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村上健志の俳句実況(2022/01/15)を振り返る《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2022年1月15日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。

過去の「俳句実況(生配信)」については、上のマガジンからどうぞ。

0.オープニング

冬麗戦で9位と敗れた直後の「俳句実況」。時節柄、「松の内」も終わって本格的に「晩冬」の季語と真っ向勝負する、そういったタイミングになってきていました。

1.「受験」

1つ目の席題は、大学入学共通テスト1日目を終えたタイミングということもあって、「受験」となりました。

俳句歳時記を引けば、受験(入学試験)は、受験子などと同じく「仲春」の季語となっているのですが、大学受援はAO入試を含めれば秋から、一般入試も晩冬には始まりますので、そこら辺を意識し作ればそこまで「季重なり」を咎められることもないかと思います。

多かれ少なかれ受験を経験したことがあるからか、普段以上に多くのアイディアが寄せられました。私のものも含めて、簡単に列挙していきますと、

・時計の針が進む
・受験会場 → 下見
・出陣式
・絵馬
・えんぴつ転がし
・マークシート
・雪、天気予報、滑り止め
・受験終わって使わなくなった教科書も何かすぐには捨てない派だった
・一斉にテスト用紙を
・誤植
・お腹の鳴る音
・在校生
・内部進学

こういう感じです。仮に俳句にならなそうなことでも、どこで俳句のタネになるか分かりませんから、村上さん風な作り方としては、思いつくまま列挙することが大事かと思います。
そうした中で、村上さんが好きだと語る短歌として挙げておられたのが、

問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい

川北天華

ネットでも話題になりましたし、平成20年代の瑞々しい作品として、短歌を詳しくない私でも見たことがあるぐらい衝撃的な歌でした。

短歌の五七五七七のリズムの口誦性を、ここまでうまく使えるものかと衝撃を受けました。好き嫌いは分かれるかも知れませんが、勉強系のアプローチの詩歌としては、ちょっと敵わないなと思ってしまいます傑作です。

さて、村上さんが「受験」で悩みながら作った俳句がこちらです。

①『7多い受験番号深呼吸』/村上健志

出典:ブログ「FIAT500とのんびり過ごす日々」さん から

普段気にしない人でも気になっちゃう「験担ぎ」みたいなものをうまく詠み込んだ作品だと思います。着眼点が流石の一言ですよね。『7だけの』じゃなく、『7多い』とすることで創作感が弱まりますし、望みを託して自分を鼓舞しているかのような息遣いが感じ取れそうです。ちなみに私なら、

  • 『深呼吸受験番号7多い』

  • 『深呼吸受験番号7多いし』

など深呼吸から入る手法もありだったかなと思いました。また、たろりずむさんが仰っていましたが、『7並ぶ』という動詞で攻めるのも手だったかなと思いました。

それに続いて、こちらは形式的には季重なりかも知れませんが、

②『春装の入試手伝うアルバイト』/村上健志

も、村上さんらしい着眼点の作品だったと思います。ちなみにチャット欄に書きましたが、「アル」の2音を節約して例えば、

(Rx添削案)『春装のバイトと入試設営し』

《 Rx作・冬の受験5句 》

  1. 『痛み止め効かぬ受験二日目は』

  2. 『受験前夜 落ち着くものを一つ入れ』

  3. 『落ち着くもの一つと受験前夜かな』

  4. 『星きれい試験会場設営す』

  5. 気嵐けあらしのバス停 受験会場下見終え』

2.「手品」

1つ目の席題で30分ぐらい使ってしまった(結果、2句できていますから、そこまで慌てるペースではないのですが、)ことに若干の焦りを覚える村上さん。2つ目も得意そうなテーマである「手品」となりました。
英語で「マジック」と言うのに比べると、少し手近な表現に感じますよね。

私の子供の頃も、今よりかは多く「マジック」の特番があった様に記憶しています。なので皆さんもアイディアが次々と出ていました。列挙しますと、

・鳩
・国旗
・水中
・タキシード
・胴体切断
・鍵
・手の綺麗さ
・ネタバラシ
・花からステッキ
・オリーブの首飾り
・ハンドパワー
・トランプ
・お札、コイン
・輪ゴム
・百均
・宴会芸
・子供が急に丁寧語になる(たろりずむ)
・マジックバー
・子供の目がキラキラしてそうです

ここでも、たろりずむさんのアイディアが非常に素晴らしく、村上さんはそれを借りる形で今日3句目が完成します。

③『冬麗ふゆうららですます調の子の手品』/村上健志

子供相手でも「丁寧語」というマジックショーでのマジシャンを最初は想像しましたが、子供のマジシャン(アマチュア含む)が丁寧語で手品を披露すると捉えても面白そうですね。

《 Rx作・手品5句 》

  1. 『雪女やどす奇術師 手の淡く』

  2. 『寒雷や切断ショーを知らなき子』

  3. 『マジシャンの黒きステッキより風花』

  4. 『百均のマジックの箱開け氷雨』

  5. 『子らの目きらきら雪晴の発表会』

3.「ワクチン接種」

3つ目の席題は「ワクチン接種」となりました。受験、手品と傾向が大きく異なり、村上さんにとってはチャレンジなチョイスだったかと思いますが、村上さんらしい着眼点の句を作り上げます。それがこちら。

④『接種会場の花瓶に白く明るい花』/村上健志

夏井先生風に言えば、『明るい』と言わない方が良いんじゃないかとも思って、下のような添削案を提示しましたが、

(Rx添削案)『接種会場の花瓶の花は白く白く』

リフレインが好きそうかなとか思ったんですが、まあこの白さを「明るい」と感じるかが確定的ではないので、『明るい』と言い切る表現も素敵なのかなと思いました。これは選択、判断が分かれそうですねー

そして「接種会場」という言葉があることによって、読者によってはかなりの深読みをしてくるかも知れませんが、それも読者に委ねるということで。

《 Rx作・ワクチン接種5句 》

  1. 『花瓶清く接種会場設営す』(上の受験会場の句をオマージュ)

  2. 『ネガティブは置き去りにして接種、春』

  3. 『副反応あった? と白衣は柔和に雪』

  4. 『虎落笛休演決める会議果つ』

  5. 『接種待つテレビに氷晶の川面』


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