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【参加録】村上健志の俳句実況 Vol.4《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、『フルーツポンチ村上のムラカミーチャンネル』で、2021年7月3日に生配信された『俳句実況』第4回を振り返っていきます。一部は私(Rx)の自作句や添削私案も掲載していますので、ぜひご覧ください。

0.オープニングトーク

(1)あっちゃんのトークチャンネルの動画を見て

冒頭、中田敦彦のトークチャンネル(NAKATA TALKS)で、俳句実況をみての感想を述べていたことに触れたフルポン村上さん。あれだけのアイディアが浮かぶことに、尊敬の念を抱いていました。

ただ、RPGの攻略本を読んで「最強の武器」を目にしてしまった様な感じ、まだ自分のプレイする俳句実況は、レベルが低いので、少しずつアイテムを集めて、視聴者というパーティーの仲間と地道にスキル&レベルアップしていくつもりとのことです。

ただ、早速、数万ゴールド(=円)はするだろう、あっちゃんが推していた「カメラ&マイク」を購入したり(まだ、第4回の配信はスマホからでしたが、買って準備することが大事)、俳句チャンネル名を改めたりと色々と、出来る所からステップアップしようとする姿は素晴らしいと思いました。

(2)皆で「月百句」をやりたい!

夏井組長も時々触れる「◯百句」というトレーニング方法をご存知ですか?

三大季語とされてきた「雪月花」に由来し「雪百句」「月百句」「花百句」が良く提示されます。これは、ある年のシーズン中で、「花」という季語で百句の俳句を作るというものです。

※俳句の世界で「花」といえば、桜の花のことを指し、「花びら」など派生系は良いですが、「チューリップの花」などは別物として認められません。

これ、夏井組長がYouTubeチャンネルでも語っていた通り、プロでも相当に厳しいトレーニング方法らしく、家藤正人さんとも「辛い」「大変」だと。

※何せ、花は盛りが半月ほどですし、雪も地域によっては殆ど降りません。毎日数句ペースで作らなければならず、句材や季語の使い分けなどを求められる所に、難しさの本質があるのです。

しかし、YouTube生配信を活用して「月百句」をやりたいというのが、村上さんの提案です。SNSを駆使した新たな形の句作の提案、面白そうですね。

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私も、コメントで、『中秋の名月』生配信を開催することなどを提案して、『もし出来たらオシャレ』だなぁ、って村上さんと余韻に浸ってましたww

ハッシュタグを付けて、「♯村上と◯百句」とか付けたら、Twitter 連動企画にもなりそうですよねー

1.席題「白シャツ」

どこかのドラマや小説で見たような場面や、日常生活でのありふれた光景がコメント欄の大半を占め、案外広いから難しいタイプの席題。だからこそ、プレバト!! の今年の炎帝戦の兼題になったんでしょうが。

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結構序盤から「ファンデーション」に拘っていた村上さん、続けて「汚れ」にフォーカスしていきます。更には、(お得意の)風を吹かせて、フワッと「白シャツ」が膨らむ光景に発想を飛ばしていきます。そして出来たのが、

【 1句目 】
『白シャツに風孕み終え一歩かな』 村上健志

という作品。風を孕(はら)ませるという描写が新鮮です。意味が伝わりづらいことを気にする村上さん。

今、風来てる、シャツ膨らんでる! それ味わっちゃおうって立ち止まる。

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ことを『一歩』に託した様ですが、『一歩かな』と詠嘆が効果的か難しく、2音を埋めた感じも多少してしまいました。この2音で一歩を表現して、

【 Rx添削私案 】
・『白シャツに風孕み終え一歩目を』
・『白シャツに風孕み終えさあ一歩』

などとして、詠嘆するより躍動感を表現した方が良いのかなと思いました。そうすることで、風も季語の「白シャツ」も眩しく夏に映えるのでは、と。

2.席題「白シャツ」+「夜風」

そんな1句目を貼るための養生テープを千切りつつ、「夜風」と取り合わせても面白いことに気づき、サラッと誕生したのが、

【 2句目 】
『白シャツに夜風を孕む少女かな』 村上健志

という作品。むしろこっちの方が、コメント欄(私を含め)好感触でした。

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※「孕む」という五段活用の自動詞が前後に影響した結果、「少女」に「孕む」が掛かってしまわないかが心配ですが、そんな読みは無粋でしょうww

2-1.「白シャツ」の没ネタからRx自作句

ちなみに動画中にコメントで、思いつきで投句した自作句が、

【 Rx自作句 】
『本降りのバス停 白シャツの眩し』

です。「本降り」で状況を表し、そこから「バス停」で場所を。更に句またがりで「白シャツ」と季語を置いて人物を表し、季語に要素が含まれてはいますが、本降りという雨の状況下でも「眩し」と捨て石のように描くことで17音に仕立て上げました。即吟としてはそれなりに出来てんじゃないかな? というのが自己評価です。

他にも、やれ「食べ物の染み」や「口紅の跡」だのと、冴えない芸人のネタみたいな類想が多かった中でも、まだ個人的に共感できたのが、

・ボールペンがついちゃうことある
・胸ポケットにインクの沁み
・赤いチョークの粉がついたり

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こういった辺りのエピソード。これは生活の実体験、詩心もありそうです。例えば、

