした、ではまたっ!
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