・『胸ポケットのペン跡は青 新社員』 Rx

ちょっと季節は春から過ぎてしまいましたが、ボールペンを開けたままで、胸ポケットに刺しちゃって跡が……っていうのをそれなりのキャリアの人でもやっちゃいはしますが、新社員がやっていたら、(素材としての新鮮味は無いけど)句材としてはフレッシュかなって思ったり。

2-2.「白シャツ」+「染み」で埋め字ドリル

そして、本来の季語の意味には逆行するのかも知れませんが、「白シャツ」に何かの染みを付けたがるコメント欄が多かった様に感じましたww

《 埋め字ドリル 》
『白シャツに◯◯◯◯(のシミ)』+ワンフレーズ

白シャツに「何の汚れ/シミ」があるかを最初に連想して、「白シャツに◯◯◯◯のシミ」というタネを作ります。そして、残り数音で、例えばその時間帯や場所、職業などの情報を盛り込んで、語順を揃えたり、あるいは、季重なりを解消したりすることで、凡人の上の方の句は出来ると思います。

・『うたた寝の白シャツに吾子の赤クレヨン』 Rx
・『
チョーク払う白シャツ 研修最終日』 Rx

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など、適当にいろんなものを当てはめておいて、整形していくというのも、作句の練習としてやってみると良いかと思います。

ちなみに、動画では、「プレバト!!」前にYouTubeで『どっちの方が良いか、アドバイスを』……みたいなことを冗談で言っていましたが、流石にそれはズルでしょうねぇww
というか、梅沢のおっちゃんと浜田さんにめっちゃ怒られそうですわww

3.席題「爪切り」

続いてのテーマは、季語ではないもので「爪切り」。日用品としては、季語の「白シャツ」よりも、用途が限定されるために、皆さんもエピソードを、逆に考えやすいようです。色々と来ていました。

しかし「爪切り」を使って、「爪以外のもの」を切りたいという村上さん。でも、この発想自体は大事ですよね。そこでたどり着いたのが、服などについているタグ(値札でなく、新品についているプラスチックのやつ)です。

俳句より短歌に向いていると思いつつも、色々と思案し、夏の季語「水着」をチョイス。助詞の「で」などを気にしつつも、出来た句がこちら。

【 3句目 】
『爪切りで水着のタグを切る夜中』 村上健志
       ↓
『爪切りで水着のタグを落とす夜』   〃

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皆さんが気になったのは、やはり、助詞「で」と動詞「切る」の重複です。

ただ、これはこれで出来上がっては居ますし、何より「爪切りで水着のタグを切る」という所に帰着するのが、『半径30cmで句を作る男』と評された村上さんたる所以なのでしょうねぇー

3-1.「爪切り」の没ネタからRx自作句

「爪切り」からの話題がたくさん寄せられていましたが、その中でも、

・昔のつめきりは、会社の名前と電話番号かいてたよね。贈答品用
・赤ちゃんの爪切るの難しいですよね
・手を繋いだ時に、爪がくすぐったい
・100円、1000円、10000円で、風格もぜんぜん違うもんなー
・​同棲してる人に切ってもらうとか

など(後半2つは自分のコメントですが、)は面白かったです。

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確かに、贈答品用って、何か掘られていたりしたかもなーって、懐かしく。

《 Rx自作句 》
『刻銘の考(ちち)の名 初夏の爪切りに Rx

(※)考(ちち)は、妣(はは)と同じく、漢字1文字で「亡き父/母」を表せるとして、俳句において重宝される表現です。

他にも、特に音楽系とスポーツ系、そしてガテン系などの方々から、「爪」に関するエピソードが寄せられていて、面白いなぁーって見てました。

・クラシックギターは爪が命です。
・バレーボーラーも、ヤスリで削ります
・サッカーの試合で審判に爪を見せてた
・ガテン系なので爪を伸ばすと割れます。

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《 Rx自作句 》
『レフェリーに爪みせ僕ら夏芝へ Rx

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こういうのは、オリジナリティというか「積極力」が増すんで、どんどん、自分の業界だけのものを詠み込んでいって欲しいと思います!

4.席題「コンビニ」

「575円」や「819円」といった洒落た金額のスパチャが来ていることに気づけず落ち込む村上さんですが、今日3つ目にして最後の席題へと移ります。

コンビニという言葉を使わず、「コンビニ」を連想させるという席題です。

・季節感が難しい気がする

という意見にある通り、おでんやあんまんなど冬の食材だったり、季節感のあまり無い物が多い中、何にフォーカスするかが難しい席題。それこそ、「月百句」よりも「コンビニ百句」の方が簡単にできそうな勢いです。

アイディア出しの中で、村上さんが気になったのが「化粧水」でした。どうやら、「急なお泊りに、化粧水をコンビニで買って向かう」んだとか。

誰と、どこでのお泊りかで全く変わってきそうな感じのする中、村上さんが想像を目一杯に広げて作った作品がこちら。

【 4句目 】
『レシートにアイスとビールと化粧水』 村上健志

俳句になっていないとは言いつつも、まあ「雑多」なコンビニを使う若者の感じを描いたと好意的に読めば味のある作品だと思います。

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《 Rx自作句 》
・『短夜を君とコンビニ化粧水』 Rx

こういう形にしてみたら、コンビニの『化粧水』にポイントを絞っている点で「有季俳句」としては有利かなって思いました。

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